ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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1章 きっかけ

3

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近くに座った者同士、それぞれが自己紹介を済ませ会話をしながら食事を楽しんでいると、ガヤガヤとする店の中、携帯の着信音が微かに聞こえてくる…


「…!…あ、あたしの携帯だ」

中島は慌てて携帯を開いた


着信 公衆電話


… 苗だ

画面を確認して直ぐに相手がわかった。


「苗? 今どこ? こっちはもう、始めてるよ」


『ごみんっ中ちゃん! 今、買い物終わったからすぐ向かうよ~……えっ? なに?‥場所? あ~うん大丈夫、わかってるっ! 
ホテルの中のレストランでしょ!』


「ほんとに大丈夫!?」

…苗、方向音痴だからな‥


『だいじょびだよ!
(ピー) あーっ、もう切れちゃう!! 中ちゃん!! 苗のパスタ残しといてねっ! 絶対にだょっ!!』


「わかっ‥」(プッ-ッ-‥)


「…たから‥
‥って切れちゃった…」



「誰? 後から来るって子? 場所わかるって?」


電話の内容を聞いていた晴樹が中島に確認をとった


「あ、はぃ分かるって言ってるけど…
極度の方向音痴だから‥
この子」


「方向音痴? 俺、向かえに行こうか?」


「もう、向かってると思う。それに今どこいるかわからないし…」



「わからない? 携帯で連絡取れないの?」


晴樹は不思議そうに聞いた。


「あの子携帯持ってないから…今、掛かってきたのも公衆電話からだし…」


「……へぇ…じゃあ、無事に辿り着くのを祈るしかないな…」

…今時、携帯持ってないなんて貴重な存在だな? 公衆電話見つける方が大変なのに…


晴樹はとりあえずその貴重な人物を待つことにした‥



――結城 晴樹――
大手食品会社からホテル業、リゾート開発に様々な分野まで一族で手がけている

§結城グループ§の御曹司

生きて行くのになに不自由なく育てられたセレブ中のセレブ…
モデルなみのスタイルに色素の薄い栗色の髪。そして品のイイ顔立ち…

何もかもを手に入れてしまったような…まさしく、天が二物も三物以上も与え過ぎてしまったような……

そんな男だった。


もちろん、学園内のお嬢軍団にもモテモテ。他校にもファンがおり、闇で隠し取りした写真が売買されるほど、そこらのアイドルよりアイドルらしかった…

そして…

貴重な人物をこの場で待つことに決めた晴樹はその数分後に…


衝撃的な出会いを果たすことになる――



  

…ハアッ! もう何ココ!? 入り口多すぎっ! やっと着いたよっ…



苗はホテルに無事に辿り着くことが出来たのだが、ホテルのロビーから入ってしまい、レストランの入り口と真逆になっていた為に、かなり迷って遠回りをしていた…

その間、貨物用やいろんなエレベーターに乗り込み上下を行ったり来たりしたのは言うまでもない…。

そう。このレストランはホテルと隣接した商業ビルの最上階にある高級レストランだったのだ―――


そして、こんな場所に場違いなオーラを醸し出す少女 田中 苗は現れる…




あったっ…イタリアンレストラン【グラシアス】…ココだな…

でもどうやってドア開けようっ…


苗は買い込んだ食材とタイムサービス時の死闘で手に入れた玉子、段ボール一箱を抱えて居たため見事に両手が塞がっていた…



― ゴンっゴンっ!





―――っ!?…

なんだあれは……



優雅な一時の中、奇妙な怪奇音が鳴り響く‥

晴樹は思わず目を見張っていた。


スモーク硝子に遮られた店内は、外側から中の様子をほとんど伺う事ができなかったが店内の方からは鮮明な程に丸見えだった……



― ゴンッゴンッ!!



…っ…痛い…し、重いっ…










苗は頭突きでノックしていた。

押して開くなら頭で押し開けたのだが、悲しいかな…ドアは引き扉だった…



ただ、ココは高級レストランだ。

店内にはちゃんとドアマンが居たのだが、そのドアマンも自分の任務を忘れてしまう程に苗の行動は突拍子もなかった‥




── ゴンッゴンッゴンッ!!…
痛、ひ……
誰か早く気づいてっ…






「ちょ、もしかしてあれ…っ……やだ、苗ったら恥ずいっ」


店内から丸見えの苗の行動に中島達、女子校の一同はみんな下を向いた。
そして、




…っ…スゲー体張ってんな…
「……おい、早く開けてやれよ…」


見かねた晴樹がドアマンに指示を出していた。

急に開かれたドア。四度目の頭突きを構えた苗が店内に真っ直ぐに突っ込んでくる!



「――えっ!? ちょっおわぁっ!!――とっとっ…っ…」


突っ込んだ勢いに任せ転びそうになる苗!
しかし苗は踏ん張った!!



…玉子は絶対守るんだっ!!


そう己に言い聞かすようにムンっ!とした表情で鼻の穴をプカっと膨らませ、苗は歌舞伎役者のようにぐっと踏みとどまった!!



「──…っ」

「……っ…」

「──…っ…」



「‥‥‥エ‥エヘっ…ども…只今、到着でし」



店内の注目を一斉に浴びつつ苗は一礼をする


… ふぃ~焦ったっ…
大事な蛋白源がおじゃんになるとこだったょ。


苗は額の汗を軽く拭う。
お肉少なめの田中家では玉子は大事な蛋白源なのだ。

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