82 / 255
20章 仁義!
1
しおりを挟む「では、どうぞこちらの部屋です‥」
武はそう言い部屋の襖を開けると入り口で部屋の中に向かって頭を下げ、ここの主に声をかけた
「親父サン!
貴志サンをご案内致しました」
そう言って部屋に入る武の後から、貴志達も床につく程に頭を下げて顔を上げる。向かいには鬼頭組が勢力をつける前にこの世界を操っていた男の顔がそこにはあった
その名も鬼神の藤代‥
今でこそ歳を取り、自分の席を息子へと譲り隠居生活を静かに送っているが、それでも雰囲気から放たれるオーラは鋭いものがある
そして、その隣では鋭く険しい表情で自分を睨みつけてくる晴樹にカタカタ‥と脅え震える、お苗の姿が‥‥
「よく来てくれたな‥
まぁ、今回はうちの若い衆が迷惑をかけちまったが‥
そのお詫びと言ってはなんだが、宴の用意をさせてもらった‥‥
是非、受けてはもらえんか?
‥って‥‥ん?どうしたお苗?
何を脅えとるんだ?」
御大は自分の隣で楽しく料理をつつきながらお酌をしていた苗の、酒を注ぐ手が突然カタカタ‥と震えだしていることに気づき声をかけた
‥ひっ〰
兄さんが睨んでるっ
ごっつぅ睨んどるぅ〰!
・
極道の親分にも恐れをなさなかった苗も晴樹の睨みだけには勝てなかった
険しい表情のまま苗を凝視し見据えてくる晴樹から苗は脂汗をかきながら必死に目を反らす──
‥ヒィ〰っ
コレじゃあエビに睨まれたカエルだょ〰
エビに睨まれたっちゃぁ恐かない……
苗なりに心を落ち着ける策だった‥
どうしよう‥
あの様子じゃ絶対に兄さん怒ってるょっ
やっぱりバレてる!?
あたしが、松島の姐さんに兄さんの裏画像売ったのがッ!?
うあぁぁ〰〰〰っ
終わりだぁ〰〰っっ
地球滅亡だょお〰〰〰っ!
「いってぇ、どうしたってんだお苗ッ!!?」
御大は自分の隣で突然、頭を抱え、悶絶する苗の肩を支えて必死に声をかける
「ジョージィ〰
もう、苗は終わりだょ〰っ
夢のコラボももぅこれっきりだょっ!!」
「あにぃ!?
なんて冷てぇことゆーんだお苗ッ!!?」
‥ジョージ?ってなんだ
なんなんだコイツら…?
貴志はアホ二人を見つめ怪訝な顔をしていた
‥それにあの隣のガキ‥
たしか、あの時の‥
マシュマロっ!??
・
‥まさか、コイツじゃないよな・・・
晴樹の大切な女って‥‥っ
貴志は恐る恐る隣の晴樹に目を向けた──
―ビクッ‥
‥こ、いつっ
なんちゅ〰睨み効かしてんだよっ!?
晴樹の顔を見た貴志もその睨みに一瞬脅える──
‥なんだ、この女じゃねぇのか!?
ここまで睨み着けるんなら違うよな?
じゃあ、あの女は元々、藤代の親父と知り合いって事かよ?
‥そうかもな…
あれだけ親しそうなんだから・・・
貴志はアホ二人と晴樹を交互に眺めながら考えを巡らせていた‥‥‥
‥じゃあ‥
預かってる女はどこに居るんだ?
貴志は上座で騒いでいるアホ二人を無視して近くにいた武に聞いた‥
「武サン、
預かってるって女‥
早く返して欲しいんだけど‥
今、どこに居るんだ?」
貴志の質問に武はゆっくりと苗を指差しそして言った
「御大が偉いお気に入りで‥‥‥‥」
‥やっぱりあの女かっ?
貴志は苗に視線を向けそして晴樹を見た‥
ただ、やっぱり、大切な人を見る目と何か違う
「‥?」
貴志は首を傾げた
・
「じゃあ、こちらの部屋へ‥」
宴の食事を済ませ貴志と晴樹は別の部屋に通される。
そして苗は晴樹の視線から逃れるべく、組の若い衆らと宴の片付けをせっせと行なっていた‥
「お嬢、やめて下さい!!
お嬢に片付けなんかさせたら俺っちが親父に叱られちゃいますっ
お嬢は鬼頭の方達と奥の部屋で話でもっ」
「いやだ〰っ
苗に片付けさせてぇ〰っ」
「そんなっ」
二人で膳の盆を奪い合う。苗はなるべく晴樹の近くに居たくなかったのだ
‥だって兄さん宴の間もずっと怒ってるんだも゙っ
そぅ、睨みは途中で緩和されたが異様なオーラは相変わらず纏ったままだった。
「まぁ、その辺に腰掛けて楽にしてくれ‥」
御大の勧めで貴志達は高級ソファに腰掛ける
「今回の件は
ほんとに悪い事しちまったなぁ‥‥
鬼頭の方にもお苗にも‥
恥ずかしい話だがこれで、うちが統率取れてねぇのが一目瞭然だろ‥」
御大は静かに語ると武に目配せした。
―ガチャ!!
「オラッ!早く入れっ!」
武に怒鳴られ、蹴りを喰らい連れて来られたのは苗を拉致した、血だらけになった3人の男達──
・
「辰治から連絡を受けてな…
うちの若いのが何かしでかしたってんでよ、
すぐに武に動いてもらったんだ…
なんとか間に合ったみてぇで幸い大事にはならずに済んだが──
こうなったのは全部俺の責任だ…
どうか詫びを入れさせてくれっ──」
「──!?」
御大はそう言うとソファから立ち上がり、床に頭をこすりつけて土下座を始めた
「ほんっとに‥
すまなかった──!!
これから世話になろうってぇお方に多大な迷惑をかけちまってッ‥
自分のふがいなさをただ、恥じるしか出来ねぇッ‥!」
『『親父ぃ──!!』』
御大のその姿に部屋に集まっていた幹部達が声をあげて駆け寄る!
「テメェら放せッ──
こうでもしなきゃ俺の気が治まらねぇんだ!!」
「いや、御大…
御大にそこまでされると俺が叔父貴に何言われるかわかったもんじゃねぇ‥‥
だったら今すぐ、顔を上げてもらえるように、俺も土下座して頼むしかねぇかな‥‥‥‥ニヤ」
貴志はこれならどうだとばかりに笑みを浮かべた。
「‥うむ…
さすが、跡目だな‥
頭が切れる。
そう言われちゃ俺は頭を上げるしかねぇ…」
0
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい
みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。
それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。
願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。
スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。
ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。
※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…
senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。
地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。
クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。
彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。
しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。
悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。
――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。
謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。
ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。
この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。
陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。
東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」
──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。
購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。
それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、
いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!?
否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。
気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。
ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ!
最後は笑って、ちょっと泣ける。
#誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。
俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました
ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。
意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。
しかし返ってきたのは――
「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。
完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。
その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる