ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

文字の大きさ
201 / 255
17章 距離…

2

しおりを挟む

『なんだって?』


晴樹はもう一度聞き返す。

「うん。あのね‥

お迎え、いいだから。
兄さん来なくてだいじょびだから。」


『───‥‥』


苗はそんな言葉を返していた…


『いいって‥

おじさんが言ったのか?』

‥おかしい…
おじさんからはさっき連絡が入ったばかり。

“昼に退院だから、じゃあ頼むなっ”


満作からはそんな連絡が入ったばかりだった‥


『誰か迎えに来てくれることになったのか?』

おじさんからは何も聞いてないのに‥

晴樹はそう思い問いかける。

「うん。あのね、大ちゃん来てくれるって‥」


『・・・

──…っ!‥はっ!?』

‥大ちゃん!?

『大ちゃん!?

大ちゃんって何言ってんだお前?アイツは学校だろ!?』

そう平日の昼と言えば学生はまだ、学校に居て当たり前。
学園に席は置いてるものの、理事長の身内であり高校、大学の卒業資格を持ってる晴樹だからこそ、車通勤したり登校の多少の自由が許されているのだ‥


‥大会を前にしてまさか学校サボる気じゃねえよな?またアイツの邪魔が入るのか!?

苗の口から出た夏目の名前に晴樹は少しずつ冷静が保てなくなっていく‥



『なんでアイツが来るんだよ!?
苗が頼んだのか!?』


問いただす晴樹の口調は無意識に強くなり、苗はその声を遠くで聞くかのように頭で捉える‥
苗はぼうっと晴樹の声を聞きながら応えていた。


「うん。あのね、
兄さん忙しいからと思って大ちゃんにお願いしただょ。したら大ちゃん来てくれるって言ったから‥」


苗は大嘘をついていた…

勿論、夏目にお願いしていなければ夏目自身、苗が救急車で運ばれたことも今日学校を休んでいることも知らされていない。

ランチタイムに由美と顔を合わさない限り、夏目は現時点で苗が入院していることも知るよしはないのだから

『苗、俺が迎え断るから夏目の番号教えろ…』

「‥‥‥」


声音の低くなった晴樹に苗は無言で返す


『苗!‥』

‥頼むから言うこと聞いてくれっ!


怒鳴りそうな自分がいるッ
自分よりライバルの夏目を選ぶ苗に感情のままあたり散らしそうな自分が‥

携帯を持つ手に力が入りミシッと機体が軋む音が聞こえた。

『苗、

‥夏目は大事な大会控えてんだから、こんなことで振り回すなよ…な、

俺だってそんなに忙しいって訳じゃ‥』




切ない


すごく、切なさが込みあげる


晴樹は自分をなんとか落ち着けながら唇を噛み締め苗に言い聞かせる


リディが現れたことで苗がどんどん遠ざかって行く‥

妙によそよそしい他人行儀な苗の態度がすごく悲しく思えてならなかった

『苗‥
夏目には大会に集中して貰わなきゃ学園も困るから‥な、‥今日だってアイツは大会までの追い込みで部活がある筈だろ?』


学園にかこつけてでもなんとか夏目を引き離したい

晴樹は苗の様子を伺いながら話掛ける…


『苗、聞いてる?』


「うん‥
わかっただょ…

大ちゃんに断る‥」


覇気のない返事がボソッと聞こえた

『そうか‥
じゃあ、少し早めに迎えに行くから…』


苗の返事に安堵しながらも元気のない声が気に掛かる‥

約束を取り付け電話を切ると晴樹は重いため息を溢しソファに腰掛けた‥


〃兄さん忙しいから‥〃


苗の言葉が乗し掛り胸が詰まる


「一緒に居たいんだよ‥」


ソファの背もたれに頭を預け天井を見上げながら言葉を洩らす


‥俺は‥っ

出来ればずっと一緒に居たいんだよッ!!


叫びそうな想いを噛み締め瞼を覆う


苗のせいですっかり弱くなってしまった涙腺を恨みながら晴樹は目頭に力を込めた


◇◇◇


「じゃあ、田中さん。
相談事があったらいつでも来てくださいね!
悩み多き年頃なんだから独りで悩んじゃ駄目ですよ?」

「‥‥‥はぃ?💧」


約束通り、昼前迎えに来た晴樹の車に乗り込んだ苗にドクターは病室で見せたあの怪しい笑みを浮かべ助手席の苗を覗き込む‥
その笑みは隣の晴樹にも注がれていた💧


意味深な含み笑いを溢すドクターに会釈を返し車を発進させる‥


「まだ、体調悪いか?」

晴樹は隣で静かにしてる苗を心配して話かけた。


「だいじょびだょ‥」


「‥‥」


全然だいじょびそうじゃない‥

晴樹は前を向いたまま無表情でそう返す、いつもと全く違う雰囲気の苗を気に掛けながらハンドルをきる


無言の続く車内で空気だけが静かに張り詰めていく‥

「な‥」

「はい、もすもす!

あ、大ちゃんっ?」


重い空気を換えようと晴樹が苗に呼び掛けた時だった。

さっきとはまったく違ういつもの苗。
そんな苗が携帯を手にし、呼びかけた相手の名は夏目だった


‥夏目?



「うんうんっ
だいじょびだってば!
ぶはっ‥そうなんだよ!
明日は学校行けるからさっ」


‥‥‥

──っ‥なんでこんなに態度が違う!?


晴樹はご機嫌に受け答えする苗を横目に見ながらみる間に不機嫌になっていく



「うん、じゃあまたね」


「───…夏目からか?

なんだって?」

「ん?べつに。
ただ、大丈夫か?ってだけ。」


「‥‥‥」


携帯を切って直ぐに問いかける晴樹に苗は真顔で返した

晴樹はそのテンションの違いが気にいらない。
淡々とした会話が途切れ車内は再び静かになる。


「苗―――」

「‥?」


その沈黙を晴樹が破った。車を道路脇に停車させ、晴樹は苗の方を向き直る。


「なに?」

「‥‥‥夏目に迎えに来てもらった方がよかったのか?」


穏やかな口調を崩さぬよう自分に言い聞かせ晴樹は口を開く

息苦しい

ざわつく胸がきしみ出す

なんで毎回こんな想いをしなきゃなんねぇ!?


苗以外を望んだ訳でもない──

苗だけ居れば‥
苗だけ傍に居てくれればいい!!
そう言ってるのに──

なんで‥っ‥‥

しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる

グミ食べたい
恋愛
高校一年生の高居宙は、クラスで一番の美少女・一ノ瀬雫に一目惚れし、片想い中。 彼女と仲良くなりたい一心で高校生活を送っていた……はずだった。 だが、なぜか隣の席の女子、三間坂雪が頻繁に絡んでくる。 容姿は良いが、距離感が近く、からかってくる厄介な存在――のはずだった。 「一ノ瀬さんのこと、好きなんでしょ? 手伝ってあげる」 そう言って始まったのは、恋の応援か、それとも別の何かか。 これは、一ノ瀬雫への恋をきっかけに始まる、 高居宙と三間坂雪の、少し騒がしくて少し甘い学園ラブコメディ。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

処理中です...