ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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14章 心の変化

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「うわっ…味がないっ」

「病人食ですからね💧
味はたぶん中に入ってる梅干し一個だけでしょう。
酸味が少しあったから」


「なんで村井が味を知ってるんだ!?」


感想を述べるリディに村井は語る。そして村井の言葉に晴樹がキレていた💧
村井はちょっと味見をしたようだった‥


「‥で、この袋は?」

「お土産だって言ってましたよ」

小さい袋を手にして聞く晴樹に村井は答える‥


‥土産?‥俺に?‥


「そか、わかった‥//

じゃあこれちょっと温めてくれる?」


「はい。わかりました‥」

「え?晴樹、
今、食べるの!?
さっき食いきれんって言って餃子残したじゃない?💧」

お粥をタッパーから皿に移しレンジで温めだした村井を見ながら、リディは驚いた表情を晴樹に向けていた

そんなリディに晴樹は微かに顔を赤くしながら返す


「これは“別腹”なんだよっ!!‥//💧」


「‥‥ベツバラ?」


チーンと温め終了の合図が響き、晴樹は村井から看病セットを受け取ると自分の部屋にさっそくこもる‥

「ねえ、‥村井さん。

ベツバラってどういう意味?」

「‥‥💧」

リディは別腹の意味を知らなかった‥。



「はあーっ‥

玉子酒って強烈な味だな💧」



晴樹はお粥と玉子酒を完食し、大きな独り言で感想を述べる‥


そして苗からの土産、バットマンのキーホルダーを目の前にかざし笑みを浮かべていた‥


恩返しだっていうのはわかってる‥
でも、やっぱり嬉しい気持ちは誤魔化せない‥


苗の家からここまでは結構距離がある。

自分の為に作ったお粥を持ってバスに揺られて来た苗を思い浮かべたら微笑まずにはいられなかった‥


‥苗は‥サプライズが得意だな‥//💧


サプライズ‥そう、
スポーツ大会の時もそうだった。
夏目だけに弁当を作ったと思いヤキモチ妬きまくった後に見せられたお重箱の豪華な弁当‥


全部、意図的に計画されたものではなかったが‥

少なくとも晴樹はその、苗の意表を突く行動に何度となくやられている💧



晴樹はキーホルダーを手の平で転がしキュッと握り締める‥
そして苗にお礼の電話を入れる為に携帯を手にした‥


理由さえあれば電話は掛けやすい‥


そう思いながら苗の携帯番号を押そうとしたとたん、画面が明るくなる


「え!?💧苗!!?‥///」


画面に表示された名前に驚き晴樹は焦って携帯を落としていた

「も、もしもし…っ…苗!?」

拾い上げた携帯を慌てて耳にかざす

『もすもす💧?

なんだか気合い入ってるだね?体調はもうよくなった?』

「‥///💧」


力み過ぎた晴樹の応答の仕方に苗はそう言って返す


「ああ、苗のお粥のお陰で元気になったよ‥//
ありがとな‥わざわざ持って来てくれたんだって?」

『うん‥看病しようと思っただけどさ、出掛けたってのりちゃんが言うから‥
具合悪い時は寝てなきゃだめだょ💧』


「ああそうだな💧‥」

‥のりちゃん?
村井のことか…💧

晴樹は気にかけながら苗の言うことを聞いている


のりちゃん‥

そう、勿論、村井 徳人‥彼のことである。


『そうだ、兄さん!』

「ん?」

『明日はN舎の屋上でお弁当食べようよ!
今ね秋桜が咲いて綺麗なんだって由美が言ってただょ』


苗はこの数日を学食で晴樹と過ごしていた為に蕾の秋桜しか目にしていなかった



「秋桜?
それもいいな」

‥でも、あのクソ夏目がいるんだよなっ…


思い出したくない奴を思い出し晴樹は顔をしかめていた


‥それでも、苗の傍には居たい‥//


恋敵に対しての嫌悪感より、苗に対しての恋心の勝った晴樹が出した答えは‥



「わかった‥じゃあ弁当楽しみにしてるから‥//」


N舎行き決まりの返答だった


『じゃあ明日は何のおかずにする?兄さんは何食べたい?』


「―――///💧

明日は‥‥

苗の作ったのなら何でもいいよ‥//」


新婚の奥さんのような会話に晴樹は顔を緩め返事を返す
そんな晴樹の曖昧な答えに苗は物を申した。

『まぁた、そんな答えが一番やりにくいだよね!
何でもいいとか言って絶対あとから文句言うだよ、そういうタイプはっ』


‥ムッ…
「何だよそういうタイプって!?」

『食べたい物は食べたい!!好きなものは好き!!ってはっきり言えねぇ中途半端な男は所詮、一番大事なもんに逃げられるダセー男だ!って父ちゃんがいつも言ってるだよ‥』


「…っ……」

‥なんで今、そんなこと言うんだよ!!💧‥//


晴樹は思いっきり自分に当てはまる言葉を言われ顔を引きつらせた



「別に俺は中途半端じゃ‥」


‥ただ、望みがないなら兄さんとして頼られるだけでも傍に居たいって思っただけ‥で‥


・・・──‥💧‥//



‥思いっきり中途半端な男だな‥💧‥//


苗に言われた満作論理に晴樹は反論できず、考え込みながら次第に落ち込んでいった……。


『わかったなら明日、なに食べたい?』

「‥‥‥//💧」


苗に催促され晴樹は少し考える‥
そしてぼそっと呟いた‥


「そぼろ‥//」

『‥ん?』

「そぼろが食べたい‥//

苗がこの間作ってきた弁当‥あれ、旨かった‥//」



そう、晴樹は苗の弁当で初めて鶏そぼろを食べて密かに感動していた‥


そぼろ弁当は、給料日前に少ないおかずを誤魔化す為に苗がよく使う手法だったのだ💧

甘辛く煮たそぼろと青菜の漬物、そして細かくほぐした炒り玉子。
三色の具材を見た目よく振り掛けたカラフルな弁当に、晴樹は手を付け崩すことを躊躇した程だった‥


『わかった!
じゃあ明日はそぼろ弁当作るから楽しみにしててね』

「ああ‥//
楽しみにしてるから‥」


晴樹はそう返事を返し、切れた電話を確認して自分も携帯を閉じた。

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