172 / 255
11章 続 バカンス
4
しおりを挟む「好きだよ。
すごく―――
だから‥別れてすげー後悔した‥」
夏目は真っ直ぐに由美を見つめ、自分の気持ちを素直に語る。そして再び歩き出した。
「‥そんなに好きなのに、なんで振っちゃったわけ?訳わかんない💧」
「‥‥
ちょっと、色々あってさ‥自分に自信が持てなくなって‥」
夏目は言葉を濁しながら話し出す。背中では苗の気持ちよさげな寝息が立てられていた‥
「遠藤、お前‥結城先輩のことどう思う?」
「え!?結城先輩!??」
いきなり晴樹の名前を出され由美は戸惑う
「‥‥どう思う、と言われても💧‥‥雲の上の人?って感じかな?」
「雲の上💧?すげー崇めてんのな‥」
「💧‥‥じゃあ夏目クンからしたらなんなの?」
「ライバル!!」
「は?」
完発入れずに言葉を発する夏目に由美は口を開けた
「恋敵だよ!!」
「どうして💧?
なんで結城先輩が恋敵なの!?だって夏目クンが好きなのは、なえちんでしょ?!」
「お前、解んねぇの?
あれだけはっきりしてんのに💧
鈍さは苗と互角だな?」
驚く由美に夏目は細かく言って聞かせた
・
「ただ、妹みたいに可愛いがってるだけであんなにべったりなはずないだろ?携帯まであげてさ‥
俺なんか最初からすげー目の仇にされてるし‥
今日だって言われたよ‥
“苗に近づくな!!”って」
「うそ?!結城先輩が!??」
「‥‥‥あの人、苗のことめちゃめちゃ好きだよ…。
俺の好きには負けるけど!」
夏目の言葉を由美は今も信じられず背中でスヤスヤと眠る苗をジッと見つめる
「見てればわかるよ‥
ほら、―――」
そう言った夏目の目線の先には‥
「どこ行ってたんだ?」
田中家が泊まっている部屋の前で携帯をいじっていた晴樹がこちらに気づき声をかけてきた。
「なんで苗は寝てる?」
晴樹は夏目におぶられてる苗を覗き込む‥
‥―――!っ
そして気づいた‥
「酒飲んだのか?」
微かに酒の匂いが漂う。
「誰が飲ませた?」
「俺です。チュウハイを軽く飲んだだけですよ‥」
「‥‥‥由美ちゃんも飲んだの?」
「ぇ💧いゃあたしは‥」
「‥‥‥まぁいい。取りあえず苗を布団に寝かせるから。」
晴樹はそう言って夏目を部屋に通した。
・
大部屋に敷きつめられた布団を跨ぎオカンは寝言がうるさいから満作の隣に寝かしてくれと指示してくる。
満作はもう酔い酔いで高イビキをかいていた。
父、娘二人して大の字になって寝る姿はさすが遺伝子の濃さだと思わずにはいられない‥
「じゃあ‥おばさん、すいません。こんなに酒弱いって思わなかったから‥」
「あら、いいのよ。父に似なかったのはそこだけなんだから💧‥夏目クンも重いのにわざわざありがとね。」
詫びる夏目にオカンは反対に気をつかっている
そして頭を下げ部屋を出る夏目に晴樹は何も言わなかった。
「由美ちゃん‥」
「はい?」
「みんなで一緒に居た?」
「え…っ…あ、はい‥夏目クン達の部屋であともう一人、夏目クンの友達と‥」
「ずっと部屋でみんな一緒に?」
「はぃ…っ…」
由美は晴樹に嘘をついた‥
『俺、目の仇にされてる』
そう言った夏目の言葉が頭に残っていた‥
‥夏目クンと二人きりだったなんて言えないよ💧
「そうか‥
じゃあ、俺も部屋に戻るから‥明日は潮干狩りの予定だからそのつもりで準備して。陸達もな‥」
晴樹は元気に返事を返す陸達の頭を撫で部屋をあとにした。
・
‥カチャ‥
晴樹は大部屋を出てドアを閉める‥
‥クソッ―――!!
そして胸の内で罵声をあげ壁を叩いた
夏目の積極さに不安が募る
このままじゃまた苗を盗られるかもしれない―――
そんな思いが胸をよぎった
「んーいい潮干狩り日和だ!‥苗ちゃん、思う存分楽しみなさい!!」
翌朝、晴天にも恵まれ潮も引き、絶好の潮干狩り日和を迎えた。苗達はホテルから少し放れた海辺までバスで来ていた。
「うお〰、父ちゃんスゲー!見てよ、ホタテがある!!」
「なに!? よし、取って帰って今夜の夕飯にするぞ」
浅瀬の岩かげで陸がホタテを見つけ、興奮していた
「父ちゃん! ココにもあるよ!!」
「でかした空!!」
次々に見つかるホタテに満作は息を弾ませる‥
ホタテはお爺が苗達の為に朝一番で業者に依託して浜に蒔いていたのだった‥
その他に大アサリもたくさん蒔いてある💧
もちろん収穫が大漁だったことは言うまでもなかった…
・
「苗ちゃん、潮干狩りは楽しんでもらえたかな?」
「うん、ちょー楽しかったです!!あさりも沢山あるから佃煮作ったら理事長さんにもお裾分けするょ」
「おおそうか、
楽しみじゃ!!」
前の座席で楽しそうに語る苗とお爺‥
そして疲れ果てて眠る田中一家‥
由美は海の隣の席でメールをピコピコ打ってニヤケている‥
相手はもちろん克也だった。
そして、晴樹は‥苗の話し声を耳にしながら考える‥
学校が始まれば苗の側にはあまり居られない‥
この夏休みの間を苗とほとんど一緒にいた為に晴樹は贅沢になっていた。
できればずっと傍にいたい‥
いつもの生活に戻ればどうしても離れることの方が多くなってしまう‥
そして、今度日本に来るという知人の娘‥
リディの世話をすることになれば尚更‥苗との時間は当然削られるだろう…
留学時代、父親の顔を潰さないように晴樹はクライム家の我が儘娘に合わせて色々と付き合ってやっていた‥が、しかしあまりにも身勝手なため、晴樹はリディを一喝したことがある‥それを気にリディは晴樹を
“OH!サムライ男子!”と気に入ってしまったのだった。
‥あの我が儘娘💧
絶対にあれやりたい、これやりたいって俺を振り回すんだろうな‥‥
晴樹は深いため息をついた…。
0
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい
みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。
それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。
願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。
スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。
ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。
※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…
senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。
地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。
クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。
彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。
しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。
悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。
――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。
謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。
ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。
この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。
陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。
東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」
──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。
購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。
それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、
いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!?
否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。
気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。
ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ!
最後は笑って、ちょっと泣ける。
#誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。
俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました
ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。
意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。
しかし返ってきたのは――
「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。
完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。
その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる