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第8章「神智を超えた回生の夢」
189話 水鏡の魔女(1)
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ヴィータは、自分が外に走り出てから、どれだけ時間が経ったのか把握できていなかった。物陰や建物が多い繁華街から郊外まで、あらゆる場所を走り回ったものの、目的であるシファは見つけられていない。
繁華街に戻ってきて、ふと気づき空を見上げたら、空の水色と橙色が美しく混ざり合っていた。早く見つけないと時間がない、そう自分を追い込んで再び走り出す。向かっている方向から誰かが歩いてきているのにも気づかずに。
「わっ!? 誰だよ気をつけろ……って、ヴィータじゃねぇか」
転びはしなかったものの、鎧をまとった女性にぶつかってしまった。ヴィータが見上げた先には、緋色の長髪を垂らしながら自分を見下ろすティアルがいた。
「ご、ごめんなさい。わたし、急いでるので」
「もしかして、アリアのことと何か関係あんのか?」
謝りながら慌ててティアルの横をすり抜けようとした際、彼女の言葉に足を止めるヴィータ。ティアルは少し落ち込んだような表情を見せて、クローバーを宿した赤い瞳を見つめていた。
「セルジュから聞いたぞ、アリアもクリムも倒れたって。カルデも診療所閉めてデウスプリズンにいるし、ヤバいことになってんじゃねぇかって心配してたんだ」
「二人のことはカルデルトに任せていますから、心配ならデウスプリズンに行けばいいと思います。では」
「待て、ヴィータ! 私も何か手伝えることないか!?」
再び歩き出そうとしたヴィータだったが、ティアルに手首を掴まれて止められてしまう。思わずムッとするも、ティアルの顔もまた少し焦ったものになっていたので、歩き出すのはやめて手を離してもらう。
「こちらに構わないでください。わたしについてきたところで、あなたができることはありません」
「そんなこと言うなよ。私はアーケンシェンである以前に魔特隊の総指揮官だ。戦闘が起きたってある程度対処できる」
「わたしが探しているのはアリアを壊した犯人……トゥリヤを殺した相手の仲間でもある奴です。あなたには手も足も出せませんよ」
「────っ!!」
ティアルは橙と赤のオッドアイを見開いて、言葉を失う。ヴィータも、本当は言いたくなかったことを言ったことで俯き加減になってしまう。
しばらく重い沈黙が流れ、ヴィータは彼女を気にしつつも振り切って歩き出そうとする。その先から、一人ポツンと歩いてくる人物がいるのに気づき、今度こそぶつからないように慎重に通り抜けようとする。
「三百年ぶりねぇ、ヴィータ。何を焦っているのかしら?」
すれ違いざまに、何か違和感のある声をかけられた。ポツンと歩いていたその人物は、まとめあげた暗めの金髪と紫の瞳、そして艶やかな漆黒のマーメイドドレスが特徴的な女性だった。
ヴィータはその女性と直接顔を合わせた記憶がなく、すぐには反応することができなかった。その反面、ティアルは女性の存在に気づいて「あれ?」と声を上げた。
「ミラージュ? こんなところで何してんだ」
「あら? アナタ……確か、ネイアだったかしら?」
ミラージュと呼ばれた女性はそう尋ねて、自身の記憶を手繰り寄せている。しかし、尋ねられたティアルは首を傾げることしかできない。
「何寝ぼけてんだ? 私はティアルだぞ。誰かさんと間違えてないか」
「……あら、ごめんなさい。人違いだったわ。ワタシったら、年々物忘れが激しくなってきちゃったみたい」
黒い手袋に包まれた手を頬に当て、妖艶な笑みを浮かべるミラージュ。ヴィータは、そんなミラージュの態度に違和感を拭いきれず、顔をしかめる。
「あなた、ミラージュではありませんね」
「え!? どういうことだよ、ヴィータ!?」
「そうよぉ。ついでに、ワタシが誰なのかも当ててちょうだい?」
ミラージュはヴィータを見下ろしながら笑みを浮かべるのみで、それ以上は何も言わない、ヴィータは警戒しつつミラージュを注視し、彼女の言動や仕草を観察する。彼女の妖艶な笑い方や手を頬に当てるといった何気ない仕草は、ヴィータに馴染みのあるものに思えた。
その果てに一つの答えに辿り着いたが、それはありえない結果だった。半信半疑で問うことしかできない、ヴィータはそう考えながらミラージュと目を合わせる。
「まさか……ライラン、なのですか?」
「うふふ、やっと思い出してくれたのねぇ。アナタにしては気づくのが遅いけど」
「ヴィータ。このミラージュの皮を被った奴と知り合いなのか?」
「ええ。彼女はライラン・アンヘルベル……かつて古代に生きていた神の一人です」
「っつーことは……え? どういうことだ? 古代神ってもうほとんど生きてないんじゃ……?」
口をあんぐりと開けて驚くティアルとは対照的に、ヴィータは顔をしかめたまま表情を変えない。
「しかし、ちょっと待ってください。なぜミラージュの姿で生きているのですか? あなたはシファに殺されたはずでは」
「ワタシ、この身体と案外相性がいいみたいでね。アストラルを垂れ流す存在が近くにいれば、容易に以前の力を使えるようになるみたい。ほら、これを見てちょうだい」
ミラージュ──否、ミラージュという現代神の身体を借りているライランは、どこからともなく青く輝く鏡の欠片を出現させた。手のひらで鏡の欠片を浮かばせ、ヴィータとティアルに表面を見せる。
二人は揃って、差し出された鏡の欠片を覗き込んだ。
「ゲッ!? なんかいる!?」
大声を上げたのはティアルだった。ヴィータは声を上げたりはしなかったものの、鏡の欠片に映る人物にはっと息を飲んだ。
鏡の中で、藍色の装束を身にまとった子供がうずくまっていた。眠っているのか、あるいは塞ぎこんでいるのか、目を閉じて背中を丸くしている。
「シファ……まさかライラン、あなたが?」
「このクソガキ、あまりにもギャンギャンうるさいから鏡の中に閉じ込めたの。そうしたら、ワタシもミラージュとしてではなく、ライランとして継続して動けるようになったわ。この状態なら奴のアストラルを吸収できるからね」
「じ、じゃあミラージュはどこ行ったんだよ? 死んだりしてねぇよな?」
「彼女ならこの身体の深層で眠っているわ。この身体には二つ魂が宿っていて、今まではミラージュが表に出ていた。そこにアストラルが流れ込んだから、ワタシは今アナタたちとは話すことができているの」
ライランが僅かに邪悪な笑みを浮かべるので、ヴィータの口からため息が出た。呆れて顔の力が緩みそうになったので顔をしかめ、今度はヴィータがライランに片手を差し出した。
「とりあえず、シファをこちらに渡してください。彼に用があるのです」
「別にいいけど、それならワタシの話を少し聞いてちょうだい。今のワタシ、アストラルがないと話せないの」
「あなたの話など聞く価値もありません。いいから渡しなさい」
語気を強めてさらに要求するも、ライランは不敵に笑うだけだった。シファを閉じ込めた鏡の欠片を引っ込めたライランは、暗くなり始めた夕焼け空を見上げる。
「ねぇ、ヴィータ。三百年後の世界って、本当につまらないわね」
「……いきなり何の話ですか?」
首を傾げたのはヴィータだけでなく、ティアルも同じだった。ライランは二人が自分の言葉に疑問を抱いたのに気づきつつも、構わず話を続けた。
「昔は本当に良い時代だったわ。弱き人間も強き神も、みんな平等に生きていたもの。あれほど面白くて、見ていて楽しい世界はなかった。ワタシも元魔女として、人間や神問わず男共を遠慮なく弄べたしね」
「最後の一言は余計ですよ」
「相変わらずおこちゃまねぇ。でも、ヴァニタスが襲来したあの日……『第二次巨大聖戦』が起きた日から、世界は滅亡の道を歩み始めた。たくさんの命が奪われていった光景は、今でも覚えてるわ。それでも栄えている場所があるということは、生き残った誰かが頑張ったのでしょうね。古代に比べたら狭くて退屈なのもどうにかしてほしいわ」
街を見回しながらため息交じりに話すライラン。自分には微塵もわからないながらも、大人しく話を聞いていたティアルだったが、ライランの言葉の最後を聞いて次第に怒りを滲ませていく。
「何が何だか知らねぇが、私たちだって必死に生きてんだ! つまらないとか退屈とか、ミラージュの顔で語るんじゃねぇよ!!」
「お言葉ですが、ティアル。ミラージュもあまりろくな生き方をしていないと聞いていますが」
「うるせー!! 私がそういうの言われるの嫌なんだよ!!」
ヴィータが静かに突っ込みを入れるも、元々気性の荒いティアルはさらに怒りのボルテージを上げていくのだった。ライランは至極落ち着いた様子でティアルを見つめている。
「それにしてもアナタ、見れば見るほどネイアにそっくりね。気性が荒いのも、すぐ突っかかってくるところも……まるでそのまま生まれ変わったみたい」
「だから、私はティアルだって言ってんだろ! ネイアって誰のことだよ!?」
「ネイアはワタシの知り合いの知り合いの……といったところね。アナタとは違って、ただの人間の女騎士よ」
「人間、だと?」
ティアルはライランの言葉に唖然としてしまい、さらに深く考え込んでしまう。ライランは仕方なさそうに、今度はヴィータに目を向けた。
「ピンと来てないようね。ヴィータ、アナタ今まで何も疑問に思わなかったの?」
「……ええ。わたしはそのネイアという人物を知りませんし。一体何に気づいたというのですか?」
「ワタシもついこの間目覚めたばかりだから、今の世界の事情はよく知らないの。ねぇ、他のオッドアイの神にも会いたいから連れて行ってちょうだい。そうしたらシファの身柄を引き渡してあげる」
ライランはそう言って、ヴィータにどこか別の場所へ連れて行くように促す。
目的の人物が見つかった以上、さらに街を走り回る必要もなくなった。ヴィータはひとまず、自分がよく知るオッドアイの神が待つ場所へと向かうことにした。
ヴィータは、自分が外に走り出てから、どれだけ時間が経ったのか把握できていなかった。物陰や建物が多い繁華街から郊外まで、あらゆる場所を走り回ったものの、目的であるシファは見つけられていない。
繁華街に戻ってきて、ふと気づき空を見上げたら、空の水色と橙色が美しく混ざり合っていた。早く見つけないと時間がない、そう自分を追い込んで再び走り出す。向かっている方向から誰かが歩いてきているのにも気づかずに。
「わっ!? 誰だよ気をつけろ……って、ヴィータじゃねぇか」
転びはしなかったものの、鎧をまとった女性にぶつかってしまった。ヴィータが見上げた先には、緋色の長髪を垂らしながら自分を見下ろすティアルがいた。
「ご、ごめんなさい。わたし、急いでるので」
「もしかして、アリアのことと何か関係あんのか?」
謝りながら慌ててティアルの横をすり抜けようとした際、彼女の言葉に足を止めるヴィータ。ティアルは少し落ち込んだような表情を見せて、クローバーを宿した赤い瞳を見つめていた。
「セルジュから聞いたぞ、アリアもクリムも倒れたって。カルデも診療所閉めてデウスプリズンにいるし、ヤバいことになってんじゃねぇかって心配してたんだ」
「二人のことはカルデルトに任せていますから、心配ならデウスプリズンに行けばいいと思います。では」
「待て、ヴィータ! 私も何か手伝えることないか!?」
再び歩き出そうとしたヴィータだったが、ティアルに手首を掴まれて止められてしまう。思わずムッとするも、ティアルの顔もまた少し焦ったものになっていたので、歩き出すのはやめて手を離してもらう。
「こちらに構わないでください。わたしについてきたところで、あなたができることはありません」
「そんなこと言うなよ。私はアーケンシェンである以前に魔特隊の総指揮官だ。戦闘が起きたってある程度対処できる」
「わたしが探しているのはアリアを壊した犯人……トゥリヤを殺した相手の仲間でもある奴です。あなたには手も足も出せませんよ」
「────っ!!」
ティアルは橙と赤のオッドアイを見開いて、言葉を失う。ヴィータも、本当は言いたくなかったことを言ったことで俯き加減になってしまう。
しばらく重い沈黙が流れ、ヴィータは彼女を気にしつつも振り切って歩き出そうとする。その先から、一人ポツンと歩いてくる人物がいるのに気づき、今度こそぶつからないように慎重に通り抜けようとする。
「三百年ぶりねぇ、ヴィータ。何を焦っているのかしら?」
すれ違いざまに、何か違和感のある声をかけられた。ポツンと歩いていたその人物は、まとめあげた暗めの金髪と紫の瞳、そして艶やかな漆黒のマーメイドドレスが特徴的な女性だった。
ヴィータはその女性と直接顔を合わせた記憶がなく、すぐには反応することができなかった。その反面、ティアルは女性の存在に気づいて「あれ?」と声を上げた。
「ミラージュ? こんなところで何してんだ」
「あら? アナタ……確か、ネイアだったかしら?」
ミラージュと呼ばれた女性はそう尋ねて、自身の記憶を手繰り寄せている。しかし、尋ねられたティアルは首を傾げることしかできない。
「何寝ぼけてんだ? 私はティアルだぞ。誰かさんと間違えてないか」
「……あら、ごめんなさい。人違いだったわ。ワタシったら、年々物忘れが激しくなってきちゃったみたい」
黒い手袋に包まれた手を頬に当て、妖艶な笑みを浮かべるミラージュ。ヴィータは、そんなミラージュの態度に違和感を拭いきれず、顔をしかめる。
「あなた、ミラージュではありませんね」
「え!? どういうことだよ、ヴィータ!?」
「そうよぉ。ついでに、ワタシが誰なのかも当ててちょうだい?」
ミラージュはヴィータを見下ろしながら笑みを浮かべるのみで、それ以上は何も言わない、ヴィータは警戒しつつミラージュを注視し、彼女の言動や仕草を観察する。彼女の妖艶な笑い方や手を頬に当てるといった何気ない仕草は、ヴィータに馴染みのあるものに思えた。
その果てに一つの答えに辿り着いたが、それはありえない結果だった。半信半疑で問うことしかできない、ヴィータはそう考えながらミラージュと目を合わせる。
「まさか……ライラン、なのですか?」
「うふふ、やっと思い出してくれたのねぇ。アナタにしては気づくのが遅いけど」
「ヴィータ。このミラージュの皮を被った奴と知り合いなのか?」
「ええ。彼女はライラン・アンヘルベル……かつて古代に生きていた神の一人です」
「っつーことは……え? どういうことだ? 古代神ってもうほとんど生きてないんじゃ……?」
口をあんぐりと開けて驚くティアルとは対照的に、ヴィータは顔をしかめたまま表情を変えない。
「しかし、ちょっと待ってください。なぜミラージュの姿で生きているのですか? あなたはシファに殺されたはずでは」
「ワタシ、この身体と案外相性がいいみたいでね。アストラルを垂れ流す存在が近くにいれば、容易に以前の力を使えるようになるみたい。ほら、これを見てちょうだい」
ミラージュ──否、ミラージュという現代神の身体を借りているライランは、どこからともなく青く輝く鏡の欠片を出現させた。手のひらで鏡の欠片を浮かばせ、ヴィータとティアルに表面を見せる。
二人は揃って、差し出された鏡の欠片を覗き込んだ。
「ゲッ!? なんかいる!?」
大声を上げたのはティアルだった。ヴィータは声を上げたりはしなかったものの、鏡の欠片に映る人物にはっと息を飲んだ。
鏡の中で、藍色の装束を身にまとった子供がうずくまっていた。眠っているのか、あるいは塞ぎこんでいるのか、目を閉じて背中を丸くしている。
「シファ……まさかライラン、あなたが?」
「このクソガキ、あまりにもギャンギャンうるさいから鏡の中に閉じ込めたの。そうしたら、ワタシもミラージュとしてではなく、ライランとして継続して動けるようになったわ。この状態なら奴のアストラルを吸収できるからね」
「じ、じゃあミラージュはどこ行ったんだよ? 死んだりしてねぇよな?」
「彼女ならこの身体の深層で眠っているわ。この身体には二つ魂が宿っていて、今まではミラージュが表に出ていた。そこにアストラルが流れ込んだから、ワタシは今アナタたちとは話すことができているの」
ライランが僅かに邪悪な笑みを浮かべるので、ヴィータの口からため息が出た。呆れて顔の力が緩みそうになったので顔をしかめ、今度はヴィータがライランに片手を差し出した。
「とりあえず、シファをこちらに渡してください。彼に用があるのです」
「別にいいけど、それならワタシの話を少し聞いてちょうだい。今のワタシ、アストラルがないと話せないの」
「あなたの話など聞く価値もありません。いいから渡しなさい」
語気を強めてさらに要求するも、ライランは不敵に笑うだけだった。シファを閉じ込めた鏡の欠片を引っ込めたライランは、暗くなり始めた夕焼け空を見上げる。
「ねぇ、ヴィータ。三百年後の世界って、本当につまらないわね」
「……いきなり何の話ですか?」
首を傾げたのはヴィータだけでなく、ティアルも同じだった。ライランは二人が自分の言葉に疑問を抱いたのに気づきつつも、構わず話を続けた。
「昔は本当に良い時代だったわ。弱き人間も強き神も、みんな平等に生きていたもの。あれほど面白くて、見ていて楽しい世界はなかった。ワタシも元魔女として、人間や神問わず男共を遠慮なく弄べたしね」
「最後の一言は余計ですよ」
「相変わらずおこちゃまねぇ。でも、ヴァニタスが襲来したあの日……『第二次巨大聖戦』が起きた日から、世界は滅亡の道を歩み始めた。たくさんの命が奪われていった光景は、今でも覚えてるわ。それでも栄えている場所があるということは、生き残った誰かが頑張ったのでしょうね。古代に比べたら狭くて退屈なのもどうにかしてほしいわ」
街を見回しながらため息交じりに話すライラン。自分には微塵もわからないながらも、大人しく話を聞いていたティアルだったが、ライランの言葉の最後を聞いて次第に怒りを滲ませていく。
「何が何だか知らねぇが、私たちだって必死に生きてんだ! つまらないとか退屈とか、ミラージュの顔で語るんじゃねぇよ!!」
「お言葉ですが、ティアル。ミラージュもあまりろくな生き方をしていないと聞いていますが」
「うるせー!! 私がそういうの言われるの嫌なんだよ!!」
ヴィータが静かに突っ込みを入れるも、元々気性の荒いティアルはさらに怒りのボルテージを上げていくのだった。ライランは至極落ち着いた様子でティアルを見つめている。
「それにしてもアナタ、見れば見るほどネイアにそっくりね。気性が荒いのも、すぐ突っかかってくるところも……まるでそのまま生まれ変わったみたい」
「だから、私はティアルだって言ってんだろ! ネイアって誰のことだよ!?」
「ネイアはワタシの知り合いの知り合いの……といったところね。アナタとは違って、ただの人間の女騎士よ」
「人間、だと?」
ティアルはライランの言葉に唖然としてしまい、さらに深く考え込んでしまう。ライランは仕方なさそうに、今度はヴィータに目を向けた。
「ピンと来てないようね。ヴィータ、アナタ今まで何も疑問に思わなかったの?」
「……ええ。わたしはそのネイアという人物を知りませんし。一体何に気づいたというのですか?」
「ワタシもついこの間目覚めたばかりだから、今の世界の事情はよく知らないの。ねぇ、他のオッドアイの神にも会いたいから連れて行ってちょうだい。そうしたらシファの身柄を引き渡してあげる」
ライランはそう言って、ヴィータにどこか別の場所へ連れて行くように促す。
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