ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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17章 距離…

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「田中さん調子はどうかな?」

「はい、だいじょびです!」


翌日の朝を迎え、一晩過ごした病室で様子を伺いにきたカウンセラーのドクターに苗はいつも通りの答えを返す。
世間話や物価高騰の話題、家計のやりくりが大変だと、苗らしい愚痴にドクターは普段の苗の様子と何ら変わらないことを確認しながらデータを取っていく‥

「‥んでも、兄さんが色々恵んでくれるから助かってるだよ!」

「兄さん?‥」

「はい!田中家の救世主。ハレンチ兄さんって言いますっ」

「ハレンチ兄さん💧?」


苗の口から初めて聞くその名前をドクターは聞き返しながら問診表にチェックを入れた

「ハレンチ兄さんってのは誰かな💧?」


「ハレンチ兄さん‥

それはそれは、たいそう高貴な生まれの出の方なのですよ!
ただ、非常にハレンチがお好きな方でして・・・…」

「はぁ・・
ハレンチがお好きでお金持ち?‥で、良く怒る‥と💧」

ドクターに質問され、苗は晴樹の事を伝説のように語って聞かせた‥
そして、苗の説明をこと細かくメモしていく💧

久しぶりに発症した苗の病気に関連がないかを調べるためだった



「なるほど。
じゃ、そのお兄さんって人は田中さんにとって特別な人なんだね」

「‥?」

笑顔で問いかけるドクターに苗は疑問顔を浮かべて返す

「そうかそうか、苗ちゃんもお年頃だね。
家計の話しか聞かなかったから心配してたけど‥

いやぁ~よかった!」


ドクターは一人で納得すると振り向き様に怪しげな笑みを浮かべ病室を出ていく。苗はその後ろ姿をキョトンとしたまま見送っていた

ドクターが出て行って数分後―――
病室のドアが勢いよく開く。



「おう、苗。」

「あ、父ちゃん!
みのり、すごい元気だっただょ」


「お、もうご対面してきたのか?
父ちゃんに似て美人だったろっ」

「苗に似て美人だっただよっ」

どっちもどっち‥
さすが似たもの親子の会話だった💧

田中家の次女‥みのりちゃん。

秋の実りの時期に生まれたからと豊作爺ちゃんが夕べ考えて付けたらしい‥

朝一番に目覚め、オカンが出産した旨を知らされた苗は早速、我が妹を愛でに行ったのだ‥

『うわぁ‥


‥金太郎みたいだね💧』

『‥‥💧

苗が生まれた時とそっくりよ。』


『‥ふーん💧』




妹を初めて見て発せられた苗の感想にオカンの返した応えだった




「苗、お前は昼に退院できるらしい。父ちゃんは母ちゃんとこ付いてるからお前はあんちゃんに送ってもらえ!」

「兄さん?‥‥。」

「ああ、なんだ?
なんか気に食わねぇってツラだな?」


オトンからそう聞かされ、苗は無意識に表情を曇らせる

「別にそんなことはないだょ‥ないだけど‥‥‥」

「ないだけどなんだってんだ?」


‥ないけど…

苗は口を尖らせぶつぶつと呟きを繰り返すだけだった

「苗、あんちゃん昨日も遅くに見舞いに来たんだ。後でその詫びもしとけよっ
んじゃ父ちゃんみのりんとこに行ってくるからな!」

「みのりん💧?」


鼻の下を伸ばし鼻歌を歌いながら愛妻と生まれたばかりの愛娘の待つ部屋へと向かったオトンを見送り、苗は退院の支度を整えながら考え込んでいた


『昨日も見舞いに来たんだ』

‥昨日も?
全然気付かなかっただよ…

高熱にうなされていたせいで、自宅で布団に潜り込んだ辺りから記憶が曖昧‥


『あんちゃんが迎えに』


‥兄さんが迎えに?

‥‥でも、兄さんあの娘の相手で忙しいって…




昨日の出来事が苗の頭の中で回想される‥

あちらこちらへといいように振り回されていた晴樹‥

怒りながらも『たくっ、しょうがないな💧』そう言いながら結局はリディの我が侭を聞き入れ買い物に付き合っていた。


“大事なお客‥”


‥しょうがないだよね…

大事なお客だから・・・。


半日の入院だった為に退院の支度も早めに終わり苗は再びベッドに潜り、携帯電話を見つめた…

おもむろに携帯のボタンをプッシュする‥
発信音のする機体を耳にあて苗は白い天井をぼーっと見上げていた…



『もしもし?

‥苗?おーい、苗?』


電話口からは出ても返事の返ってこない相手に焦って応答を願う声が響く。
苗が電話を掛けた相手は晴樹だった…


「もすもす‥」

『あ‥💧
苗、よかった。調子はどうだ?』

電話の向こうで安堵の吐息が漏れる。
苗は無意識の内に晴樹に話掛けた

「兄さん‥」

『あぁ、なんだ?
腹でも減ったか?
昼に退院だってさっきおじさんから連絡あったから、ついでに何か食って帰るか?』

明るく返す晴樹の声が頭にぼわんと響く‥


「兄さん‥あのね‥‥

迎え‥いいだから…」


──!?

『は!?‥』

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