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第6章「最高神生誕祭」
119話 どこで鍛錬しよう?
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宮殿の中も、祭りの準備で慌ただしい様子であった。入口からエントランスホールに向かい、二階への螺旋階段を上る。アイリスの部屋の付近に大きな部屋があるのだが、白を基調とした金の魔法陣を模した紋章が描かれた旗が飾られている。そこが、魔特隊の本部となる部屋だ。
私はアスタと一緒にその部屋へ向かうところだった。
「む? ユキア、ここで何をしておるのじゃ」
「げっ」
古めかしい口調の幼い声に、恐る恐る振り返る。長ったらしいストロベリーブロンドと、桃色のドレスの幼女……もといアイリスが私たちの後ろに立っていた。後ろには、なんかニヤニヤしているアリアも立っていた。
「あっ、アスタだ! 遊ぼ!」
「ちょっとアリア、何考えてんの!」
「ユキア? な、なんでもないよ?」
少なからず手を出す気だったのか、目が泳いでいる。
しかし、アスタ本人はアリアの発言を気に留めている様子はなく、アイリスの方を不機嫌そうな顔で見据えていた。
「キミこそ何してるのさ、アイリス。今日はキミに用はないよ」
「なぬっ!? アスタ……聞いたぞ、最近爺様にちょっかいをかけたんじゃろう!? どこまで無礼なんじゃ!」
「ちょっかいじゃないもん、気に食わないことを言われたから腹が立っただけだもん!」
「お主の方が余計なことを言ったからではないのかえ!? おまけにあの場所に忍び込みおって……!!」
「あーもう、アイリス様落ち着いて」
アスタとアイリスがギャーギャーと喚きながら喧嘩を始めた。顔が真っ赤なアイリスを、アリアが押さえている。
この二人、メアの事件のときに初めて会って、それ以来はあまり顔を合わせていなかった気がするのだが。なんでこんなくだらない言い合いができるのだろう。
「妾はこれでも最高神なのじゃぞ、もっと敬意を示さんか!」
「やだよ! ボクはキミじゃなくて、初代最高神しか尊敬してないから! キミはちっちゃい子供にしか見えないんだよね~」
「お主……やはり不敬じゃ! クリムに頼んで刑罰を与えてもらうわい!!」
「クーは関係ないでしょ! そこは自分でやりなよ!」
……くだらない喧嘩はまだ続いていた。さすがに鬱陶しく感じてきた。
そこで、私たちの前の両開き扉が勢いよく開け放たれた。緋色の長髪が舞い踊り、怒号が飛び出してきた。
「お前らさっきからうるせーんだよっ!! ちょっとは静かにしろ────って、アイリス様!?」
「す、すまぬなティアル……仕事中だったかの」
魔特隊の本部から出てきたティアルは、いつも通り鎧の姿だった。平常時くらいは別の格好で仕事すればいいのに。
アイリスまで喧嘩に参加しているとは思わなかったのか、呆気にとられた顔でうなだれていた。
「はぁ……すみません。っていうか、なんでそいつと喧嘩してたんですか」
「色々と事情があったのじゃよ! それよりユキアよ、もしやティアルたちに用事があったのではないかえ? 早く済ませるがよい」
遅れたのはあんたたちが原因だろうが、という恨み言は引っ込めて、本題にさっさと入ってしまおう。
私たちは本部である部屋の中に招き入れられる。総指揮官であるティアル専用のテーブルに椅子、他には部屋の外に飾られていたのと同じ魔特隊の紋章の旗が設置されている。
ティアルの他に、魔特隊に所属する一般神が何人か駐在していた。顔見知りはいなさそうだ。ティアルは席につき、他の一般神たちに仕事に行くよう告げた。部屋には私たち二人、なぜかついてきたアイリスとアリアが残る。
「それで、どういう用事だ? 忙しいから手短に頼むぜ」
私はここに来た理由を話す。ティアルはこくこくと頷きつつ、私の話を遮ることなく聞いてくれていた。立場が私よりも遙かに上なのに、こうして平等に話を聞いてくれるのは本当にありがたいことだ。
「ほーん、なるほどねぇ。強くなりたいから鍛錬させてほしいと……そんなら魔特隊に入ればいいじゃねぇか」
「いや、それとこれとは話が別だから無理。人手不足なのはわかってるけど」
「ま、そうなるよなー。別に無理して入ることはねぇよ。何しろ危険が多すぎるからな」
どこか苦々しい笑みを浮かべるティアルの言葉。ここ最近の事件がなかったら、私はこの言葉の意味を理解できなかったと思う。
「ほう、鍛錬とな。妾も付き合おうか? ちょうど仕事も一段落したところじゃからな」
「ちょっ、何言ってるんですか! 私はともかく、アイリス様は安静にしてないとダメですよ!」
「失礼な! 妾も昔は魔物とやり合ってたのを忘れたかえ!?」
「だ、だってアイリス様、発作は大丈夫なんですか……!?」
アリアは必死に止めようとしていたが、アイリスはなぜかやる気満々のようだ。
というか、今不穏な言葉が聞こえたような……?
「アイリスは手を出さないで! ユキは自分で強くなるんだから!」
「なんでお主が反発してくるんじゃ……まあよい、どうせならアリアに稽古をつけてもらうのはどうじゃ?」
「あっ、そっか。昔みたいにまた剣術教えてあげよっか?」
「何勝手に話進めてんの!?」
私やアイリスたちで色々話している中、ティアルは少し考えたあと、ぱんっと手を強く叩いて顔を上げた。
「あっ、そうだ。正式に入隊はしなくていいから、一時的に任務に参加するのはどうよ」
「一時的にって……それっていいの?」
「知ってるだろ? 神隠し事件があってから、めっきり戦闘員が減ったから、今進行中の任務で人手不足のところが結構あってな。それを手伝ってほしいんだ」
「……それで身体を鍛えられるの?」
ちっちっち、とティアルが人差し指を立てて見せた。
「魔特隊の任務はハードだぜ? 舐めてかかると痛い目見るぞ」
「えぇ……死なないかなぁそれ」
「ユキ、やってみたらいいと思うよ。実戦経験は多いに越したことはないからね」
うーん、アスタの言う通りだとは思う。ハードな任務を積み重ねているうちに身体も慣れるかもしれないし。
「あっそうだ。アスタ、お前も魔特隊の任務手伝え」
「ええっ、なんでボクも!?」
「いや、冷静に考えてみろよ。お前、ユキアの家に住まわせてもらってるんだから、ちょっとはキャッセリアに貢献してくれたっていいだろ? それにめっちゃ強いって聞いたし、手伝ってもらえば溜まってる任務が大体片付きそうだしな!」
「それっていいように利用しようとしてない!? ボク、毎日ユキのご飯作ってるのにぃー!」
……なんかアスタが泣き言を言っている気がするけど、放っておこう。多少酷使しても死ぬことはなさそうだし。
私のこれからやることが決まったところで、アイリスが残念そうな顔でティアルの方へ近づいた。
「むぅ……今ちょうどアリアが暇してるところだったんじゃが。結局剣術は稽古せんのか」
「まあまあアイリス様。本人なりに鍛錬の計画があるなら、それに準じてやるのが一番ですよ。アリアとユキアじゃ使う武器種が異なりますし、今ならもっといい師がいるかもしれませんし」
「えー、私の前でそれ言っちゃうのティアル? 失礼にも程があるよ?」
「だって事実だろー。それに戦い方とかパワーバランスも考えると、腕っぷしが強いお前よりも適任がいるだろ?」
「うーん、それを言われちゃうとねぇ……」
アリアは私が幼い頃、アイリスによって私の剣術の稽古をつけるように言われそれに従った。ついでに言うと、私がアーケンシェンと少し繋がりがあるのはそれが発端だった。
剣術をもう少し洗練させるなら、私もアリアではなく別の神から教わる方がいいと思っている。アリアは両手剣で、私は片手剣。同じ剣でも扱い方が違う。
つまり、新たに剣術の稽古をするなら、同じ片手剣使いが望ましいのだけど……。
「まっ、まずは基礎体力からって話だからな。ユキア、アスタ、私についてこい!」
「ちょっ、引っ張らないでよ!?」
ティアルが私たちの手を掴んで、一気に部屋から飛び出した。そこから宮殿を走り出るのに、ちょっとまばたきを繰り返すほどしか時間はかからなかった。
私はアスタと一緒にその部屋へ向かうところだった。
「む? ユキア、ここで何をしておるのじゃ」
「げっ」
古めかしい口調の幼い声に、恐る恐る振り返る。長ったらしいストロベリーブロンドと、桃色のドレスの幼女……もといアイリスが私たちの後ろに立っていた。後ろには、なんかニヤニヤしているアリアも立っていた。
「あっ、アスタだ! 遊ぼ!」
「ちょっとアリア、何考えてんの!」
「ユキア? な、なんでもないよ?」
少なからず手を出す気だったのか、目が泳いでいる。
しかし、アスタ本人はアリアの発言を気に留めている様子はなく、アイリスの方を不機嫌そうな顔で見据えていた。
「キミこそ何してるのさ、アイリス。今日はキミに用はないよ」
「なぬっ!? アスタ……聞いたぞ、最近爺様にちょっかいをかけたんじゃろう!? どこまで無礼なんじゃ!」
「ちょっかいじゃないもん、気に食わないことを言われたから腹が立っただけだもん!」
「お主の方が余計なことを言ったからではないのかえ!? おまけにあの場所に忍び込みおって……!!」
「あーもう、アイリス様落ち着いて」
アスタとアイリスがギャーギャーと喚きながら喧嘩を始めた。顔が真っ赤なアイリスを、アリアが押さえている。
この二人、メアの事件のときに初めて会って、それ以来はあまり顔を合わせていなかった気がするのだが。なんでこんなくだらない言い合いができるのだろう。
「妾はこれでも最高神なのじゃぞ、もっと敬意を示さんか!」
「やだよ! ボクはキミじゃなくて、初代最高神しか尊敬してないから! キミはちっちゃい子供にしか見えないんだよね~」
「お主……やはり不敬じゃ! クリムに頼んで刑罰を与えてもらうわい!!」
「クーは関係ないでしょ! そこは自分でやりなよ!」
……くだらない喧嘩はまだ続いていた。さすがに鬱陶しく感じてきた。
そこで、私たちの前の両開き扉が勢いよく開け放たれた。緋色の長髪が舞い踊り、怒号が飛び出してきた。
「お前らさっきからうるせーんだよっ!! ちょっとは静かにしろ────って、アイリス様!?」
「す、すまぬなティアル……仕事中だったかの」
魔特隊の本部から出てきたティアルは、いつも通り鎧の姿だった。平常時くらいは別の格好で仕事すればいいのに。
アイリスまで喧嘩に参加しているとは思わなかったのか、呆気にとられた顔でうなだれていた。
「はぁ……すみません。っていうか、なんでそいつと喧嘩してたんですか」
「色々と事情があったのじゃよ! それよりユキアよ、もしやティアルたちに用事があったのではないかえ? 早く済ませるがよい」
遅れたのはあんたたちが原因だろうが、という恨み言は引っ込めて、本題にさっさと入ってしまおう。
私たちは本部である部屋の中に招き入れられる。総指揮官であるティアル専用のテーブルに椅子、他には部屋の外に飾られていたのと同じ魔特隊の紋章の旗が設置されている。
ティアルの他に、魔特隊に所属する一般神が何人か駐在していた。顔見知りはいなさそうだ。ティアルは席につき、他の一般神たちに仕事に行くよう告げた。部屋には私たち二人、なぜかついてきたアイリスとアリアが残る。
「それで、どういう用事だ? 忙しいから手短に頼むぜ」
私はここに来た理由を話す。ティアルはこくこくと頷きつつ、私の話を遮ることなく聞いてくれていた。立場が私よりも遙かに上なのに、こうして平等に話を聞いてくれるのは本当にありがたいことだ。
「ほーん、なるほどねぇ。強くなりたいから鍛錬させてほしいと……そんなら魔特隊に入ればいいじゃねぇか」
「いや、それとこれとは話が別だから無理。人手不足なのはわかってるけど」
「ま、そうなるよなー。別に無理して入ることはねぇよ。何しろ危険が多すぎるからな」
どこか苦々しい笑みを浮かべるティアルの言葉。ここ最近の事件がなかったら、私はこの言葉の意味を理解できなかったと思う。
「ほう、鍛錬とな。妾も付き合おうか? ちょうど仕事も一段落したところじゃからな」
「ちょっ、何言ってるんですか! 私はともかく、アイリス様は安静にしてないとダメですよ!」
「失礼な! 妾も昔は魔物とやり合ってたのを忘れたかえ!?」
「だ、だってアイリス様、発作は大丈夫なんですか……!?」
アリアは必死に止めようとしていたが、アイリスはなぜかやる気満々のようだ。
というか、今不穏な言葉が聞こえたような……?
「アイリスは手を出さないで! ユキは自分で強くなるんだから!」
「なんでお主が反発してくるんじゃ……まあよい、どうせならアリアに稽古をつけてもらうのはどうじゃ?」
「あっ、そっか。昔みたいにまた剣術教えてあげよっか?」
「何勝手に話進めてんの!?」
私やアイリスたちで色々話している中、ティアルは少し考えたあと、ぱんっと手を強く叩いて顔を上げた。
「あっ、そうだ。正式に入隊はしなくていいから、一時的に任務に参加するのはどうよ」
「一時的にって……それっていいの?」
「知ってるだろ? 神隠し事件があってから、めっきり戦闘員が減ったから、今進行中の任務で人手不足のところが結構あってな。それを手伝ってほしいんだ」
「……それで身体を鍛えられるの?」
ちっちっち、とティアルが人差し指を立てて見せた。
「魔特隊の任務はハードだぜ? 舐めてかかると痛い目見るぞ」
「えぇ……死なないかなぁそれ」
「ユキ、やってみたらいいと思うよ。実戦経験は多いに越したことはないからね」
うーん、アスタの言う通りだとは思う。ハードな任務を積み重ねているうちに身体も慣れるかもしれないし。
「あっそうだ。アスタ、お前も魔特隊の任務手伝え」
「ええっ、なんでボクも!?」
「いや、冷静に考えてみろよ。お前、ユキアの家に住まわせてもらってるんだから、ちょっとはキャッセリアに貢献してくれたっていいだろ? それにめっちゃ強いって聞いたし、手伝ってもらえば溜まってる任務が大体片付きそうだしな!」
「それっていいように利用しようとしてない!? ボク、毎日ユキのご飯作ってるのにぃー!」
……なんかアスタが泣き言を言っている気がするけど、放っておこう。多少酷使しても死ぬことはなさそうだし。
私のこれからやることが決まったところで、アイリスが残念そうな顔でティアルの方へ近づいた。
「むぅ……今ちょうどアリアが暇してるところだったんじゃが。結局剣術は稽古せんのか」
「まあまあアイリス様。本人なりに鍛錬の計画があるなら、それに準じてやるのが一番ですよ。アリアとユキアじゃ使う武器種が異なりますし、今ならもっといい師がいるかもしれませんし」
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「だって事実だろー。それに戦い方とかパワーバランスも考えると、腕っぷしが強いお前よりも適任がいるだろ?」
「うーん、それを言われちゃうとねぇ……」
アリアは私が幼い頃、アイリスによって私の剣術の稽古をつけるように言われそれに従った。ついでに言うと、私がアーケンシェンと少し繋がりがあるのはそれが発端だった。
剣術をもう少し洗練させるなら、私もアリアではなく別の神から教わる方がいいと思っている。アリアは両手剣で、私は片手剣。同じ剣でも扱い方が違う。
つまり、新たに剣術の稽古をするなら、同じ片手剣使いが望ましいのだけど……。
「まっ、まずは基礎体力からって話だからな。ユキア、アスタ、私についてこい!」
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