194 / 255
15章 苗の異変
4
しおりを挟む仕方なくリディに従いながら、晴樹は唖然とする苗にミラー越しで、ごめんと詫びのジェスチャーを送ってくる。
晴樹に謝られ、苗は仕方なくリディの意見を優先した。
‥まぁ、大事なお客さんならしょうがないか‥
ヒルズ行ってから映画でもいいや‥
苗は携帯の時計を見て次の上映時間を確認する。
‥えと、あ!これなら間に合うなっよしよし!
今日はあまり遅くならないように帰らなきゃだし。
ただ、
そう納得してはみたものの‥
六本木ヒルズを見て回るイコール=半日は余裕で潰れてしまうということを二人は忘れていた‥
ヒルズを初めて訪れたリディは自分の見たいお店をもちろん、くまなく見て回る。
「晴樹! 次はあのお店!」
晴樹の腕を引っ張り色々な店に入る度に晴樹の手荷物はどんどん増えて行く始末‥
そして苗は後ろから二人の後をてくてくとついて回りながらリディの買い物の仕方に興奮していた💧
「ねえ、このマネキンの着てるのちょうだい」
「はい、少々お待ち下さい」
値段も確かめずリディは店員に言いつけ、片っ端からマネキンを裸にしていた
・
‥あひゃぁ💧え!?
それも買うの!?それさっきのお店で買ったのと同じに見えるだよっ!?
リディにそう言いたくても言えない‥
苗はリディの大人買いをハラハラしながら見守るしかなかった💧
ただ‥そう思いながらも苗は羨ましくもあった‥
そう、
誰もが憧れる大人買い
値段を気にせず買い物をしたうえ、同じ物を買い間違ったとしてもカリカリせずに、「まぁ誰かにあげればいいわ」くらいの余裕‥
一度でいいからそんな気分を味わいたいものだ。
‥はぁ‥いいな‥//
大人買いか‥
初めて見ただょ‥
苗はキラキラとした瞳でリディの衝動買いっぷりを見つめていた
*──*
やってみた~ぃ
大人な買い物
セレブ買い~
*苗造‥こころの川柳‥*
苗は二人を眺めながらふと、携帯の時計を確認する
そして焦った
‥あ!💦
もうすぐ映画の時間だ
あちらこちらとリディに連れて回られる晴樹の服の裾を苗はくいっと引っ張った。
「――?ん、なに?」
「兄さんもうすぐ、映‥」
「晴樹!あのお店可愛い服があるわ」
苗が言いかけた言葉を遮るように、リディが晴樹を自分の思うままに引っ張って行く
・
「‥ちょ、わかったから引っ張っるなよっ」
「‥あっ、
‥兄さ──‥」
リディの荷物をたくさん抱え、歩きにくそうに腕を引っ張っられる晴樹に呼びかけたが晴樹の耳に苗の声は届かなかった。
‥兄さん‥‥
二人の背中を見つめる苗の表情がふと、微かに曇る‥
苗はひそかに落ち込みながら、そんな二人の後をついて行く‥
店の外で二人を待ちながらショーウィンドウに寄り掛ると苗はふと足元に目を落とした。
そして小さくため息をついてポツリと呟く‥
「‥はあ‥
映画‥始まっちゃった‥」
ため息と一緒にほんの少し、じんわりと苗の瞳に涙が浮かんだ‥
苗の家にはDVD機器がない‥
レンタルして観れない為に新作映画はテレビのロードショーでしか視聴できないのだ。
最初から観れないとわかっていれば諦めもつくが、今日は完全に映画を観る気満々だった苗はかなりがっかりしていた
リディに引っ張り回わされる晴樹にチラリと目を向けて、再び苗はうつ向く。
・・・・‥
―――‥苗の‥
苗の兄さんなのにっ‥‥
晴樹の腕に絡みつくリディを見て、ふと苗の中にそんな感情が芽生えていた
・
なんとなく、リディにかまってばかりの晴樹に寂しさが募る‥
「はぁ‥」
‥もう、帰ろうかな‥
そんな思いと共にため息をつくとお腹も鳴りだしていた。
楽しみにしていた映画が観れなくなった途端、忘れていた空腹が苗を襲い始めていたのだ。
晴樹は店の外で待っていた苗が気に掛り、ふと目を向けると苗がとぼとぼと歩き近くのベンチに腰掛ける姿が目に入った…
―――‥あれ‥
‥‥苗?
晴樹はうつ向いた苗の姿を目に止め、リディの腕をほどく。
そして隣にゆっくりと腰を下ろす晴樹に苗は気づいた‥
「――‥ぁ、兄さん‥」
「ごめんな苗‥
疲れたか?
この買い物が終わったら映画行こうな‥」
「‥ぅん‥」
苗の顔を覗き込み頭を撫でながら優しく声をかける。そんな晴樹に、苗は元気なく返事を返すと顔を上げた。
「でも、もう‥帰るよ」
「──っ‥帰る!?‥」
晴樹は目を見開き聞き返す
「‥なんで!?
観たい映画だったんだろ!?」
‥そんなこと言うなよ‥
なんだか苗の言葉に胸が締め付けられた気がした。
・
ほんの一時でも一緒にいたい‥
そんな気持ちを少しでもいいから晴樹は苗にわかって欲しかった。
「あいつに遠慮することないから‥」
そう言って説得してくる晴樹に苗は笑顔を返しながら言う
「うん‥‥でも、また今度でいいだょ、今からだと遅くなるからさ!‥
帰って家のこともしなきゃだし‥」
──…苗?
晴樹はそう言って笑う苗の笑顔が少し気にかかった‥
少し疲れた感じで無理に作った笑顔を心配そうに晴樹は覗き込む。
「ごめんな‥やっぱ、疲れたよな‥
よし!
わかった‥じゃあ、もう帰ろうか‥な!」
二人で話しをしていると、買い物を済ませまだ、どこかの店を見に行こうとするリディに晴樹が言い聞かせる
「ねえ晴樹!!次はっ‥」
「次は無し!
もう、散々買い物しただろ!?これ以上買ってどうすんだよ!」
「えーっ!!だってまだ見たいとこっ‥」
「駄目だ!」
言い切る晴樹にリディは口を尖らせ抗議している
そんな二人を眺め、苗は口を開いた
「兄さん、苗は一人で帰れるからいいょ‥」
0
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい
みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。
それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。
願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。
スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。
ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。
※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。
東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」
──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。
購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。
それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、
いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!?
否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。
気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。
ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ!
最後は笑って、ちょっと泣ける。
#誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。
S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…
senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。
地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。
クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。
彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。
しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。
悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。
――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。
謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。
ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。
この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。
陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる