ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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17章 距離…

3

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不安な気持ちを押し殺し、応えを待つ晴樹に苗はポツリと口を開いた‥


「うん‥

大ちゃんに迎えに来てもらった方が・・・」


「──…っ‥」


苗の口から出た言葉に晴樹は一瞬目を見開いた。

苗の言葉に心臓が大きく跳ね返り痺れを伴う。胸の痛みに喉の奥が妬ききれそうな熱を持つ‥
晴樹はそれを堪えるように奥歯を噛み締め必死で平静を装った


「‥ッ‥‥そ‥か

じゃ‥悪いことしたな」


歯を食い縛りながら途切れ途切れに言葉を発し晴樹は前を向く‥

胸の痛みが抑えきれずどうしても顔に出てしまう

晴樹はぎゅっと目を閉じてハンドルを握る手に力を入れた。


‥忙しい兄さんに無理に来てもらうよりは大ちゃんの方が‥

それか、荷物もないから一人で帰った方が💧‥


口を尖らせ考え込む苗の隣で、込み上げる想いを必死で抑え込むと晴樹は口を開いた。


「じゃあ‥

今度から苗のことは夏目に頼むか? な!」


歪みそうな唇で晴樹は無理矢理、苗に笑みを向けた‥

そんな晴樹に苗は頷き返す


「うん。兄さん忙しいし‥これからは大ちゃんにお願いするだょ」


「──…っ…」


晴樹の顔が牽きつった。

「そ‥だな…

俺も忙しいしな…。」




思わぬ苗の言葉に、晴樹は唇を噛み締めた。

何も考えないように‥

そう自身に言い聞かせながら再び車を走らせる。ハンドルを意識しないとまともに運転が出来ない‥



晴樹の心は既にバランスを失い掛けていた―――










「じゃあ、
あまり無理すんなよ‥
しんどいなら明日も学校休めばいいから。」


なるべく‥
なるべく優しい言葉を‥

苗の自宅に着き、車から降りた苗に晴樹は運転席に乗ったまま優しい言葉を掛けてやる

「うん。兄さんありがと。」

「―――‥」

苗のありがとうの言葉が何となく胸に突き刺さる‥
車の中でも静か過ぎるくらい大人しかった苗‥

もしかして夏目のことを考えてたんじゃ…

そんな考えが頭をよぎる‥

「‥じゃ。」

晴樹は短い言葉を返しアクセルを踏んだ


ミラーの中、小さくなる苗が歪んでボヤける‥
晴樹は角を曲がると急ブレーキを掛けて車を止めた


「‥っ‥ふ‥‥」

途端に我慢しきれなかった声が漏れる──


“大ちゃんに迎えに来てもらった方が‥”

唇を尖らせ拗ねた苗の表情を思い出す。


「──っ‥なんだよそれっ!」




ハンドルを抱え塞ぎ込むとそんな言葉が口をついて出ていた

好きだって想いも通じない‥

一緒に居ることもままならないっ

やりばのない想いを堪えきれず晴樹は一気に顔を崩した。

ハンドルを握り締めた手を放すと歪む顔を両手で覆う。心の乱れを断ち切りたくてドアのフロントガラスを力無く何度も叩くと晴樹は小刻みに震える肩をかばうようにうずくまる



苦しい‥
もうごめんだ!

こんな想いっ

もう、したくないッ


苗のことを想うと心が壊れる

「苗っ‥

もう‥無理だッ‥」

みっともない程震える唇を噛み締めながら晴樹は嗚咽と共に言葉を吐いた

もう何もかもが耐えられない──


晴樹の心はこれ以上の苦しみに耐えられないほど弱りきっていた‥



思い通りにいかない晴樹の恋‥
どんなに頑張っても
叶わぬ想い──

ほんのささやかな夢さえも恋の女神は見せてはくれなかった…












〃俺も忙しいしな‥〃


「やっぱり忙しいんだ…」

苗は晴樹の言った言葉を思い出していた…

「ん?なんだ?
姉ちゃんなんか言ったか?」

「‥💧
なんでもないだょ」




ポツリと呟く姉の独り言に陸が反応を示す

〃大ちゃんに頼んだから〃

忙しいだろうから当分はあまり晴樹に頼れない。
そう思って言った嘘だったのに‥

‥〃忙しい〃なんてはっきり言われたら引くに引けないだょ💧

気を使って言った言葉に

〃俺も忙しいしな〃

晴樹はそう返した。しかも

〃今度から夏目に頼むか〃

こんな言葉まで…

はっ──💧もしかすると兄さん、大ちゃんに苗を押し付けようと思ったんじゃっ…


ジャジャジャじゃ〰んっ

‥しょんな…

青ざめた苗の頭の中でベートーベンの『運命』が鳴り響く💧

「おい‥姉ちゃんが考え込んでるぞ💧」

「病院代が高かったんかな?💧久しぶりに、勘定ババァぶり発揮か!?」


病院から帰って来るなり難しい表情で考え込む苗を見て海と陸がボソボソと語る。
そんな浅読みの二人の会話に策士の空が口を挟んだ


「――俺は‥違うと思うね。

あの表情はまさしく‥」


「〃まさしく〃なんだ?」

単細胞の二人が声を揃え聞き返す
そんな二人に策士、空は腕を組み語る

「あの表情は‥


――――恋だ」


「…恋!?」


空の答えに二人は顔を見合わせた。そして空は得意な顔で語り出す



「姉ちゃんの顔を良く見ると解る!」

そう言われて二人は苗の顔をジッと見る

「いつものタコ顔だぜ💧?」

海がいった💧


「――――!‥いや。
ちょっと待てっ

何か違うぞ!!」

何かに気付いた陸が叫ぶ!

「そうかわかった!!

口だ!!口が違うっ」


「口💧!?」

興奮する陸に海が聞き返す

「ああ、姉ちゃん勘定ババァになる時は口が真一文字になるんだっ
オレよく闘う時に見てるもん!変身後の姉ちゃんをっ」

「口‥
そうか‥なるほど💧」

「うむ、イイとこに気付いたようだね、チミ達」


「おう、グリーン!このくらいなんてことないさっ、オレはリーダーだぜ!?なあブルー!!」


陸はニャンだーマンレッドのポーズを決める
どうやらブルーが海でグリーンが空の役割らしい💧


「レッド!!
そのくらいで自惚れるのはまだ早い‥」

「‥な、なに💧!?」


いつの間にか戦隊ゴッコが始まったようだった💧


「人の心は奥が深い‥
よいか稚拙な若者達よ。耳かっぽじって良く聞くがいい…」

同じ隊員の筈なのに何故か仙人口調の空‥

「ニャンだー元老!?」

海が空の前に膝まづきそう呼びかける。

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