ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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15章 苗の異変

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「──‥!?…なんで‥

こいつに遠慮することないって。もう、これだけ付き合ってやったんだから」


「うん。でも、大事なお客さんだし‥‥
一緒に見て回ってあげて」

……苗?


晴樹は尚も遠慮をし続ける苗にふと、疑問を抱く


「‥でも、そんな言ったって一人で帰るっ‥て‥
荷物はどうすんだよ」


‥あ、💧そう言えば買い物したやつがあったんだった‥


何だかいつもと違う感じの苗に気づきながら晴樹は口を出す
そして晴樹に言われ、苗は大量に購入した赤ちゃん用品があることを思い出していた


‥荷物か‥でも、もう帰りたい‥なんだかすごく帰りたいだょ‥


苗はためらいながら少し考える‥

そして覚悟を決めた


「たまには、リッチにタクシーにでも乗って帰るよっ」


「タクシー!??

‥お前が!?」


「うん‥。だから大丈夫だょ」

苗の言葉を聞いて晴樹は目を丸くした。



苗の口からタクシーに乗るなんて言葉を聞くとは思わなかった


‥そうまでして帰りたいのか?

ふとそう疑問に思う。
元気もないし、遠慮し過ぎでちょっと気にかかる‥



「苗?‥

そんなに疲れた?」

晴樹に聞かれ苗は素直に頷き無理に笑顔を向けた‥

「そうか‥‥」

晴樹はそんな苗の頭にぽんと手を置き苗を見つめ返す。
元気のない苗が無理して笑う姿に晴樹は物悲しささえ感じてしまう

楽しいデートをするつもりでいたのに‥
まさか苗に、こんな顔をさせるとは思いもよらなかった──


ちょっと辛い‥

でも、悪いのは自分だから‥

いい加減な気持ちでリディと約束してダブルブッキングにしたのも自分のせい‥



確かにこれがビジネスの上で起こった出来事なら、これ程の失態はないだろう。


「ごめんな‥なえ‥」


「兄さん達はゆっくりお店見ればいいだよ!」

謝ってばかりの晴樹にそう言いながら苗のお腹がキュルっと鳴り出す‥


「‥ヘヘ‥💧お腹もすいちゃったし‥//」

そう言って照れながら頭を掻いて笑う苗に晴樹も笑い返す

「‥‥クス‥

そうだな、俺も腹空いたしな!
じゃあ、リディなんか食べてからにするか。」

「そうね、アタシもお腹ぺこぺこだわ‥」


「よし、苗も食べてから帰ろう?
な!‥その方が元気になるぞ!!」




晴樹はそう言って苗の背中を叩き、気合いを入れるように立ち上がらせる
そして、みんなで結城グループが経営する中華料理屋に向かった‥


「ここなら持ち帰り出来るからみんなにも持って帰れるだろ?」

「ぅん‥」


時間は七時を少し過ぎた頃‥
晴樹は田中家のみんなの夕食を持って帰れるようにしてくれていた。
疲れてるなら家に帰って大人数の夕食作るよりは楽だろうと、晴樹なりの気遣いだったのだが‥


「‥‥‥

苗?‥旨いか?」



晴樹は料理が運ばれてきても、あまり手の進まない苗に尋ねる

「中華は苦手か?」

「ううん、そんなことないだょっ」

そう言ってぎこちない笑顔を作り無理矢理、口に料理を運ぶ苗を晴樹はジッと見つめる‥



‥やっぱり、元気がないな‥



料理を前にして元気のない苗を晴樹は気に掛けていた。


そして、店の者を呼ぶと持ち帰りで注文した品物を急ぎで作るよう頼んだ。


「苗、」

お皿を見つめ、チビチビと口に料理を運ぶ苗に晴樹は呼びかける

「タクシー呼んでやったから家帰ってゆっくり食え‥な」

出来あがった持ち帰りを手にした晴樹に言われ苗は頷いて席を立つ




そして二人で店を出ながら晴樹は苗の様子を伺っている。料理を前にしても、持ち帰りを手にしても笑わない苗を晴樹はこの時、初めて見たのだ‥


「じゃあみんなによろしく、言って。」

買い込んだ荷物をタクシーのトランクに移し晴樹はタクシー代を苗に渡す‥

「誘っといてほんとにごめんな‥
今度は二人でゆっくり映画行こうな‥。」


苗の頭を撫で少し寂し気に微笑む晴樹に苗も頷き返す


「今度」があるかどうかもわからない。
果たせないかも知れない約束‥


「じゃあ運転手さんお願いします。」


晴樹は運転手に声をかける。そして、走り去るタクシーを見送るとため息をついていた‥


自分と一緒にいて、元気のない苗は出来るだけ見たくなかった‥
話し掛けて無理に作り笑いを返す苗も‥


見たくはなかったのに‥


‥家に帰ってから後で電話してみよう‥やっぱりあの元気の無さは気にかかる‥


晴樹はそう思いながら店の中に戻った
席に着き中断していた食事を続けながら晴樹はリディにも食事中に席を外したことをとりあえず詫びて料理を口に運ぶ。そんな晴樹にリディは言った


「なんか‥あの人って

‥我が侭ね‥」


「──‥!?」



リディの言葉を聞いて晴樹は顔をあげる

「お前‥💧
我が侭って言葉の意味知ってんのか!?」


自分を棚に上げて言うリディに晴樹はキレながら質問していた💧














八時を過ぎた頃、田中家の玄関先で車の停車する音が聞こえてくる

「あ!
姉ちゃんが帰ってきた!!」

タクシーの止まる音に気づくと腹を空かせた陸たちが玄関を開けて苗を出迎えてくれていた

「ただいま‥だょ」

「‥‥‥💧おかえり。」


「タクシーに荷物あるから運んでくり‥
姉ちゃんは疲れたからもう寝るだょ‥」


「‥‥わかった💧」

やけに元気のない苗に驚きながら陸達は渡されたお持ち帰りを手に、自分の部屋に向かう苗を見送る。


「珍しいな?姉ちゃんがあんなに疲れた顔見せるって‥」


そんな陸の呟きに、海と空が無言で頷き返していた‥














「はぁ‥」



苗は自分の部屋に入ると何度も小さいため息をつきながら寝巻きに着替える。


‥何だか身体がだるいだょ。。。
すごく疲れちった‥
兄さんの風邪がうつったかな‥

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