【完結】彼は皇帝なので、彼女は薬師として尽くすことにしました。

朝日みらい

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12. 葛藤の中で 

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でも、落ち着いてみると、私の心は、アラクシウスの誘いを受け入れるかどうかで揺れ動いていた。

彼が私を帝国に連れて行きたいと言った時、その瞬間、胸の中に広がったのは確かに喜び。

でも、それと同時に不安も湧き上がってきた。

だって、私は今の生活を大切にしていた。

薬草を扱う毎日、村の人たちと過ごす時間、あの穏やかな日々が私にとってどれだけ大事か…。

それを捨てて、アラクシウスの世界に飛び込むのは、本当に良い選択なのか?  

「うーん…」  

私の足元に積もった葉っぱを無意識に踏みしめながら、悩んでいた。

もちろん、彼のことを好きだし、彼と一緒にいることにはとても幸せを感じる。

でも、だからこそ、迷ってしまう。

どうしたらいいんだろう?  


「エリナ、何か悩んでるのか?」  

ふと声をかけられ、顔を上げると、アラクシウスがそこに立っていた。

あれ、いつの間に?

 さっきまで一人で考えてたのに…。

顔が少し赤くなりながら、私は慌てて言葉を探す。  

「ううん、別に…」  

「嘘だな。」  

彼はちょっと笑って、私の肩を軽く叩いた。

その笑顔がまた、私の胸をキュンとさせる。  

「本当に悩んでるんだな。」  

「だって…」  

「お前が悩むのも分かるよ。帝国での生活、確かに不安だろうし、俺もお前に無理を強いるつもりはない。でも、俺はお前と一緒にいたい。」  

その言葉に、私は胸が締め付けられるような思いを感じた。

アラクシウスがどうしてこんなにも真剣に、私のことを考えてくれるのか。

それに気づくたびに、胸がいっぱいになる。

でも、私はやっぱり迷ってしまう。  

「でも、私の生活も大事だし…」  

私は口ごもった。

どうやっても、心の中でその選択をどうしようかと迷ってしまう。

アラクシウスは少し沈黙してから、私の前に歩み寄り、優しく言った。  

「エリナ、お前が選ぶ道を尊重する。ただし、俺がそばにいることを忘れないでほしい。」  

その言葉に、私はまた胸があったかくなった。

彼の優しさに触れるたび、やっぱり私は彼のことが好きだと強く感じる。

でも、それだけじゃどうしようもない気がして…。  

「もし、私が帝国に行ったら、きっと色々と大変だろうな。」  

「うん、確かに。俺も忙しいし、お前にもその覚悟は必要だ。」  

「でも…一緒にいる時間は増えるわけだし、やっぱり嬉しいかな。」  

「それなら、俺も嬉しい。」  

その時、アラクシウスが笑いながら私の手を取る。

こんなことされたら、ますますドキドキしてしまうじゃない! 

私は少し顔を赤くしながら、手を振りほどこうとしたけど、彼はしっかりと握ってくる。  

「ねえ、エリナ。」  

「なに?」  

「お前が決めることだ。俺は待ってる。」  

その言葉が、また心に突き刺さるような気がした。

でも、私もやっぱり彼を大切に思ってる。

自分の中で迷いながらも、ふと自分の心に正直になってみた。  

「私、やっぱりあなたと一緒にいたい。」  

そう決めた瞬間、アラクシウスがニッと笑って、私を引き寄せる。

えっ、ええっ!?  

「それなら、俺も一緒だ。」  

私の顔がまた赤くなる。

なんだか、急に照れてしまって、アラクシウスの顔を見れなくなった。

彼が少し笑いながら、私の頬に軽く触れて言った。  

「でも、まだ決めたわけじゃないんだろ?」  

「うるさいな、決めたんだよ!」  

私は少し強めに言い返してみるけど、彼の笑顔を見たら、なんだか照れくさくて、思わず笑ってしまう。

彼もまた私の反応を見て、にやりと笑う。  

「そうか。じゃあ、後は一緒に決めよう。お前が一番幸せになれる道を。」  

その言葉を聞いて、私はもう迷わなかった。

アラクシウスと一緒にいることで、私は幸せになる。

それを確信できた。  

「ありがとう。」  

「どういたしまして。」  

私はアラクシウスの腕に包まれ、再び彼との未来を一緒に歩む覚悟を決めた。

どんなに迷ったとしても、彼となら、きっと幸せになれる。  

「さあ、これからどうする?」  

「…まずは、また薬草を取りに行こうかな。」  

アラクシウスはちょっと不満そうな顔をしたけど、それでも私の手を握って歩き始めた。  

「美味しそうな料理でも一緒に作ろうか?」  

「あ、それいいね!」  

彼の提案に、私は嬉しそうに笑った。

これからのことを考えながら、私は彼の手をしっかり握り締めた。
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