ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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19章 大切なひと(後編)

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晴樹は夏目の言葉を再度呟く‥


拐われた?…



銃を持ってる奴らに?‥







頭でやっと整理できたその言葉の意味に晴樹は次第に青ざめる



「夏目‥‥‥



どういうことだ?‥‥‥」



晴樹は静かに夏目に問いかけた



血の気が引き、冷や汗が吹き出してくる感覚を抑えながら早る鼓動を落ち着ける‥



「あんた、鬼頭ってのと知り合いだろ!?

拐った奴らがそいつに知らせろって──

理事長が身代金絡みじゃないし相手がヤクザじゃ下手に動けないからって‥


取りあえず鬼頭と知り合いのあんたに知らせなきゃ事が運べないって!!」




「鬼頭‥‥?」




晴樹がそう口にし、顔を上げると店のカウンターにはいつの間にか、この騒動を楽しみながら眺めていた貴志と目があった──




‥えっ、この騒動の原因て‥


‥俺!?




他人事のように傍観していた貴志だったが‥

鬼頭の名前が出た途端、気まずそうに頭を掻いていた。



「どういうことだ?貴志‥」


晴樹の問いかけに貴志はボソッと答える


「あー‥‥

じゃあ、たぶん女、預かってるって‥‥
その事だったんかな‥」




「ちょっと、確認してみるわ…」



貴志は気まずそうに携帯を取り出しどこかに連絡を入れる




「もしもし‥



あぁ、俺‥

さっき妙な電話あったろ?あれ、やっぱ俺関係みたいだわ。

なんつってた‥‥‥あぁ、
‥‥あぁ‥そか。

わかった…今から戻るから」
―プツ―

「なんて!?」


いつの間にか側で電話の様子を見ていた晴樹が詰め寄る

「なんて言って電話が入ってたんだ!?」



「あぁ‥‥‥



“なえ”って女預かってるから返して欲しけりゃ今回のヤマから手を引けって…」


「なんだよ!?ヤマってのは!?」


晴樹の問いかけに貴志は目を泳がす‥


そう、例え親友であっても組内部の事をそう簡単には明かせない


そして、貴志は言いづらそうに口を開いた。


「あと‥‥‥



俺が関係ねぇから、今後は相手にすんなって言ったから‥‥‥

本部に掛ってきた電話も突っぱねたらもう、掛ってこないらしい…」


──っ!

「な‥に」

貴志の言葉に晴樹は愕然としていた──


電話が掛って来ない‥

ってことは苗は交渉する為の役には立たなかった‥



考えたくはない──


ないのにっ!


悪い方へと思考が巡る‥



役に立たない人質をアイツらがいつまでも囲っておくわけがない‥


だからっといってわざわざ無事に返してくれる輩でもない‥‥‥



残る答えは一つ…



絶望的な面持ちのまま立ち竦む晴樹を見る貴志の目が物語る‥‥‥




“もうあきらめろ…”



貴志ははっきりとそう目で伝えてくる──




わからない…


何がなんだか‥‥‥



貴志の言いたい事も遮断するように晴樹は言葉の理解を完全に拒否していた──



貴志はそんな晴樹の肩に手を置いた‥



「もう、口はきかねぇかもしんねぇけどよ‥


取りあえず体だけでも取り返してきてやるよ‥‥‥」



「──待て…


貴志‥





俺が行く──…」


立ち去ろうとした貴志に晴樹は呼びかける



「俺が行く‥


俺がっ──‥


俺が迎えにッ‥‥‥」


──ッ苗!

生きてる望みは薄いッ―


それでも、知らない奴らに迎えに来られるよりはッ‥俺がっ‥‥

迎えにぐらい行ってやりたいっ‥──!



「わかった、

じゃあ行くぞ‥」


貴志に肩を叩かれ晴樹も覚悟を決めた──


そして、床にへたり込んだままの夏目を振り返る。


「夏目!!お前はもう帰れ!

ここに居てもなんにもなんねぇから!!」


「──?!


どこ行くんだよ!?
わかったのか!?苗の居場所が!!?」


自分に掴みかかりすがりつくような表情の夏目に胸が痛む──



「連‥れて‥‥
帰ってくるから‥

絶対にっ──‥」


夏目の目を見た晴樹は
この言葉しか言えなかった──













―バタン!!


晴樹は貴志の車に乗り込み鬼頭組の本部へと急ぐ





‥‥‥




‥‥‥‥‥




‥‥‥っ‥苗っ──!





晴樹は携帯を握りしめたまま歯を食い縛った──


『あんたなんで携帯の電源切ってんだよ!!?』



夏目に罵倒された言葉が脳裏をかすめた──


‥もっと‥‥



もっと早くっ‥


連絡さえ取れていれば状況は変わったかもしれないっ



ただ──


今更、後悔してもッ‥


「晴樹!!

ついたぜ!」


貴志の言葉に促され晴樹は車を降りた──



貴志からの連絡を受け鬼頭組本部は少々賑やかになっていた──




「なんか妙なことに巻き込んでしまったようだな‥」

「‥‥」


鬼頭組──組長

総代の辰治が二人を玄関で迎えてくれていた。



晴樹は静かに頭を下げ奥の部屋へと通される‥






「向こうの御大(おんたい)サンとは連絡取れたのか?」


「あぁ、さっき取ったばっかりだ──…直ぐに支部を見て回ってくれるそうだが‥」



晴樹に背を向け貴志と辰治は何やら話し込む



「晴樹!! 準備するからちょっと待ってろ」


貴志は居間のソファに晴樹を腰掛けさせ奥の部屋へと向かった


‥やべぇな‥‥


大丈夫かよアイツ?

“なえ”ってのはどんな関係の女なんだ?






‥‥“なえ”か――

なんか聞いたことある気が‥‥‥





…?!“なえ”──



『すいません、苗サンをお願いします』



‥もしかしてあの時の‥?

じゃあ、本命か!?




貴志は清掃集会の時、度々電話を掛けては機嫌が悪くなる晴樹の電話の相手の名を思い出していた




……なえ…



──苗ッ!






なんでお前がっ‥





お前がこんな目にッ‥






「───…っ…」



晴樹は電源を入れた携帯を見つめていた



“兄さん‥ごみんね。”




最後に聞いたのは今にも泣き出しそうな声で自分に詫びる苗の声‥‥




聞きたくなくて‥


我慢できなくて‥‥



自分から縁切りをした‥





自分から‥‥







連絡を絶った──






留守録に残されたメッセージは自分の手で‥‥‥





消去した…







着歴には苗が自分と連絡を取るために一生懸命かけた跡がしっかりと残っている




そして受信歴にも──






「受信‥?」

──!?




晴樹は苗から届いた未開封のメールに慌てて目を通した──





[受信]
〔兄さん電話、出て‥〕



[受信]
〔兄さん‥苗は謝らなきゃいけないことぎゃ(;_;)〕




[受信]
〔苗は兄さんにとても悪いことをしてしまいました〕





[受信]
〔兄さんごみんね‥

おやすみなさい(^-^)Zzz・・・〕






苗からのメールはそれで終わっていた‥

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