ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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19章 大切なひと(後編)

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―カラン!


「‥お、晴樹。

お前も来てたのか?」


「ん、‥‥あぁ」


「学校サボってんだよ。
夕べ飲み過ぎたとかで‥

貴志はブレンドでいいんだろ?」


マスターは晴樹の代わりに答えながら、貴志に確認をとっている



「へぇ、たまにはいいんじゃねぇの?!最近クソ真面目だったんだろ?‥と、」


話の途中で携帯が鳴ったらしく貴志はポケットを探っていた


「おぅ、なんだ?

‥‥あぁ!!?
‥だから、そんな女、知らねぇつってんだろっ
次に掛ってきても相手にすんじゃねぇぞ!あぁ‥
じゃあな」

―プツ――



「たくっ──」


「なんだ?まだ、揉めてんのか?」


電話を切ってもキレ続ける貴志に晴樹が聞いた



「あぁ、これは何でもねぇよ。
なんか、女を預かってるからとか、わけわかんねぇ脅迫電話が本部に掛ってきてるらしくてよぉ…

俺、繋がりの女だっつんだけどいっぱい居すぎて解んねぇって!
女拐ったからって極道が一々動いてられるかよ!?
命いくつあってもたんねぇっつーの!!」


「まさに極道ってか‥極悪非道だな」


貴志の語りにマスターがボヤいた。

そして、店の電話が鳴り響く‥



「はい、ブルー・ムーンカフェです‥

あぁ、晴樹ね!ハイハイ‥」


マスターはそう受け応えしながら受話器を晴樹に渡した‥



「あぁ、リエ?
‥ああ‥‥わかった。

今から行くから‥じゃ」


「なんだ?
今のリエか?‥何で携帯にかけてこないんだ!?」



受話器をマスターに返す晴樹に貴志が聞いた


「携帯は今、電源切ってあるから‥‥ちょっとうざくて…」


微かに影のある表情で晴樹は答える‥


「マスター、チェックして‥

今からムーンライト行くから‥」


「なんだ、もう行くのか?」


「あぁ、リエが先に行って待ってるから‥」


マスターの問いかけにそう答えた晴樹に貴志は言った


「お、とうとうリエに落ちたか?
あの女も粘ったもんなぁ?俺も後で行くわ!」



茶化す貴志に生返事を返し晴樹は店を出た。














「なに、リエちゃん?
ニヤニヤしちゃって‥」


カウンターに座っているリエにチーフは話しかけた‥



「フフ‥‥‥

晴樹がさぁ‥‥

なんか、すごく優しいんだよねぇ‥‥//‥」



リエは頬をほんのりと染めながら自慢気に語っている‥



‥今日も泊まる。なんて言ってくれちゃうし‥‥//‥プッシュし続けたかいがあった!



身体だけの関係から何となく抜け出せた──


リエはそんな気がしてウキウキしていた‥












「ごめん、待った?


ボックス行くか?」


「うん‥//‥」


ボックスの方がまったりできる‥‥‥
それに、晴樹の口からごめん。なんて言葉を聞いたのも初めて‥


リエは自分が晴樹の特別になったような気がしていた。













―カラン!


「!‥いらっしゃ‥」

「すいません!!結城って人来てませんか!!?」


「え?
あぁ‥ハルなら30分くらい前まで居たけど‥‥」



貴志も出て行った後に店に入って来るなり晴樹のことを聞く少年に戸惑いながらマスターは答えた


‥結城の制服着てるからハルの後輩だよな。
なんかあったのかな?
こんな汗だくになってハルを尋ねて来るってことは‥


「さっきまでいた!??

‥クソ!入れ違いかよ!!」


険しい表情で呟く少年にマスターは言う


「急ぎの用ならムーンライトってクラブハウスに行きなよ。

そこに居るはずだから」


「ほんとに!?
有難うございます!!」



マスターに言われ、少年は深々と頭を下げて出て行った‥


クラブハウス‥次に探しに行こうと思ってた場所だ―!


夏目は再びバイクに跨るとその場所へ向かった‥


ことは一刻を争う…


相手がヤクザなだけに、苗に何をするか解らないっ



苗!頼むから無事で居てくれっ…


くそっ!大体、なんでアイツこんな時に携帯切ってんだよ!!?
ふざけんじゃねぇッ!



夏目は晴樹に対しての怒りを彷彿させながらクラブハウスを目指した──














「ねぇ晴樹ぃ‥‥」

「あぁ‥?」


リエはほろ酔い気分で晴樹にしなだれ掛っていた‥

夕べの飲み過ぎが祟ったせいか、酒には手をつけずコーラを口に含みながら晴樹はリエの肩を抱く

そして、キスをしていた‥

リエは晴樹に優しく肩を抱かれるのも初めてだった‥


それでも、晴樹の気持ちはココにない‥


どんなに優しいキスをしても‥そっと肩を抱かれても



晴樹の気持ちはココにはなかった──






うっとりと自分を見つめてくるリエを晴樹は遠い瞳で見つめ返す‥‥‥

今の晴樹の瞳はまるでガラス玉のように目の前にあるモノをただ、映し出すだけにすぎなかった──



ボックス席のソファで唇を重ね舌を絡め合う‥
片手はすでにリエの服の中に入り込んでいた…



入り口でバタン!とドアが激しく開閉する音にも気づかずに、晴樹は心から溺れることのないディープなキスを繰り返す‥








「──…ッ?!きゃぁッ」



──ッ?




悲鳴と同時に抱きしめていたリエが姿を消し、そして自分は誰かに胸ぐらを掴まれていた──




「──‥‥夏‥目‥?」


床には突き飛ばされたリエが放心状態で自分達を見上げている──




「お前っ!なっ…」

「…っ…あんたッなんで携帯切ってんだよ!!?」


タンカをきろうとした晴樹よりも険しい表情で夏目は叫んだ!



‥なんだコイツ!!?

なんでコイツにこんなこと言われなきゃなんねぇ!?‥‥



自分の怒りの元凶が目の前に居る‥‥‥

自分の欲しかったものをあっさりと拐ったヤツが‥



忘れてた嫉妬が渦を巻いた──


怒りで震えがでてくる。



自分の好きな人と手を繋いで嬉しそうな顔をしていたコイツになんでっ‥


俺がどんな思いで携帯を切ったかも知らねぇくせにっ──




……ただ、コイツが何をこんなにキレてるのかがわからない‥




晴樹は自分の胸ぐらを掴みボロボロと顔を泣き崩す夏目に息を飲んだ──



「苗を‥フッ‥ク‥



苗をッ返せ!!!




俺の彼女だぞッ‥ヒッ‥

ヒッ‥ク‥グッ‥


大事な‥ゥ‥クッ


大事なッ‥俺の彼女なんだぞ!!」



ソファに晴樹を押し倒し叫びながら訴える夏目に晴樹も胸が締め付けられた



「──な…っ…んなことっ


わざわざ言わなくてもわかってるっ!!!」



‥なんだよコイツッ!?

わざわざここまで来て言いたいのはそれかよ!?


…っ…何処まで人をコケにすればっ…





晴樹は掴み掛ってくる夏目を睨み返しながら叫んだ


「俺に何が言いたいんだよ!!?
彼女なら二人でよろしくやってりゃいいだろうが!!?今更、わけ解んねぇいちゃもんつけてっ‥」


「拐われたんだよッ──!」


「───…っ!?…」



自分の怒りを遮るように、夏目の口から発せられた言葉に晴樹は思考が止まった──



「銃を持ってる奴らに‥


──…っ…苗が拐われちまったんだよッ!!」



「‥‥‥‥」


叫ぶと同時に夏目はその場に崩れた──



「拐われ‥た‥?」

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