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第8章「神智を超えた回生の夢」
182話 少女の眠りと少年の目覚め
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*
そのとき、世界は「砕けていた」。空、大地、山々、雪原────あらゆる場所に、物理法則を無視して「ひび割れ」ができていた。
ひび割れの先には、底知れぬ闇が広がっていた。生命はその闇を、俗に奈落と呼んでいた。文字通り、ひび割れの中には奈落が広がっており、人間が足を踏み入れれば二度と大地に立つことはできなくなるだろう。
そんな中、生命にとって危険極まりないひび割れの発生が比較的少ない場所があった。焼野原に等しい荒野に、数点の建物だけが建つ寂しい場所だ。
荒野には真っ白な宮殿と真っ黒な牢獄が建っていたが、牢獄の方は近づくだけでもおぞましい雰囲気が漂っていた。黒い霧に包まれ、空気が淀みに淀んでいる。
「……最後にようやく役に立ってくれたか。よくやった、ヴィータ」
牢獄の最奥にある狭い部屋の前に、やつれた初老の男が立っていた。掠れた声に応じるように、部屋の奥で蠢く黒い塊が身じろぎをする。
黒い塊の正体は、部屋を埋め尽くすほど大きな黒い百合の花だった。普通の植物ではなく、アストラルでできた茨や葉を蔓延らせた、歪な花だ。これは、世界を完全に滅ぼそうとした存在を牢獄の最奥へ封印するために生み出されたものだった。
百合の花の中に、少女が一人包まれていた。黒い百合の花弁と乱れた銀髪は相反した色であり、苦しげに開いた赤い瞳にはクローバーの模様を宿している。
「捨て身の策を使わせておいて、よくもまあいけしゃあしゃあと。人の心すら失くしたのですね────カトラス」
少女──ヴィータは、百合の花の中から男──カトラスに対し、たっぷりと皮肉を込めた笑みを送った。カトラスは少しも表情を変えず、何も答えない。
嫌味を言う気も失せた彼女はため息をついて、一番の気がかりについて尋ねた。
「お兄様はどこですか? 最後に一度だけ会わせてください」
「できない相談じゃ。あやつはヴァニタスの手の届かぬところへ追いやった」
手の届かぬところとは、果たしてどれだけ遠い場所なのか────ヴィータには予想もできなかった。古代の惨劇が終わった直後の世界はあまりにも歪で、あらゆる常識が壊されてしまっている。
ただ、わかっていることは一つあった。自分が包まれている黒い百合の中へ一緒に封じ込められた忌々しい存在がいる限り、兄に手を伸ばせなくなってしまったことだ。
「彼奴は罪を犯しすぎた。だから邪魔になったまで。理由はそれだけじゃ」
「理解できません。デウスガルテンがこんな有様になったからだというなら、はっきりそう言えばいいものを。なぜお兄様を罪人呼ばわりするのですか」
「お主が悪いのじゃよ、あいつの『暴走』を止められなかったんじゃから」
眉をひそめて問うヴィータに対し、カトラスは力なく首を振る。
「言ってもお主には理解できん。それに、お主のすべてを捧げてもなお、ヴァニタスを封じ続けなくてはいけないからのう。どうせ、そこで眠っている間にすべて忘れるじゃろう」
「何があろうと、お兄様のことだけは絶対に忘れません。あなたを心の底から憎み続けることもね」
クローバーを宿した瞳が赤く燃え滾っていた。彼女から滲み出るどす黒い感情を察知しつつも、カトラスは動かない。少女を包む黒い百合が、意志を持ったかのように動き出したからだ。
部屋中に黒い茨が張り付き、百合の花が閉じようとしている。ヴィータも花の中へ飲み込まれていく。
「元より、わしはお主らを信用しきっていない。所詮は主人に噛みついただけの狗に過ぎん」
カトラスは百合の花に飲み込まれていくヴィータを見つめ、そう言った。ヴィータの口からふっ、と小さくバカにしたような声が漏れる。
「今更、わたしたちを罵るんですね。わかっていたことじゃないですか。『悪魔の目』を使ってでも抗う道を選んだのは、他でもないあなたたちなのに」
黒い塊の中へ吸い込まれていくにつれ、視界がぼやける。やがて、視界が真っ黒に染まった瞬間、ヴィータの意識は闇に溶け落ちてしまった。
*
────朝日に照らされながら、重い瞼を持ち上げた。
ふかふかのベッドの上に眠っていた僕は、身体を起こして辺りを見回した。白い壁に囲まれ、綺麗な家具が置かれているのがわかった。一人で過ごすには十分な広さの部屋だった。
「初めましてじゃ。断罪を司る神よ」
目を覚ました横には、小さな女の子が立っていた。
ストロベリーブロンドの髪は、ウェーブがかっていて床に付きそうなほどに長い。甘いピンクのドレスに身を包み、大きな満月のような双眸で僕を見ている。手には、彼女の身に余るほど大きな金色の杖が握られていた。
直感的に理解した。このひとが……このお方が、僕の創造主だ。
「ふむ、調子は悪くなさそうじゃの。こちに来い」
彼女が部屋に用意された姿見を指さした。ベッドから降りて靴を履き、姿見の前に立った。鏡には当然、僕の姿が映る。
白いブラウスと黒いサスペンダーつきのズボン、青い布に身を包み、背中には翼を持っている。自分の目は、金と緑の色違い。アッシュブロンドの短い髪。大人ではないけれど、子供よりは少し大人びた中性的な顔立ちだ。
これが、僕────。
僕よりも背の低い彼女が、僕の肩を優しく叩いた。
「自分の名前はわかるか?」
「……クリム。クリム・クラウツ」
魂に刻み込まれた名を、自然と口にする。これが、一生涯の付き合いになる僕の名前だ。
彼女は、満足げに頷いた。
「よろしい。妾は、アイリス・エンプランツェ。この世界の最高神であり、お主の仕える人物じゃ」
「……アイリス、様?」
「そうじゃ。おーい、アリア」
創造主──アイリス様が、部屋のドアを開けて声をかけた。その向こうに広がる廊下から返ってきたのは、慌てた様子の女性の声だった。
「アイリス様、大変です! 倉庫に保管していたはずのガラスペンがどこにもないんです!」
「なんじゃと!? ……クリム、そこでしばらく待っとれ」
そう言って、アイリス様は部屋から出ていってしまった。何が何だかわからないけれど、待っていろと言われたからにはここにいるのが正解だろう。
とはいえ、ただ待っているだけでいいものだろうか。髪の毛を指先で整えたり、綺麗な服を正したりして暇を潰していると、部屋のドアが開いた。
アイリス様が戻って来たのかなと思ったが、違った。
「ほーん。オマエが最後のオッドアイか」
黒髪と頬の傷、そして青と赤のオッドアイが特徴的な男が入ってきた。服も真っ黒で、背中に生えた一対の翼も真っ黒だ。
このひと、誰? 空っぽである僕の記憶にはない人物だ。でも、向こうもオッドアイであることに気づき、仲間かもしれないと思った。
「……君は誰?」
「おいおい、そこは自分から名乗れよ。そうしたらオレのことも教えてやるからよ」
「クリム・クラウツ。アイリス様に仕えるオッドアイの神、アーケンシェンの一人。称号は『蒼銀の断罪者』」
「ふーん、なかなか聞き分けがいいじゃねぇか。もうちょっと人間味が欲しいところだけど、目覚めたばっかりだしそんなモンか」
男は一瞬真顔になったが、すぐににんまりと笑ってみせた。男が手を差し出したので、握り返す。
「オレは『黒鉄の死神』、クロウリー・シュヴァルツだ。同じアーケンシェン同士、クロウと呼んでくれてもいいぜ」
調子がよさそうで、ちょっと偉そうな男はそう名乗った。呼び名は短い方が効率がいいと思ったので、言われた通りに呼ぶことにした。
手を離したとき、握手していないほうの片手に、何かきらびやかな物が見えた。透明な青のガラスでできた、不思議なペンだ。
「それ、さっきなくなったって言ってたペン……」
「ん? ああ、これがオマエの武器なんだとよ。オレのとは違うタイプだったから、気になってな」
「……返してっ!」
自分で取り返すべきだと思い、ソファから飛び上がった。腕を伸ばしても、ひょいっと上に持ち上げられて届かない。クロウの方が、僕よりずっと背が高い。いくらジャンプしても、ガラスペンが遠い。
「ほれほれー、取ってみろよ最年少天使! オレに勝てたら褒めてやる!」
「────ああっ! やめなさいよ、クロウ!」
ガラスペンを取ろうと飛び跳ねていたら、誰かがクロウの後頭部を殴った。クロウの頭が横に倒されて、その拍子にガラスペンが手からこぼれ落ちる。床に落とさないように、僕がしっかりキャッチした。
クロウを後ろから叩いたのは、僕と同じ白銀の翼を持つ女性だった。緑と青のオッドアイに、水色の髪飾りをつけた薄い色の金髪が特徴的だ。
クロウは殴られた場所をさすりながら、その女性に目を遣った。
「いってぇ! 何すんだよアリア!」
「それはこっちのセリフよ! よりにもよって生まれたばかりの仲間をいじめるなんて、どういう神経してるの!」
「いじめてなんかねーよ、遊んでただけだっつーの」
「端から見たらいじめに見えるの! 最年長なんだから恥ずかしい真似しないで!」
また頭を叩いた。クロウはわざとなのか、本気なのかわからないが痛がっている。
アリアと呼ばれた女性が、今度は僕に近づいてきた。クロウとは違って、しっかりとしていて優しそうなひとだった。
「ごめんね、クリム。私はアリアラス・ウォーレイス。アリアって呼んで」
「……アリアも、アーケンシェンなの?」
「そうだよ。他にもオッドアイの仲間がいるの。その子たちも紹介するから、できることなら仲良くね」
「あ、オレは勘弁してくれよ。誰とも慣れ合うつもりねーから」
「あんたは黙って!」
クロウが文句を言うたび、バンバン叩かれている。アリアはみんなのお姉さんのような存在らしく、遠慮なく頼れるひとだと感じた。
それからアイリス様が戻ってきて、僕は部屋から連れ出された。乳白色の壁とレッドカーペットが敷かれた床が続く道を静かに歩いている。
僕がさっきまでいた部屋は、アーケンシェンに用意された僕専用の部屋らしい。アリアやクロウ、他のアーケンシェンも同じように自分の部屋を持っているのだそうだ。
今、僕たちが歩いているのは「白の宮殿」と呼ばれる建物だ。僕たちとアイリス様が暮らす大きな建物で、窓から見える周辺の景色はかなり殺風景だった。遠くの方に黒く四角い建物が見えたが、あそこから何か不気味な気配を感じたのであまり近づきたくない。
廊下を通り、玉座の間と呼ばれる場所へ辿り着いた。ここもまた白い壁に囲まれており、廊下と同じレッドカーペットでできた通路が設けられていた。その先に、白銀の玉座が見えた。
「あっ、アイリス様ー!」
玉座の間には、三人の人物がすでに佇んでいた。アイリス様に声をかけてきたのは、橙と赤のオッドアイと、緋色の長髪を持つ女騎士だ。
その他に、紫と緑のオッドアイと短い銀髪の中年男性と、赤と緑のオッドアイと金髪の小柄な少年がいた。少年の目と僕の目が合うと、彼はニッコリと笑いかけてくれた。
「初めまして、クリムさん。僕はトゥリヤ・デスティリオです! お会いできる日を楽しみにしてましたよ」
小柄な少年は、懐中時計がついた中折れ帽を外して僕に礼をした。あらかじめ聞いていたのか、僕の名前を知っていたのでちょっと驚いた。
「よ、よろしくねトゥリヤ。僕たち、年が近いみたいだね」
「えへへ、だって僕はあなたの一つ前に生み出された神ですから! 何か困ったことがあったら僕に聞いてください」
「おー、さっそく仲良くなってら。トゥリ坊も案外コミュ力高いよな」
達観した様子の中年男性が、僕たちに声をかけてきた。トゥリヤは「そんなことないですよー」と頬を赤くさせながら、中折れ帽を被り直した。
「俺はカルデルト・アライヴェーロだ。あっちの女騎士はティアル・ネイチャルト。あいつらみたいに暴れたりせず、穏便にやっていってくれると助かる」
「は、はぁ」
中年男性──カルデルトの視線の先には、クロウと女騎士──ティアルが掴み合いの喧嘩をしている光景があった。何が原因で喧嘩しているのか僕にはわからなかったが、アリアが慣れた様子でティアルを羽交い絞めにしていたので、いつものことかもしれないと思った。
「ほれほれ、新しく生まれた最年少の前じゃぞ。少しは年上らしく振る舞ってくれんか」
アイリス様が杖をつきながら、白銀の玉座に座った。オッドアイの神々はそれを見て、玉座の前で横一列に並び、跪いた。
僕は一番右端で同じように膝をつきながら、みんなの様子を横目で眺めた。静かに目を閉じて、首を垂れている。不真面目そうなクロウでさえ、他のみんなと同じ姿勢になっていた。
「さて。これで全員揃ったな。妾の忠実なる臣下、アーケンシェンよ。お主らにはこれから、この神々の街……キャッセリアを治めてもらう。後の神々のまとめ役として、それぞれの役割を果たすのじゃ」
アイリス様は幼い少女の姿でありながら、威厳に包まれていた。そう思うのは彼女の真剣な表情を見ているおかげなのか、僕たちが彼女によって生み出されたことを本能的に理解しているからか────どちらにせよ、彼女は素晴らしい人物だと疑わなかった。
玉座の間でのアイリス様の話が終わり、アーケンシェンたちはみんなそれぞれ自由に動き出した。僕はアリアについていってみようと考えたのだが、その前にアイリス様に呼び止められた。玉座から降りたアイリス様の横には、クロウも立っていた。
「クリムよ。お主の役割は、罪を犯した神々を正しい道へ導き、キャッセリアの調停を行うこと。そして、このクロウリーと一緒にデウスプリズンを守ることじゃ」
僕は、ここで初めて自分に与えられた称号の意味を理解した。「蒼銀の断罪者」とは、なんとも重苦しい呼び名だろうと思っていたから。
デウスプリズンとは、僕が宮殿の廊下を歩いていたときに窓から見えた黒い建物のことらしい。建物から感じた不気味な気配の正体は、今から約十五年前に封印された「何か」らしい。何が封じられているのかを尋ねたが、アイリス様は「今は知らなくてよい」と言った。
「それと、爺様から頼まれてな。これも渡しておこう」
アイリス様は、僕に一冊の分厚い本を手渡した。中身を開いてみるものの、なんと白紙だ。
「これは『原罪の記録書』という器具じゃ。本の形をしてはいるが、実際は魔力を吸収して様々な情報を記録する代物。とはいえ、お主にその記録が読めないこともあるじゃろう。そのときはあまり気にするでない」
「は、はぁ。使い方がよくわからないのですが」
「何か事件や異変が起きたとき、その器具に証拠となりそうな魔力を吸収させるのじゃ。その魔力を解析すれば、大半の出来事の原因が判明するからのう……と、爺様が言っておったぞ」
爺様、というのはアイリス様の養父であるカトラスさんのことを示しているらしい。他にもまだ理解しきれていないことはあったが、アイリス様は習うより慣れろと言いたげだった。このときはあまり使う機会はなさそうだと思い、原罪の記録書は懐にしまっておくことにした。
「ふーん、ということはオマエが小綺麗な守り人ってところか。ま、せいぜい頑張れ」
「えっと……クロウもデウスプリズンを守るのが役目なの?」
「そうだ。あとはまあ……いわゆる『汚れ役』ってところだ。意味は自分で調べな」
クロウがこのとき、自嘲するような笑みを浮かべていたのを、今でも覚えている。
彼はまだ、僕に自分の役割を教えようとはしなかった。彼なりに自分のプライドを保っていたのではないかと、僕は思っている。
「……クロウリー、妾はお主をそのように思っているわけではないのじゃが」
「嘘吐け。本当にそう思ってんなら自分がその役背負えよ、偽善者ババア」
「なっ!? お主、妾に向かってなんて口を……!」
クロウは顔をしかめたアイリス様に対して悪態をつきながら、僕の腕を掴んで玉座の間から連れ出した。そのまま、ずんずんと大股で歩いていくので、何度も転びそうになる。
玉座の間が見えなくなるところまで歩いて、僕はクロウの腕を振り払って彼を睨みつけた。クロウは動じることなく、僕を見下ろしている。
「アイリス様に謝りなよ。言い方ってものがあるでしょ」
「イエスマンだらけの集団ってのはことごとく腐敗していくモンだ。一人くらい出る杭がいなきゃ即刻滅亡するぞ」
生まれたばかりの僕には、最年長である彼の言っていることがよく理解できなかった。当時、クロウもまだ生まれて間もないはずなのに、他のアーケンシェンとは違う視点で物を見ることを覚えていた。単にそういう気質なのだろう、と僕はそれ以上考えなかったけれど。当時の僕はアイリス様に楯突くことはよくないことだと、本能から思っていた。
やがて、クロウは僕から目を逸らし、ふっと鼻で笑った。
「まあ、オマエにはわからないか。あまり深く考えず仕事して、アイツらと仲良くしていればいいさ。オレのことは気にすんな」
僕を一瞥し、宮殿の出口を目指し歩き去っていった。僕はクロウの真っ黒な翼が見えなくなるまで、その場に立ち尽くしていた。
廊下の窓の向こうを見遣ったとき、また黒く四角い建物──デウスプリズンが目に入った。あそこには恐ろしい何かが潜んでいる。なぜだかわからないけれど、僕はあの牢獄に封じられたものは、その「何か」だけではないように思った。恐ろしく歪なものとは別の、小さな気配を感じたからだ。その気配は、常に誰かを呼んでいた。
けれど、時が経つにつれ、その気配は歪なものに紛れて感じ取れなくなった。そのせいで、僕はいつしか、その気配の存在を頭の中から追いやってしまった。
そのとき、世界は「砕けていた」。空、大地、山々、雪原────あらゆる場所に、物理法則を無視して「ひび割れ」ができていた。
ひび割れの先には、底知れぬ闇が広がっていた。生命はその闇を、俗に奈落と呼んでいた。文字通り、ひび割れの中には奈落が広がっており、人間が足を踏み入れれば二度と大地に立つことはできなくなるだろう。
そんな中、生命にとって危険極まりないひび割れの発生が比較的少ない場所があった。焼野原に等しい荒野に、数点の建物だけが建つ寂しい場所だ。
荒野には真っ白な宮殿と真っ黒な牢獄が建っていたが、牢獄の方は近づくだけでもおぞましい雰囲気が漂っていた。黒い霧に包まれ、空気が淀みに淀んでいる。
「……最後にようやく役に立ってくれたか。よくやった、ヴィータ」
牢獄の最奥にある狭い部屋の前に、やつれた初老の男が立っていた。掠れた声に応じるように、部屋の奥で蠢く黒い塊が身じろぎをする。
黒い塊の正体は、部屋を埋め尽くすほど大きな黒い百合の花だった。普通の植物ではなく、アストラルでできた茨や葉を蔓延らせた、歪な花だ。これは、世界を完全に滅ぼそうとした存在を牢獄の最奥へ封印するために生み出されたものだった。
百合の花の中に、少女が一人包まれていた。黒い百合の花弁と乱れた銀髪は相反した色であり、苦しげに開いた赤い瞳にはクローバーの模様を宿している。
「捨て身の策を使わせておいて、よくもまあいけしゃあしゃあと。人の心すら失くしたのですね────カトラス」
少女──ヴィータは、百合の花の中から男──カトラスに対し、たっぷりと皮肉を込めた笑みを送った。カトラスは少しも表情を変えず、何も答えない。
嫌味を言う気も失せた彼女はため息をついて、一番の気がかりについて尋ねた。
「お兄様はどこですか? 最後に一度だけ会わせてください」
「できない相談じゃ。あやつはヴァニタスの手の届かぬところへ追いやった」
手の届かぬところとは、果たしてどれだけ遠い場所なのか────ヴィータには予想もできなかった。古代の惨劇が終わった直後の世界はあまりにも歪で、あらゆる常識が壊されてしまっている。
ただ、わかっていることは一つあった。自分が包まれている黒い百合の中へ一緒に封じ込められた忌々しい存在がいる限り、兄に手を伸ばせなくなってしまったことだ。
「彼奴は罪を犯しすぎた。だから邪魔になったまで。理由はそれだけじゃ」
「理解できません。デウスガルテンがこんな有様になったからだというなら、はっきりそう言えばいいものを。なぜお兄様を罪人呼ばわりするのですか」
「お主が悪いのじゃよ、あいつの『暴走』を止められなかったんじゃから」
眉をひそめて問うヴィータに対し、カトラスは力なく首を振る。
「言ってもお主には理解できん。それに、お主のすべてを捧げてもなお、ヴァニタスを封じ続けなくてはいけないからのう。どうせ、そこで眠っている間にすべて忘れるじゃろう」
「何があろうと、お兄様のことだけは絶対に忘れません。あなたを心の底から憎み続けることもね」
クローバーを宿した瞳が赤く燃え滾っていた。彼女から滲み出るどす黒い感情を察知しつつも、カトラスは動かない。少女を包む黒い百合が、意志を持ったかのように動き出したからだ。
部屋中に黒い茨が張り付き、百合の花が閉じようとしている。ヴィータも花の中へ飲み込まれていく。
「元より、わしはお主らを信用しきっていない。所詮は主人に噛みついただけの狗に過ぎん」
カトラスは百合の花に飲み込まれていくヴィータを見つめ、そう言った。ヴィータの口からふっ、と小さくバカにしたような声が漏れる。
「今更、わたしたちを罵るんですね。わかっていたことじゃないですか。『悪魔の目』を使ってでも抗う道を選んだのは、他でもないあなたたちなのに」
黒い塊の中へ吸い込まれていくにつれ、視界がぼやける。やがて、視界が真っ黒に染まった瞬間、ヴィータの意識は闇に溶け落ちてしまった。
*
────朝日に照らされながら、重い瞼を持ち上げた。
ふかふかのベッドの上に眠っていた僕は、身体を起こして辺りを見回した。白い壁に囲まれ、綺麗な家具が置かれているのがわかった。一人で過ごすには十分な広さの部屋だった。
「初めましてじゃ。断罪を司る神よ」
目を覚ました横には、小さな女の子が立っていた。
ストロベリーブロンドの髪は、ウェーブがかっていて床に付きそうなほどに長い。甘いピンクのドレスに身を包み、大きな満月のような双眸で僕を見ている。手には、彼女の身に余るほど大きな金色の杖が握られていた。
直感的に理解した。このひとが……このお方が、僕の創造主だ。
「ふむ、調子は悪くなさそうじゃの。こちに来い」
彼女が部屋に用意された姿見を指さした。ベッドから降りて靴を履き、姿見の前に立った。鏡には当然、僕の姿が映る。
白いブラウスと黒いサスペンダーつきのズボン、青い布に身を包み、背中には翼を持っている。自分の目は、金と緑の色違い。アッシュブロンドの短い髪。大人ではないけれど、子供よりは少し大人びた中性的な顔立ちだ。
これが、僕────。
僕よりも背の低い彼女が、僕の肩を優しく叩いた。
「自分の名前はわかるか?」
「……クリム。クリム・クラウツ」
魂に刻み込まれた名を、自然と口にする。これが、一生涯の付き合いになる僕の名前だ。
彼女は、満足げに頷いた。
「よろしい。妾は、アイリス・エンプランツェ。この世界の最高神であり、お主の仕える人物じゃ」
「……アイリス、様?」
「そうじゃ。おーい、アリア」
創造主──アイリス様が、部屋のドアを開けて声をかけた。その向こうに広がる廊下から返ってきたのは、慌てた様子の女性の声だった。
「アイリス様、大変です! 倉庫に保管していたはずのガラスペンがどこにもないんです!」
「なんじゃと!? ……クリム、そこでしばらく待っとれ」
そう言って、アイリス様は部屋から出ていってしまった。何が何だかわからないけれど、待っていろと言われたからにはここにいるのが正解だろう。
とはいえ、ただ待っているだけでいいものだろうか。髪の毛を指先で整えたり、綺麗な服を正したりして暇を潰していると、部屋のドアが開いた。
アイリス様が戻って来たのかなと思ったが、違った。
「ほーん。オマエが最後のオッドアイか」
黒髪と頬の傷、そして青と赤のオッドアイが特徴的な男が入ってきた。服も真っ黒で、背中に生えた一対の翼も真っ黒だ。
このひと、誰? 空っぽである僕の記憶にはない人物だ。でも、向こうもオッドアイであることに気づき、仲間かもしれないと思った。
「……君は誰?」
「おいおい、そこは自分から名乗れよ。そうしたらオレのことも教えてやるからよ」
「クリム・クラウツ。アイリス様に仕えるオッドアイの神、アーケンシェンの一人。称号は『蒼銀の断罪者』」
「ふーん、なかなか聞き分けがいいじゃねぇか。もうちょっと人間味が欲しいところだけど、目覚めたばっかりだしそんなモンか」
男は一瞬真顔になったが、すぐににんまりと笑ってみせた。男が手を差し出したので、握り返す。
「オレは『黒鉄の死神』、クロウリー・シュヴァルツだ。同じアーケンシェン同士、クロウと呼んでくれてもいいぜ」
調子がよさそうで、ちょっと偉そうな男はそう名乗った。呼び名は短い方が効率がいいと思ったので、言われた通りに呼ぶことにした。
手を離したとき、握手していないほうの片手に、何かきらびやかな物が見えた。透明な青のガラスでできた、不思議なペンだ。
「それ、さっきなくなったって言ってたペン……」
「ん? ああ、これがオマエの武器なんだとよ。オレのとは違うタイプだったから、気になってな」
「……返してっ!」
自分で取り返すべきだと思い、ソファから飛び上がった。腕を伸ばしても、ひょいっと上に持ち上げられて届かない。クロウの方が、僕よりずっと背が高い。いくらジャンプしても、ガラスペンが遠い。
「ほれほれー、取ってみろよ最年少天使! オレに勝てたら褒めてやる!」
「────ああっ! やめなさいよ、クロウ!」
ガラスペンを取ろうと飛び跳ねていたら、誰かがクロウの後頭部を殴った。クロウの頭が横に倒されて、その拍子にガラスペンが手からこぼれ落ちる。床に落とさないように、僕がしっかりキャッチした。
クロウを後ろから叩いたのは、僕と同じ白銀の翼を持つ女性だった。緑と青のオッドアイに、水色の髪飾りをつけた薄い色の金髪が特徴的だ。
クロウは殴られた場所をさすりながら、その女性に目を遣った。
「いってぇ! 何すんだよアリア!」
「それはこっちのセリフよ! よりにもよって生まれたばかりの仲間をいじめるなんて、どういう神経してるの!」
「いじめてなんかねーよ、遊んでただけだっつーの」
「端から見たらいじめに見えるの! 最年長なんだから恥ずかしい真似しないで!」
また頭を叩いた。クロウはわざとなのか、本気なのかわからないが痛がっている。
アリアと呼ばれた女性が、今度は僕に近づいてきた。クロウとは違って、しっかりとしていて優しそうなひとだった。
「ごめんね、クリム。私はアリアラス・ウォーレイス。アリアって呼んで」
「……アリアも、アーケンシェンなの?」
「そうだよ。他にもオッドアイの仲間がいるの。その子たちも紹介するから、できることなら仲良くね」
「あ、オレは勘弁してくれよ。誰とも慣れ合うつもりねーから」
「あんたは黙って!」
クロウが文句を言うたび、バンバン叩かれている。アリアはみんなのお姉さんのような存在らしく、遠慮なく頼れるひとだと感じた。
それからアイリス様が戻ってきて、僕は部屋から連れ出された。乳白色の壁とレッドカーペットが敷かれた床が続く道を静かに歩いている。
僕がさっきまでいた部屋は、アーケンシェンに用意された僕専用の部屋らしい。アリアやクロウ、他のアーケンシェンも同じように自分の部屋を持っているのだそうだ。
今、僕たちが歩いているのは「白の宮殿」と呼ばれる建物だ。僕たちとアイリス様が暮らす大きな建物で、窓から見える周辺の景色はかなり殺風景だった。遠くの方に黒く四角い建物が見えたが、あそこから何か不気味な気配を感じたのであまり近づきたくない。
廊下を通り、玉座の間と呼ばれる場所へ辿り着いた。ここもまた白い壁に囲まれており、廊下と同じレッドカーペットでできた通路が設けられていた。その先に、白銀の玉座が見えた。
「あっ、アイリス様ー!」
玉座の間には、三人の人物がすでに佇んでいた。アイリス様に声をかけてきたのは、橙と赤のオッドアイと、緋色の長髪を持つ女騎士だ。
その他に、紫と緑のオッドアイと短い銀髪の中年男性と、赤と緑のオッドアイと金髪の小柄な少年がいた。少年の目と僕の目が合うと、彼はニッコリと笑いかけてくれた。
「初めまして、クリムさん。僕はトゥリヤ・デスティリオです! お会いできる日を楽しみにしてましたよ」
小柄な少年は、懐中時計がついた中折れ帽を外して僕に礼をした。あらかじめ聞いていたのか、僕の名前を知っていたのでちょっと驚いた。
「よ、よろしくねトゥリヤ。僕たち、年が近いみたいだね」
「えへへ、だって僕はあなたの一つ前に生み出された神ですから! 何か困ったことがあったら僕に聞いてください」
「おー、さっそく仲良くなってら。トゥリ坊も案外コミュ力高いよな」
達観した様子の中年男性が、僕たちに声をかけてきた。トゥリヤは「そんなことないですよー」と頬を赤くさせながら、中折れ帽を被り直した。
「俺はカルデルト・アライヴェーロだ。あっちの女騎士はティアル・ネイチャルト。あいつらみたいに暴れたりせず、穏便にやっていってくれると助かる」
「は、はぁ」
中年男性──カルデルトの視線の先には、クロウと女騎士──ティアルが掴み合いの喧嘩をしている光景があった。何が原因で喧嘩しているのか僕にはわからなかったが、アリアが慣れた様子でティアルを羽交い絞めにしていたので、いつものことかもしれないと思った。
「ほれほれ、新しく生まれた最年少の前じゃぞ。少しは年上らしく振る舞ってくれんか」
アイリス様が杖をつきながら、白銀の玉座に座った。オッドアイの神々はそれを見て、玉座の前で横一列に並び、跪いた。
僕は一番右端で同じように膝をつきながら、みんなの様子を横目で眺めた。静かに目を閉じて、首を垂れている。不真面目そうなクロウでさえ、他のみんなと同じ姿勢になっていた。
「さて。これで全員揃ったな。妾の忠実なる臣下、アーケンシェンよ。お主らにはこれから、この神々の街……キャッセリアを治めてもらう。後の神々のまとめ役として、それぞれの役割を果たすのじゃ」
アイリス様は幼い少女の姿でありながら、威厳に包まれていた。そう思うのは彼女の真剣な表情を見ているおかげなのか、僕たちが彼女によって生み出されたことを本能的に理解しているからか────どちらにせよ、彼女は素晴らしい人物だと疑わなかった。
玉座の間でのアイリス様の話が終わり、アーケンシェンたちはみんなそれぞれ自由に動き出した。僕はアリアについていってみようと考えたのだが、その前にアイリス様に呼び止められた。玉座から降りたアイリス様の横には、クロウも立っていた。
「クリムよ。お主の役割は、罪を犯した神々を正しい道へ導き、キャッセリアの調停を行うこと。そして、このクロウリーと一緒にデウスプリズンを守ることじゃ」
僕は、ここで初めて自分に与えられた称号の意味を理解した。「蒼銀の断罪者」とは、なんとも重苦しい呼び名だろうと思っていたから。
デウスプリズンとは、僕が宮殿の廊下を歩いていたときに窓から見えた黒い建物のことらしい。建物から感じた不気味な気配の正体は、今から約十五年前に封印された「何か」らしい。何が封じられているのかを尋ねたが、アイリス様は「今は知らなくてよい」と言った。
「それと、爺様から頼まれてな。これも渡しておこう」
アイリス様は、僕に一冊の分厚い本を手渡した。中身を開いてみるものの、なんと白紙だ。
「これは『原罪の記録書』という器具じゃ。本の形をしてはいるが、実際は魔力を吸収して様々な情報を記録する代物。とはいえ、お主にその記録が読めないこともあるじゃろう。そのときはあまり気にするでない」
「は、はぁ。使い方がよくわからないのですが」
「何か事件や異変が起きたとき、その器具に証拠となりそうな魔力を吸収させるのじゃ。その魔力を解析すれば、大半の出来事の原因が判明するからのう……と、爺様が言っておったぞ」
爺様、というのはアイリス様の養父であるカトラスさんのことを示しているらしい。他にもまだ理解しきれていないことはあったが、アイリス様は習うより慣れろと言いたげだった。このときはあまり使う機会はなさそうだと思い、原罪の記録書は懐にしまっておくことにした。
「ふーん、ということはオマエが小綺麗な守り人ってところか。ま、せいぜい頑張れ」
「えっと……クロウもデウスプリズンを守るのが役目なの?」
「そうだ。あとはまあ……いわゆる『汚れ役』ってところだ。意味は自分で調べな」
クロウがこのとき、自嘲するような笑みを浮かべていたのを、今でも覚えている。
彼はまだ、僕に自分の役割を教えようとはしなかった。彼なりに自分のプライドを保っていたのではないかと、僕は思っている。
「……クロウリー、妾はお主をそのように思っているわけではないのじゃが」
「嘘吐け。本当にそう思ってんなら自分がその役背負えよ、偽善者ババア」
「なっ!? お主、妾に向かってなんて口を……!」
クロウは顔をしかめたアイリス様に対して悪態をつきながら、僕の腕を掴んで玉座の間から連れ出した。そのまま、ずんずんと大股で歩いていくので、何度も転びそうになる。
玉座の間が見えなくなるところまで歩いて、僕はクロウの腕を振り払って彼を睨みつけた。クロウは動じることなく、僕を見下ろしている。
「アイリス様に謝りなよ。言い方ってものがあるでしょ」
「イエスマンだらけの集団ってのはことごとく腐敗していくモンだ。一人くらい出る杭がいなきゃ即刻滅亡するぞ」
生まれたばかりの僕には、最年長である彼の言っていることがよく理解できなかった。当時、クロウもまだ生まれて間もないはずなのに、他のアーケンシェンとは違う視点で物を見ることを覚えていた。単にそういう気質なのだろう、と僕はそれ以上考えなかったけれど。当時の僕はアイリス様に楯突くことはよくないことだと、本能から思っていた。
やがて、クロウは僕から目を逸らし、ふっと鼻で笑った。
「まあ、オマエにはわからないか。あまり深く考えず仕事して、アイツらと仲良くしていればいいさ。オレのことは気にすんな」
僕を一瞥し、宮殿の出口を目指し歩き去っていった。僕はクロウの真っ黒な翼が見えなくなるまで、その場に立ち尽くしていた。
廊下の窓の向こうを見遣ったとき、また黒く四角い建物──デウスプリズンが目に入った。あそこには恐ろしい何かが潜んでいる。なぜだかわからないけれど、僕はあの牢獄に封じられたものは、その「何か」だけではないように思った。恐ろしく歪なものとは別の、小さな気配を感じたからだ。その気配は、常に誰かを呼んでいた。
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