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13章 海外からの来訪者
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しおりを挟む「んむぁ〰いぃ
相変わらずなお味だよ!」
「美味いか?」
自分の問いかけに満面の笑みを向けランチを頬張る苗を晴樹は眺める。
「兄さんはどう?」
「あぁ、最高だよ。
一つの弁当箱の中でオーケストラ演奏が上演されてるって感じだな‥」
「‥‥💧」
晴樹は尋ねてきた苗に弁当を食べながらソムリエのように感想を語りはじめた。
「まるで‥
そう、これはまるで‥
焼いた塩シャケにハンバーグのケチャップがナイスな甘味を加え、傾いて形の崩れただし巻き玉子には苺の汁が絶妙な酸味を与えている‥」
「そ、そう💧?‥」
晴樹は目を閉じて瞑想するように身振り手振りで優雅に感想を述べる‥
そして、閃いたかのように目を見開いた!
「そう!これはまるで統一制のないオーケストラだ!!
ハモらずにそれぞれの味が自己主張しあっているな!」
「そう💧‥
じゃあみんな個性があっていいだね‥」
晴樹はそう言った苗ににっこり微笑み返し付け加えた
「フルーツは出来るだけ別に入れた方がいいと俺は思うぞ‥」
ぐちゃぐちゃに崩れた弁当に再び箸をつけながら、晴樹は苗に提案していた。
・
「ところで苗‥」
弁当の感想を述べ終えて問いかける晴樹に苗は、ん?と返事を返す
「土曜日は十時に迎えに行くから。」
「土曜日?
ああ!土曜日ね」
「――‥💧」
一瞬忘れていたかのような返事を返す苗に晴樹は静かにキレる‥
そして落ち着きを取り戻すと再び口を開いた。
「苗‥」
「ん?」
「明日も一緒にランチしような。」
「ランチ?」
聞き返す苗に晴樹は頷き弁当をつつきながら答える
「ああ‥
明日も明後日もこれから毎日ランチご馳走してやるから。」
「‥‥」
そしてランチの皿から顔を上げ、無言で見つめてくる苗に晴樹は微笑んだ。
「明日は、肉詰めピーマンが食いたいなっ
今日、帰りに買い物行くか?」
さりげなく、自分の為に弁当を作ってこいと要望しながら、晴樹は予定を詰めて行く。
少しでも苗と居たい‥
ほんの少しでも、苗の時間は夏目には譲れない‥
晴樹は苗が自分と買い物に行くことを好むのを知っている。
何故なら‥
‥あ、そだ!トイレの紙がきれそうだった!兄さんに買いだめしてもらおっと!
そう、一緒に買い物したときは支払いはすべて晴樹持ちだったからだ‥💧
・
ついでに他に買う物はなかったかとホクホク顔であれこれ考える苗を見ながら、晴樹はふと、寂しげな顔を見せる‥
援助をする以外、苗との接点が見い出せない自分自身に晴樹は切なさを覚えていた。
‥今は別にそれでいい。
晴樹は自分自身にそう言い聞かせる‥
今度の土曜日は援助抜きのちゃんとした当たり前のデートだから‥。
苗と二人で‥
そう思いながら、すごく楽しみにしてたのに‥‥‥
恋の女神は晴樹の恋路に向風を送り込む…
ほんの一歩も前進出来ないような向風を‥
女神は中々、晴樹の恋を応援してはくれなかった…。
「はあ!?
急に何言ってんだよ!!」
土曜日の午前中、慌ただしく出掛ける準備をする晴樹に電話が入った。
「だから、昼の一時に空港に着くから迎えに行ってくれ。と日本語を言ってるつもりだが‥」
「―――‥」
流暢に語る電話の相手に晴樹は無言でキレる。
電話の相手は晴樹のパパさんだった…
「ざけんなよ!💧いきなり言われても無理に決まってんだろ?俺は今から用があるから。」
晴樹はそう言って電話を切った。
・
「たくっ何急に言ってんだよ‥俺は今からデートだっつーの!」
晴樹はぶつぶつと愚痴をこぼしながら鏡で身なりを整える
「デート‥か‥//」
そうボソッと呟き返しながら晴樹は微かに笑みを浮かべた‥
鏡の前の香水を手首にひと降りすると残りを耳の後ろに擦りつける。
そして、チケットを忘れないように確認していると、今度は晴樹の耳に携帯のメール受信音が聞こえてきた。
苗からかと思い、晴樹は急いでメールを確認すると‥
✉
〔鬼息子へ〕
「‥‥っ」
パパさんからのメールだった💧
題名を読んだ瞬間キレる晴樹‥
とりあえず、ずらずらと書き綴られたメールを読むと‥
✉
〔誰も知る人の居ない土地で少女は心細さを胸に抱え震えることだろう‥
ああ!可哀想な少女‥
鬼のような男を慕い見知らぬ土地に降りたった少女は見捨てられたことも知らず慣れぬ土地をさ迷い行方不明に‥‥‥
そして、発見された時は変わり果てた姿で‥〕
「・・・・‥💧」
その先もずらずらとミステリー小説のような文章が書き綴られている‥
晴樹は途中で携帯を閉じていた…。
そして整えた髪をくしゃっと掻き上げベッドに座り込む。
・
そして吐き捨てるように呟いた
「‥っんで、よりによって今日なんだよッ」
諦めきれない思いを抑え込むように晴樹は額を両手で覆い伏せぎ込む。
晴樹は苛立ちながら智晴に電話を掛け直していた‥
「行く気になったか?」
「行けないって!
用事があるって言ってんだろ!?
他の奴に頼めよ!無理なら俺が村井に頼むから‥」
「‥じゃあ、お前の用事を村井に頼め。」
「な…っ…ふざけんなよ!」
‥何、言ってんだよこのジジイ💧
勝手極まりない智晴の言葉に晴樹は一瞬、絶句していた。
そんな晴樹に智晴は構わずに続ける
「リディはお前が迎えにくるのを楽しみにしてるんだ。いざ、日本に着きました。でも、当の晴樹がいません。‥じゃあショックが大きいだろ?
リチャードにも日本に着いたら晴樹が全面バックアップするから安心しろって言ってある。
14歳の少女はお前を頼って日本にくるんだぞ。
今後のわが社の発展の為にも、リチャードの信用を無くすことはできん!
なんの我が儘か知らんが、お前の用事は大した用事じゃあないだろう?」
―――‥!
そう言った智晴の言葉に晴樹は反論することができなかった。
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