196 / 255
16章 すれ違い
1
しおりを挟む「ねえ陸、
苗はテレビ見ないの?」
毎週、この時間にある苗の大好きなお笑い番組のオープニングの歌を聞きながら、夕食の後片付けをするオカンが陸達に尋ねる
「うん。体の調子が悪いんだって!」
‥体の調子?
・・・・あら‥あの娘がこのテレビ視ないなんてそんな悪そうには‥
陸の説明を受け、オカンが首を傾げていると玄関で電話が鳴り出し、空が重い腰を上げて電話を取りに行く。
「はい。もしもし、田中です。」
『あ、結城で‥』
「お!‥兄ちゃんか!」
名乗った瞬間、イキイキと尋ね返す空に晴樹は驚きながら用件を口にした。
『あ、ああ💧
ごめんな、夕食遅くなって‥もう食ったのか?
ちょっと苗と代わってほしいんだけど‥苗は?』
苗を見送ったあの後、晴樹達も食事を済ませ家に帰りそして、今日の苗の様子が気にかかった晴樹は苗の携帯に電話を掛けたのだが、案の定‥苗は携帯に出なかった。そのために自宅の電話に掛け直したところだったのだ‥
「姉ちゃん疲れたっつって帰ってきてすぐ二階に行っちゃったぞ。たぶん寝てると思う‥」
『──寝た?』
晴樹は折り返し尋ねた。
・
「うん。好きなテレビの時間になっても視にこないからたぶん‥」
『飯は?
‥食べなかったのか?』
晴樹は店でほとんど食べなかった苗を心配して空に尋ね返した
「食べてないよ。だって兄ちゃん達と食べたんじゃないのか?」
『‥‥‥食べたけど、ほとんど手をつけてなかったから家でゆっくり食えって苗の分も余分に持たせたんだよ‥』
‥食べてない?そんなに調子悪かったのか‥‥
電話口で晴樹は疑問に思う。
『そうか‥わかった。
今日、ちょっと一緒に居た時も調子悪そうだったから電話してみたんだけど‥
じゃあ後で苗の様子見て兄ちゃんに電話くれるか?』
晴樹に頼まれ空は返事を返すと電話を切った‥
そして、オカンに告げる。
「なに?晴樹クンから?持ち帰りのお礼ちゃんと言った?」
「あ💧お礼忘れた‥」
「んもう、バカね!」
「いいよ後で電話するから。それより母ちゃん‥」
空はオカンに怒られながら電話の内容を告げ、身重のオカンの代わりに自分達の部屋へ苗の様子を見に行った‥
「母ちゃん!!
姉ちゃんがっ…」
「──‥!?」
そして空が慌てて二階から駆け下りてくる!
・
「──…久しぶりに出たみたいね‥」
オカンは熱く赤い顔で荒い呼吸を繰り返す苗の様子を見て額に手を当てながらそう呟いた‥
「空。とりあえず救急車呼んで‥」
「わかった‥!」
一緒に苗の様子を陸達と覗き込みながらオカンは空にお願いする‥
肝心のオトンが酒を飲んで寝てしまっていた為に救急車を呼ぶしかなかったのだ‥
「姉ちゃん大丈夫か?」
陸達が心配しながらオカンに聞いてくる
「大丈夫よ、風邪じゃないから点滴ですぐ治ると思うわよ、
‥でも、ほんと久しぶりに出たわね?なんでかしら‥」
オカンは陸達にそう言い聞かせながら冷たいタオルを苗の首筋に当てた。
久しぶりに出た苗のこの症状‥
そう‥陸達が産まれる前はよく発病していた…
突発性の高熱発症‥
周りには疲れた時に、よく発病すると言っていたが実は発病する理由があったのだ‥
「急患はどちらですか!!」
救急車が家の前に止まり、ドヤドヤと靴を履いたまま救急隊の人達が二階に乗り込んでくる。
今にも破水しそうな妊婦のオカンとベッドに寝ている苗を見比べながら救急隊の人はそう聞いてきていた💧
・
オカンは救急隊の人に簡単に苗の持病の説明をすると、救急車に空と二人で付き添いかかりつけの総合病院へ向かった。
そして、病院に着きベッドに横になり、点滴を打つ苗の傍にカンは付き添う。そのオカンの代わりに空は苗の携帯で家に電話を入れた。
‥あ、結城の兄ちゃんにも電話しなきゃ!
苗の様子を気に掛け、電話をしてきた晴樹との約束を思い出し、空は家に電話を掛けたあと再び携帯で晴樹に電話をかける‥
‥学校から帰る時はそんなに体調悪くは見えなかったのに‥、やっぱり引っ張り回し過ぎたか?…
晴樹は自分の部屋のソファに腰掛けテレビを見ながら苗の今日の様子を思い出していた。
ふぅ、とため息をつきながら力なく歩き椅子に腰掛けた苗の姿がなんとなく脳裏に焼き付いていて頭から離れない‥
そんなことを思い出していると、部屋のドアをノックする音が‥
‥また来たか💧
晴樹はそう思いながら、ノックの主を部屋に招き入れた。
「ねえ晴樹!
これはどう?似合うかしら」
「‥‥ああ‥
なんでも似合うからそろそろいい加減にしてくれ💧」
0
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい
みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。
それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。
願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。
スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。
ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。
※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。
東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」
──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。
購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。
それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、
いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!?
否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。
気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。
ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ!
最後は笑って、ちょっと泣ける。
#誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。
S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…
senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。
地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。
クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。
彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。
しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。
悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。
――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。
謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。
ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。
この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。
陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる