ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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19章 大切なひと(後編)

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──ピシュッ―!
ガヂャン!!


消音付きの貴志の銃が事務所のドアノブを撃ち壊す──

その瞬間、裏のガラス窓が一斉に叩き割られ組員達が押し入ると同時に晴樹達もドアから飛び込んだ!



「動くんじゃねぇ!!‥」



銃を構えて叫ぶ貴志と攪乱戦法をとった鬼頭組の組員達は部屋の中で鉢合わせる──ッ












「‥‥‥‥



どういうこった…

もぬけの殻じゃねぇか!??


!?っ──
お前ら‥部屋を捜せ!! 」

「へぃ!」


威勢のいい返事と同時に組員達が人気のない事務所の部屋をシラミ潰しに見てまわる。




そして、晴樹はある場所を見つめたまま呆然と動かなかった‥



様子のおかしい晴樹に気付き貴志は声をかける



「どうした‥晴樹?」



晴樹の見つめている位置に視線を向けるとそこには‥




血を引きずり回したような跡が‥‥‥


‥ついていた──



貴志は舌を打って顔をしかめた。


やばいな…

始末してすぐ捨てちまったか?──




「兄貴!! 本部から電話ですっ兄貴に掛けたら出ねぇからって俺の携帯に…」


「本部から?
あぁ‥奇襲の妨げになるから今、電源切ってたんだ」


貴志は言いながら舎弟から携帯電話を受け取り耳に当てた。












‥苗‥








待ってろつったろ?












一人で行くなよっ──…













迎えにッ……



迎えに行くっつてんのにッ












俺も傍にいるってッ












‥どこ行ったっ?‥



一人で──‥‥













まだ‥



そんなに遠くない‥よな?







まだ‥











間に合う‥だろ?‥













今ならッ



今すぐなら──‥













すぐに追いつくから‥













一人で行くなッ──苗っ!!















何やら遠くの方では貴志のわめく声が聞こえてくる‥







‥相変わらず上品な顔してうるさい奴だ──





たまには、静かにしてくれ‥




お前の相手は結構しんどい‥‥‥





瞳に映る景色が次第に滲みぼやける……

晴樹はそれがおかしくてクスリと笑み、目を細めた‥




その瞬間、瞼に押し出された水滴が頬を伝い落ちる‥











晴樹の銃は自身のこめかみに当てがわれていた──












早く逝かないと苗を見失う‥



片時も傍に居たくないなんて思った自分がバカだった‥






もう、離さないッ






その為に俺はお前を捜すからッ‥













だから‥













意地悪しないで待ってろよ‥













それ以上先にッ






一人で逝くなッ‥









俺をもうッ













置いて逝くなっ──









《兄さんと一緒にいると楽しい!!》












同じだ‥







俺もお前と居ないと‥













笑えない‥













つまらない人生に逆戻りだよ‥‥‥













そんな人生なら‥








要らない──




苗の居ない人生なら‥




俺には必要ないから‥



俺に必要なのはッ──






──パン────ッ!‥













乾いた銃声と共に晴樹の身体が吹き飛ぶ──













床に転がる晴樹の腕を、みるまに鮮血が染めあげた‥












「この、くそばか野郎が!!
何やってんだよ!!? あぁ!?」




そう言って、晴樹を罵倒した貴志の銃は晴樹に向けられ、放たれた証拠に微かに消炎の香りをくゆらせ熱を帯びていた──




そして晴樹の手から離れた銃を手にし再び怒鳴るっ




「この銃はテメェの命取るために渡した訳じゃねぇ!! 何考えてやがるっ!?」





‥っ‥うで‥‥‥痛てぇ‥


‥しかも、コイツうるせぇ‥






晴樹は貴志に撃たれた腕を押さえ、のっそりと体を起こし虚ろな表情でさっきからあった床の血を眺めていた‥




「おいコラっ!!

テメェ人の話し聞いてんのか!?ああ!?

さっきから言ってるだろぅがっ!!





居た!!…って!





居たんだよ!!お前の女が」











貴志は晴樹の耳を引っ張り鼓膜に向けて思いっきり叫んだ!!





その言葉に床を眺めていた晴樹の顔がゆっくりと貴志に向けられる‥



「腕の傷は大したことねぇだろ?


行くぞ!!

迎えに行くんだろ!?」













貴志は相変わらずボゥっとして自分を見つめる晴樹を立たせ車に押し込んだ──


「じゃあ龍極会の本部に行くぞ!!」


「はぃ!」


貴志が舎弟に行き先を告げ、車は龍極会系 藤代組の本部に向かった。








「良かったな‥‥

生きてるってよ!


お前にそんな大事な女がいたなんてな‥‥‥」




貴志は車の中で黙ったままの晴樹に語りかけた──


晴樹は相変わらず一点を見つめたまま無表情で首をうなだれている…



貴志は晴樹から取り上げた銃を触りながら思った‥



‥あの銃声は‥


間違いなくコイツが引き金を引いた証拠‥‥‥


俺の銃は音がしない‥


俺の判断が少しでも遅けりゃコイツの頭は吹っ飛んでた訳だ‥


怖ぇ奴‥‥

殺られんのは覚悟してるが自分で殺んの程勇気いるっちゅーのに・・・


居なきゃ生きて行けねぇほど大切にしてたわけだ‥





貴志はそう考えながらフフっと微笑んだ‥




どんな女だ?
会うのが楽しみだな‥‥

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