54 / 255
14章 つながり
2
しおりを挟む「っ‥‥苗‥//
大丈夫か?」
晴樹は唇を触れさせたまま言葉を掛ける‥
苗の苦しそうな声が漏れると晴樹は舌を引っ込め、唇をゆっくりと何度も優しく吸い上げた‥
唇を吸う音と晴樹の荒々しい吐息が車内にこもる‥‥‥
唇が放れてしまえば1日一度っきりのキスの契約が果たされてしまう‥‥
もっと味わっていたい‥
晴樹の切なくなるほどの熱い欲望が瞳に映し出され、目の前の大好きな人を捕らえていた──
苗のふっくらとした唇を自分の熱い舌先で円を描くようになぞる‥
そして軽く唇を落とすとおでこに‥頬に‥苗の髪を撫でながら晴樹はキスを注いだ…
好きな娘とするキスがこんなにいいものだなんて知らなかった‥‥‥
何度しても飽きない‥
ずっと唇を重ねていたい‥
初めての自分の欲望の強さに晴樹自身も戸惑った。
自分で抑えが効かない‥
むやみやたらな理由をつけてでも‥‥
キスしたかった…
晴樹は苗を見つめると甘い余韻を噛み締めるように優しく抱きしめる‥‥‥
‥兄さん‥欲求不満なのかな?‥
・
苗は晴樹に優しく抱きしめられながら思った‥‥
父ちゃん‥
母ちゃん‥‥
苗はとうとぅ援交をしてしまいました‥‥‥
こんなにも熱烈な愛情を注がれていても苗は晴樹の気持ちに見事に気づかなかった…
そして‥疼く熱さに身悶える少年がここにも一人‥‥
‥あ〰〰〰バカだ!
めちゃめちゃバカだ俺ッ‥
告った興奮で肝心なこと言うの忘れてた!!
少年は気捲(きまく)れ騰がる股間を押さえつつ自分のバカさ加減に己自身を罵っていた‥
『苗‥
俺と付き合って‥‥‥』
そう‥夏目は一番大事な事を伝えていなかったのだ。
‥だって‥‥//
しょうがねぇじゃん!‥
苗、すげー‥可愛かったし///‥
すげぇ、唇‥柔かったし//
‥はぁ‥‥//‥苗‥ッ!
異常な程の興奮で瞳が熱く潤んでくる‥
夏目は苗とのキスから先の事を想像した‥‥
熱く潤む瞳を閉じると生唾を飲み込む‥
‥ぅッ‥‥苗ッ‥‥//
少年は苗の感触を思い出し、股間に伸ばした手にギュッと力を加えていた‥
・
―ガチャ!
「んじゃ、兄さんっお持ち帰りまでくれてありがと!!もぅ、遅いからゆっくり休んでね!たら、おやすみぃ♪」
「あぁ//‥」
‥はぁ‥‥//‥
苗は体中の動悸が収まらないままの晴樹を見捨て、あっさりと別れを告げて家に入って行く‥
晴樹は苗の後ろ姿を見送りながら、大きな溜め息をつくとハンドルを抱え込むように顔を伏せた‥‥
晴樹の苦し気な表情が物語る‥
‥このまんまじゃ寝れない
ゆっくり休める訳ねぇだろ!?…//
運転も手につかず晴樹はその場で目を閉じた‥
‥夏目もそこまでバカじゃない‥‥
もしかしたら明日にでも苗にはっきり付き合って。そう言ってくるかもしれない‥‥ッ
アイツは度胸だけはある‥
晴樹が不安にさいなまれていると携帯の着信音がなった‥
「はい…」
『こらっ!テメェいったいどこほっつき歩いてやがる!?』
貴志だった。
『店の勘定はどうしてくれんだ!??あぁ?』
「………」
勝手な言い分の内容だった‥
「今から戻る‥‥」
‥どうせこのままじゃ家戻っても寝れねぇしな…
・
晴樹は貴志からの電話を切ると再び深いため息をつき閉じた携帯を手の平で弄ぶ。
「‥‥‥‥」
あった方が便利だよな‥
携帯を見つめふと、そんなことを思いながら貴志の待つ店へ向かった──
「なんだお前‥
ヌキにでも行ってたのか?にしちゃあスッキリしねぇ面してんな?」
「ほっとけ!」
クラブに戻って来た晴樹に一番口に放たれた言葉がこれだった‥
「まだ、帰んねぇだろ?」
晴樹は心なしかスッキリ顔の貴志に確認をとった
「あぁ‥久しぶりに続けて二回もヌイちまった。
今からは男同士の語らいの時間よ。お前はどうなんだ? あん!? 不発か? そんな糞詰まりみてぇな面しやがってよ♪」
「おぅっ!?」
言いながら貴志に股間をコヅかれ晴樹はうめいた
「ヌイてこいよ‥‥」
ニヤニヤしながら貴志が顎をしゃくる方を見るとさっきの女が晴樹に流し目を送っていた‥
「お前はどこ行ったんだ!?ってずっとウザかったぜ?」
貴志の愚痴を聞き流し、晴樹は女に意味あり気な視線を送ると奥の従業員用のトイレに向かった‥
・
「あれ、清掃中になってる?」
「今、ハルが使ってるから客用のトイレ行ってきな!」
トイレのドア越しに店の従業員とマスターの会話が聞こえてくる‥
荒い息遣いが狭いトイレのタイル壁に響き渡る‥
キスをせがむ女の口を晴樹は自分の手で塞いだ
「口は切れて痛ぇっつってんだろ!?」
晴樹は女を睨みながら腰を動かしていた‥‥
唯一、苗とつながった部分‥‥‥
唇だけは誰にも触れられたくない‥‥‥
そして、触れさせたくない‥‥
──苗ッ!
自分とキスをして、なんの反応も示さない苗に腹が立つ!!
俺だけが苦しい!
俺だけが‥‥‥
こんなに想ってる‥‥
一方通行の想いがこんなに辛いものだとは思わなかった‥
体は目の前の女を抱きながらも頭と心は苗のことでいっぱいだった‥‥
なんとかしないと‥‥
夏目に捕られる前に‥‥
「……っ…」
そんな気持ちとは裏腹に体は一瞬の気持ち良さに飲まれて行く‥‥‥
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる