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20章 恋の片道切符二枚組
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その日は
天気のいい朝だった…
──────────
「晴樹!!
村井さんがもう待ってる!」
「ああ、今行くから。」
旅立ちの日、身支度を整えた晴樹を急かす賑やかな声が下の階から響き渡る。
晴樹は腕時計をはめながらリディに返事を返していた。
空の旅にふさわしい程澄んだ景色。晴樹の心を映したような見晴らしに晴樹も満足そうに笑みを浮かべる。
嬉しくて全然、眠れなかった筈なのにぐっすりと安眠したようなすがすがしさがある。
苗はもう…俺の恋人…//
そう思っただけで胸が弾み、浮足立ってる自分自身が笑えてくる。
情けない笑みでもなければ、嘲笑う笑みでもない…
自分の晴れやかな気持ちを素直に讃える笑み…
幸せが溢れた微笑みだった。
「晴樹!?
早くってばっ」
「…💧
わかったよ!」
チッ💧
せっかくの気分を💧…
晴樹は壊された幸せなひとときを胸にしまい、家を後にした💧
「やあだ晴樹、何ニヤニヤしてんの?」
「うるさいなほっとけよっ…//」
空港に向かう車の中。フッと時折笑みを浮かべる晴樹を、リディは不審げに見ていた💧
「そだ。ねぇ晴樹、
向こうに着いたら紹介したいフレンドが居るの!
もちろん会ってくれるわよね」
「無理。」
・
即答の晴樹にリディはぐっと喉を詰める。
「なんでよ!いいじゃない少しくらっ…」
「無理。」
…冗談じゃない💧
早く仕事を終わらせて日本に帰る。俺はそのつもりで向こうに行くんだから…
日本に帰ったらやりたいことがいっぱいあるっ
いっぱい…//
「やだ、何赤くなってんの?💧」
「うるさい!!…//」
にやける口元を隠し急に赤くなった晴樹にリディはツッコミを入れる。
…帰ったら、
また、日本に帰って来たら苗とゆっくり過ごす…//
いっぱい話をして
いっぱい苗の笑顔を眺めて…
いっぱい苗を抱きしめる。
…苗…//
両想いになったらなったで違う切なさが晴樹の心を支配していた…
人って不思議だな…
想いが伝われば十分。
そう思ってたのに…
手に入ったら入ったで、また次を望んでしまう。
どんどん溢れる出る欲…
叶えたい願いは次々に湧いてくる…
『もうちょっと一緒に居たい…』
……///…っ!
「はぁーーくそっ…//
俺だってもっと一緒にっ」
「……💧
晴樹どうしたの!?」
夕べの苗の言葉が頭に浮かび急に声に出して叫ぶ晴樹に驚き、村井とリディは目を見開いていた💧
・
…今頃は、夏目のために弁当作ってんだろうな・・・
…っ
すっげーむかつくっ!
なんでアイツのためになんだ!?
想い合っても離れなきゃなんねえ俺の運命っていったい…
車道の流れる景色を眺め、晴樹は次第に想いを募らせる…
そんな晴樹の脳裏にあの日聞いた、夏目の忌まわしき呪詛のような言葉が思い浮かんだ──
『大会で優勝したら寄りを戻す!』
…寄りを戻す……
・・・・っ──
嫌な予感がする…
夏目はいつもイイところを拐っていく。
俺が望んだこと全てをアイツはいつも、意図も簡単に…
晴樹はそう思うと同時に携帯に手を伸ばしていた。
「…?
誰に掛けるの?
晴樹のダディ?」
「ちょ💧覗くなよ…//」
苗の待ち受け画面をリディに見られないように、晴樹は携帯をかばいながら電話を掛けた。
「あ…っ、苗?」
電話に出た苗に呼び掛ける。
「忙しい時に悪いな…
ちょっと…気になって…//💧
いや何がって💧…」
要件を聞き返す苗に晴樹は口隠る💧
「お前、約束してただろ?夏目と…
いや、だから…何を?じゃなくて💧」
…こいつ忘れてんのか💧!?夏目とのあの約束💧
・
能天気な返事しか返さない苗に呆れつつ晴樹は尋ねる。夏目と交した約束事。その内容を苗に突き詰めるように晴樹は切り出した。
「この大会で優勝したら、夏目と寄りを戻すって約束したんだろ!?アイツが優勝したらお前どーすんだよっ?」
📱
「・・・
あ~…そんな約束もあったね…はは💧」
……💧
「バカっ
はは💧じゃない!お前は俺の彼女だろ!?」
「…彼女?
あ~、そぅだね…//」
…そうか、彼女か…//
電話口で晴樹に言われた彼女という響きに苗はうっとりしている💧
苗はせっぱつまる晴樹に事情を詳しく話た。
「………っ
なに💧!?
国体で優勝したら付き合って。…って?」
「うん。」
…国、体?
って……
来年の話じゃねえか💧…
アイツ・・・
さも、すぐ付き合えるような言い方しやがってっ…💧
晴樹はあの時の挑戦的な夏目の態度に怒りを彷彿させる。
『大会で優勝したら…』
晴樹は夏目の言葉を聞いて不安で堪らなかった。
中々、思い通りに行かない自分の恋。楽しみにしていたデートもことごとく邪魔が入り、気落ちした自分を心配し、看病セットを持って見舞いに来てくれた苗に喜んだのもつかの間だった…
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