4 / 255
1章 きっかけ
3
しおりを挟む・
近くに座った者同士、それぞれが自己紹介を済ませ会話をしながら食事を楽しんでいると、ガヤガヤとする店の中、携帯の着信音が微かに聞こえてくる…
「…!…あ、あたしの携帯だ」
中島は慌てて携帯を開いた
着信 公衆電話
… 苗だ
画面を確認して直ぐに相手がわかった。
「苗? 今どこ? こっちはもう、始めてるよ」
『ごみんっ中ちゃん! 今、買い物終わったからすぐ向かうよ~……えっ? なに?‥場所? あ~うん大丈夫、わかってるっ!
ホテルの中のレストランでしょ!』
「ほんとに大丈夫!?」
…苗、方向音痴だからな‥
『だいじょびだよ!
(ピー) あーっ、もう切れちゃう!! 中ちゃん!! 苗のパスタ残しといてねっ! 絶対にだょっ!!』
「わかっ‥」(プッ-ッ-‥)
「…たから‥
‥って切れちゃった…」
「誰? 後から来るって子? 場所わかるって?」
電話の内容を聞いていた晴樹が中島に確認をとった
「あ、はぃ分かるって言ってるけど…
極度の方向音痴だから‥
この子」
「方向音痴? 俺、向かえに行こうか?」
「もう、向かってると思う。それに今どこいるかわからないし…」
・
「わからない? 携帯で連絡取れないの?」
晴樹は不思議そうに聞いた。
「あの子携帯持ってないから…今、掛かってきたのも公衆電話からだし…」
「……へぇ…じゃあ、無事に辿り着くのを祈るしかないな…」
…今時、携帯持ってないなんて貴重な存在だな? 公衆電話見つける方が大変なのに…
晴樹はとりあえずその貴重な人物を待つことにした‥
――結城 晴樹――
大手食品会社からホテル業、リゾート開発に様々な分野まで一族で手がけている
§結城グループ§の御曹司
生きて行くのになに不自由なく育てられたセレブ中のセレブ…
モデルなみのスタイルに色素の薄い栗色の髪。そして品のイイ顔立ち…
何もかもを手に入れてしまったような…まさしく、天が二物も三物以上も与え過ぎてしまったような……
そんな男だった。
もちろん、学園内のお嬢軍団にもモテモテ。他校にもファンがおり、闇で隠し取りした写真が売買されるほど、そこらのアイドルよりアイドルらしかった…
そして…
貴重な人物をこの場で待つことに決めた晴樹はその数分後に…
衝撃的な出会いを果たすことになる――
・
…ハアッ! もう何ココ!? 入り口多すぎっ! やっと着いたよっ…
苗はホテルに無事に辿り着くことが出来たのだが、ホテルのロビーから入ってしまい、レストランの入り口と真逆になっていた為に、かなり迷って遠回りをしていた…
その間、貨物用やいろんなエレベーターに乗り込み上下を行ったり来たりしたのは言うまでもない…。
そう。このレストランはホテルと隣接した商業ビルの最上階にある高級レストランだったのだ―――
そして、こんな場所に場違いなオーラを醸し出す少女 田中 苗は現れる…
あったっ…イタリアンレストラン【グラシアス】…ココだな…
でもどうやってドア開けようっ…
苗は買い込んだ食材とタイムサービス時の死闘で手に入れた玉子、段ボール一箱を抱えて居たため見事に両手が塞がっていた…
― ゴンっゴンっ!
―――っ!?…
なんだあれは……
優雅な一時の中、奇妙な怪奇音が鳴り響く‥
晴樹は思わず目を見張っていた。
スモーク硝子に遮られた店内は、外側から中の様子をほとんど伺う事ができなかったが店内の方からは鮮明な程に丸見えだった……
― ゴンッゴンッ!!
…っ…痛い…し、重いっ…
苗は頭突きでノックしていた。
押して開くなら頭で押し開けたのだが、悲しいかな…ドアは引き扉だった…
ただ、ココは高級レストランだ。
店内にはちゃんとドアマンが居たのだが、そのドアマンも自分の任務を忘れてしまう程に苗の行動は突拍子もなかった‥
── ゴンッゴンッゴンッ!!…
痛、ひ……
誰か早く気づいてっ…
「ちょ、もしかしてあれ…っ……やだ、苗ったら恥ずいっ」
店内から丸見えの苗の行動に中島達、女子校の一同はみんな下を向いた。
そして、
…っ…スゲー体張ってんな…
「……おい、早く開けてやれよ…」
見かねた晴樹がドアマンに指示を出していた。
急に開かれたドア。四度目の頭突きを構えた苗が店内に真っ直ぐに突っ込んでくる!
「――えっ!? ちょっおわぁっ!!――とっとっ…っ…」
突っ込んだ勢いに任せ転びそうになる苗!
しかし苗は踏ん張った!!
…玉子は絶対守るんだっ!!
そう己に言い聞かすようにムンっ!とした表情で鼻の穴をプカっと膨らませ、苗は歌舞伎役者のようにぐっと踏みとどまった!!
「──…っ」
「……っ…」
「──…っ…」
「‥‥‥エ‥エヘっ…ども…只今、到着でし」
店内の注目を一斉に浴びつつ苗は一礼をする
… ふぃ~焦ったっ…
大事な蛋白源がおじゃんになるとこだったょ。
苗は額の汗を軽く拭う。
お肉少なめの田中家では玉子は大事な蛋白源なのだ。
0
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい
みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。
それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。
願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。
スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。
ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。
※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。
東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」
──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。
購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。
それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、
いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!?
否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。
気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。
ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ!
最後は笑って、ちょっと泣ける。
#誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。
S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…
senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。
地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。
クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。
彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。
しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。
悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。
――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。
謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。
ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。
この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。
陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる