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第8章「神智を超えた回生の夢」
199話 薄明に踊れ(2)
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なんとか身体を起こしたものの、魔法がうまく使えない。ニールが使った魔法の影響か、魔力切れを起こしたらしい。何が起きているのか頭が追いつかないが、そんなことも言っていられない。
手放した剣をもう一度拾い上げようと立ち上がったとき、私の前にニールが迫る。一瞬のうちに飛んできて、私の両腕を掴み壁に追い詰めたのだ。
「君は最高神の失敗作と言われていたようだけど、連中は愚鈍だな。カイザー・グランデの魂を宿せた君なら、ひょっとしたらヴァニタス様の器になり得るかもしれないというのに」
「嫌だ。私はあんたたちの思い通りになんかならない!」
「くふふ、それでいい。その気高さは最後まで持ち続けることだ。でないと面白くない」
手首の骨を折られてしまいそうな力を込められ、口からうめき声が漏れる。それと同時に、かろうじて保っていた「戦女神化」が解かれていく気配がした。私を纏っていた魔力が抜けたことで、元の姿に戻ってしまう。
ニールはニヤニヤ笑いながら私を追い詰めて、一人楽しんでいるみたいだった。
「古代神の力を借りても人間と遜色ない君は、本当の女神には程遠い。潔く私のものになりたまえ、古代を夢見る御子。虚無に堕ちた暁には、その命が尽き果てるまで可愛がってあげるよ」
温かくも冷たくもない息が吹きかかるくらいに顔を近づけながら、恋人にでも語りかけるような甘い口調で囁いてきた。
こいつは私をなんだと思ってるんだ。腹立たしいどころの話じゃない。
「お断りだって言ってんでしょ! いい加減しつこい!!」
「強情だねぇ。いっそ、すべてを委ねてしまった方が幸せだよ? 君たち偽神の秘密は、きっと君には重すぎる。それに、君が好いている傲慢なる星灯……アスタの罪を知ることになってもいいのかい?」
いきなりアスタの名前が出てきたことで、私は動揺してしまう。ちょうど彼のことで思い悩んでいたというのもあるけれど、その後の言葉が気になった。
アスタの罪って────何?
「────ユキから離れろ、ニール!!」
ニールの身体が、折れ曲がる勢いで横に吹っ飛んだ。腕が離れたことで地面に崩れ落ち、混乱した私の思考は断ち切られた。
そのとき、私は自分の目の前にアスタが立っていることに気がつく。あどけない顔がかなり強張っていて、夜空色の瞳を大きく見開いている。肩で呼吸をしながら、真っ赤に濡れた短剣を両手で構えていた。
「おやおや、ちょっと殺気立ちすぎじゃないかなぁ?」
「これ以上、ボクから大切なものを奪うな! この世界から出ていけ!!」
右の脇腹を押さえるニールに向かって怒鳴りながら、アスタは駆け出す。私が止めようと手を伸ばした頃には、ニールの腹に金色の刃が突き刺さっていた。細い腕によって乱暴に刃が引き抜かれては、また同じ場所めがけてめった刺しにする。
アスタの身体は返り血でみるみる染まっていった。私は呆気にとられてしまい、腕を伸ばしたまま固まってしまう。相手を確実に殺そうとする勢いを目の当たりにして、何も言えない。
「────くははははっ!! そうだよ、君にはそれを求めていたんだ!! それこそが君のあるべき姿だよ、傲慢なる星灯!!」
何度も刺されていながら、ニールはなぜか狂ったように笑い始めた。私には、奴の言葉の意味がまったく理解できない。アスタも奴に耳を貸している様子はなく、無言でニールに乱暴な攻撃を仕掛け続ける。
ニールは両手を広げ、白み始めた空を仰ぎながら、繁華街に響き渡るような笑い声を上げた。
「ほらほら、もっと来たまえ! 全力で私を憎め! そして私に再び見せてくれよ!! 空を堕とし世界を砕いた『力』をッ!!!」
「────ッ!!」
振り下ろされようとした短剣が宙で固まり、ニールには刺さらなかった。短剣を突き刺そうとしたアスタの両手はガタガタと震えている。尋常じゃないほど溢れ出していた殺気が、どんどん萎んでいくように見えた。
「ダメ……それだけはダメ────落ち着かなきゃ────」
まるで正気を失った自分に言い聞かせるように繰り返しながら、腕を下ろしていく。腕が完全に下りると同時に、血まみれの短剣を地面に落とした。
それを見たニールは、狂ったように笑う様子から一変して静かになり、急に無表情になった。興醒めだと言わんばかりの変わりようだ。
「……少し興奮しすぎたな。長居もしすぎたし、そろそろお迎えに上がらねば」
「ま、待ちなさいよっ!」
やっと身体が思い通りに動くようになったものの、ニールが足早にこの場を去ってしまい追いかけられなかった。
落ち着きを取り戻すのに少しだけ時間を要した。アスタを見ると、ちょうど短剣にまとわりついた血を振り払ってこちらを振り返ったところだった。彼は気まずそうに笑っていたが、私は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「……ごめん。一人で外に出て」
「いいの、ユキのせいじゃないから。悪いのはアイツだから。それにボクだって……」
「なんで、そうやって自分のこと責め続けてるのよ。古代の戦いの話だけじゃないでしょ。あんた、過去に何があったの?」
今までも何度か聞こうとしてきたことだった。なぜか怖くて聞けなかったけれど、そろそろ知ったっていい頃なはずだ。
真剣に目を合わせて尋ねたつもりだったが、アスタは首を横に振る。
「言えないよ。特に、ユキにだけは絶対言えない」
突き放されたような答えで、口がうまく動かない。どうしてと尋ねることすらできないまま、アスタは深く俯いて絞り出すような声で続ける。
「ボクがやったことを知ったら、ユキはきっとボクを嫌いになる。そんなの嫌だ」
まるで懺悔をするかのような口ぶりだった。そう思ったのはきっと、ニールの言葉を聞いたせいだ。罪だなんて戯言だと思おうとしていたのに、逆に現実味を増していく。
それでも、私は信じることをやめるつもりはなかった。
「私はアスタを嫌いになんてならない。私はアスタの力になりたいの。あんたが笑ってくれるなら、私……なんだって」
「やめて。ロミーと同じこと言わないで」
今にも苦しみで歪みそうな顔を向けられ、ピシャリと言われる。ここでローゼマリーさんが出てくるとは思わず、混乱で頭が真っ白になりそうだった。
「そんなこと簡単に言っちゃダメだよ。ボクはキミが思うよりバカで、すぐに思い上がって、それでいて卑怯な子供なの。これ以上、キミがロミーに近づいたら、逆にキミを傷つけてしまいそうで怖いんだよ」
「ご……ごめんなさい。でもアスタ、私は本当に────」
「待って! 伏せて!!」
言葉の途中で、彼は血相を変えて私に抱き着いてきた。頭ごと抱きしめられたことで耳を塞がれ、勢い余って倒れてしまう。目の前がいきなり歪みだしたのは、そのときだった。
視界が赤と緑に染まって分裂したかのように見えて、脳みそが激しく揺さぶられたような感覚に陥る。抱きしめられている感触も、間近で聞こえていたはずのあどけない声も、僅かな血の匂いも、よくわからなくなってしまいそうだ。分裂した視界と激しい耳鳴りで頭が痛くなる一方だった。
自然でいきなりこんな現象が起きるわけがない。誰かの魔法によるものだということだけは、私でもわかった。
「ユキ、大丈夫!? ボクのことわかる!? ユキ!!」
目の前がようやく普通に戻ったとき、アスタが私に覆いかぶさりながら必死に声をかけてきた。耳鳴りも止んでいて、突然の異常はほぼ一瞬の出来事だったのだと理解した。
「い、今のは何なの? あんたは大丈夫なの?」
「ノーファだよ! アイツが大規模な星幽術を使ったんだ! 今の感覚だと、方向は多分……デウスプリズンだよ!」
デウスプリズン、という単語で事態の深刻さが飲み込めた。私たちは慌てて起き上がり、路地裏から表の方に走り出る。
宮殿とは反対方向、つまりデウスプリズンのある郊外の方に目を向ける。薄明に染まった空へ、赤黒い霧が立ち昇っているのが見えた。
私には、それが終わりのない争いの始まりに思えてならなかった。
手放した剣をもう一度拾い上げようと立ち上がったとき、私の前にニールが迫る。一瞬のうちに飛んできて、私の両腕を掴み壁に追い詰めたのだ。
「君は最高神の失敗作と言われていたようだけど、連中は愚鈍だな。カイザー・グランデの魂を宿せた君なら、ひょっとしたらヴァニタス様の器になり得るかもしれないというのに」
「嫌だ。私はあんたたちの思い通りになんかならない!」
「くふふ、それでいい。その気高さは最後まで持ち続けることだ。でないと面白くない」
手首の骨を折られてしまいそうな力を込められ、口からうめき声が漏れる。それと同時に、かろうじて保っていた「戦女神化」が解かれていく気配がした。私を纏っていた魔力が抜けたことで、元の姿に戻ってしまう。
ニールはニヤニヤ笑いながら私を追い詰めて、一人楽しんでいるみたいだった。
「古代神の力を借りても人間と遜色ない君は、本当の女神には程遠い。潔く私のものになりたまえ、古代を夢見る御子。虚無に堕ちた暁には、その命が尽き果てるまで可愛がってあげるよ」
温かくも冷たくもない息が吹きかかるくらいに顔を近づけながら、恋人にでも語りかけるような甘い口調で囁いてきた。
こいつは私をなんだと思ってるんだ。腹立たしいどころの話じゃない。
「お断りだって言ってんでしょ! いい加減しつこい!!」
「強情だねぇ。いっそ、すべてを委ねてしまった方が幸せだよ? 君たち偽神の秘密は、きっと君には重すぎる。それに、君が好いている傲慢なる星灯……アスタの罪を知ることになってもいいのかい?」
いきなりアスタの名前が出てきたことで、私は動揺してしまう。ちょうど彼のことで思い悩んでいたというのもあるけれど、その後の言葉が気になった。
アスタの罪って────何?
「────ユキから離れろ、ニール!!」
ニールの身体が、折れ曲がる勢いで横に吹っ飛んだ。腕が離れたことで地面に崩れ落ち、混乱した私の思考は断ち切られた。
そのとき、私は自分の目の前にアスタが立っていることに気がつく。あどけない顔がかなり強張っていて、夜空色の瞳を大きく見開いている。肩で呼吸をしながら、真っ赤に濡れた短剣を両手で構えていた。
「おやおや、ちょっと殺気立ちすぎじゃないかなぁ?」
「これ以上、ボクから大切なものを奪うな! この世界から出ていけ!!」
右の脇腹を押さえるニールに向かって怒鳴りながら、アスタは駆け出す。私が止めようと手を伸ばした頃には、ニールの腹に金色の刃が突き刺さっていた。細い腕によって乱暴に刃が引き抜かれては、また同じ場所めがけてめった刺しにする。
アスタの身体は返り血でみるみる染まっていった。私は呆気にとられてしまい、腕を伸ばしたまま固まってしまう。相手を確実に殺そうとする勢いを目の当たりにして、何も言えない。
「────くははははっ!! そうだよ、君にはそれを求めていたんだ!! それこそが君のあるべき姿だよ、傲慢なる星灯!!」
何度も刺されていながら、ニールはなぜか狂ったように笑い始めた。私には、奴の言葉の意味がまったく理解できない。アスタも奴に耳を貸している様子はなく、無言でニールに乱暴な攻撃を仕掛け続ける。
ニールは両手を広げ、白み始めた空を仰ぎながら、繁華街に響き渡るような笑い声を上げた。
「ほらほら、もっと来たまえ! 全力で私を憎め! そして私に再び見せてくれよ!! 空を堕とし世界を砕いた『力』をッ!!!」
「────ッ!!」
振り下ろされようとした短剣が宙で固まり、ニールには刺さらなかった。短剣を突き刺そうとしたアスタの両手はガタガタと震えている。尋常じゃないほど溢れ出していた殺気が、どんどん萎んでいくように見えた。
「ダメ……それだけはダメ────落ち着かなきゃ────」
まるで正気を失った自分に言い聞かせるように繰り返しながら、腕を下ろしていく。腕が完全に下りると同時に、血まみれの短剣を地面に落とした。
それを見たニールは、狂ったように笑う様子から一変して静かになり、急に無表情になった。興醒めだと言わんばかりの変わりようだ。
「……少し興奮しすぎたな。長居もしすぎたし、そろそろお迎えに上がらねば」
「ま、待ちなさいよっ!」
やっと身体が思い通りに動くようになったものの、ニールが足早にこの場を去ってしまい追いかけられなかった。
落ち着きを取り戻すのに少しだけ時間を要した。アスタを見ると、ちょうど短剣にまとわりついた血を振り払ってこちらを振り返ったところだった。彼は気まずそうに笑っていたが、私は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「……ごめん。一人で外に出て」
「いいの、ユキのせいじゃないから。悪いのはアイツだから。それにボクだって……」
「なんで、そうやって自分のこと責め続けてるのよ。古代の戦いの話だけじゃないでしょ。あんた、過去に何があったの?」
今までも何度か聞こうとしてきたことだった。なぜか怖くて聞けなかったけれど、そろそろ知ったっていい頃なはずだ。
真剣に目を合わせて尋ねたつもりだったが、アスタは首を横に振る。
「言えないよ。特に、ユキにだけは絶対言えない」
突き放されたような答えで、口がうまく動かない。どうしてと尋ねることすらできないまま、アスタは深く俯いて絞り出すような声で続ける。
「ボクがやったことを知ったら、ユキはきっとボクを嫌いになる。そんなの嫌だ」
まるで懺悔をするかのような口ぶりだった。そう思ったのはきっと、ニールの言葉を聞いたせいだ。罪だなんて戯言だと思おうとしていたのに、逆に現実味を増していく。
それでも、私は信じることをやめるつもりはなかった。
「私はアスタを嫌いになんてならない。私はアスタの力になりたいの。あんたが笑ってくれるなら、私……なんだって」
「やめて。ロミーと同じこと言わないで」
今にも苦しみで歪みそうな顔を向けられ、ピシャリと言われる。ここでローゼマリーさんが出てくるとは思わず、混乱で頭が真っ白になりそうだった。
「そんなこと簡単に言っちゃダメだよ。ボクはキミが思うよりバカで、すぐに思い上がって、それでいて卑怯な子供なの。これ以上、キミがロミーに近づいたら、逆にキミを傷つけてしまいそうで怖いんだよ」
「ご……ごめんなさい。でもアスタ、私は本当に────」
「待って! 伏せて!!」
言葉の途中で、彼は血相を変えて私に抱き着いてきた。頭ごと抱きしめられたことで耳を塞がれ、勢い余って倒れてしまう。目の前がいきなり歪みだしたのは、そのときだった。
視界が赤と緑に染まって分裂したかのように見えて、脳みそが激しく揺さぶられたような感覚に陥る。抱きしめられている感触も、間近で聞こえていたはずのあどけない声も、僅かな血の匂いも、よくわからなくなってしまいそうだ。分裂した視界と激しい耳鳴りで頭が痛くなる一方だった。
自然でいきなりこんな現象が起きるわけがない。誰かの魔法によるものだということだけは、私でもわかった。
「ユキ、大丈夫!? ボクのことわかる!? ユキ!!」
目の前がようやく普通に戻ったとき、アスタが私に覆いかぶさりながら必死に声をかけてきた。耳鳴りも止んでいて、突然の異常はほぼ一瞬の出来事だったのだと理解した。
「い、今のは何なの? あんたは大丈夫なの?」
「ノーファだよ! アイツが大規模な星幽術を使ったんだ! 今の感覚だと、方向は多分……デウスプリズンだよ!」
デウスプリズン、という単語で事態の深刻さが飲み込めた。私たちは慌てて起き上がり、路地裏から表の方に走り出る。
宮殿とは反対方向、つまりデウスプリズンのある郊外の方に目を向ける。薄明に染まった空へ、赤黒い霧が立ち昇っているのが見えた。
私には、それが終わりのない争いの始まりに思えてならなかった。
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