【完結】彼は皇帝なので、彼女は薬師として尽くすことにしました。

朝日みらい

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13. 心の中の壁 

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アラクシウスと再び頻繁に会うようになったけれど、私の心の中にはどうしても越えられない壁があった。

彼の優しさ、思いやり、どれをとっても素敵なんだけど…それでも、どうしても私は彼が私を本当に愛しているのか、心から確信できなかった。

もしかしたら、ただの気まぐれで、少し私に優しくしているだけなのかもしれない。

そう考えると、どうしても心の中がモヤモヤして、素直になれない。

「エリナ、今日も元気か?」  

アラクシウスの声が、私を現実に引き戻す。

振り向けば、彼がにっこりと笑いながら立っていた。

笑顔は本当に素敵で、まるで日差しみたいに私を包んでくれるけれど、同時にその笑顔が私を不安にさせる。  

「うん、元気だよ。」  

でも、心の中で何かが引っかかって、思わず言葉が続かない。

アラクシウスは少し眉をひそめ、私の様子に気づいたようだ。  

「どうした? 何か悩んでいることでもあるのか?」  

「ううん、別に…」  

「嘘だろ。」  

彼は一歩近づき、私の顔をまじまじと見つめる。

ああ、またこうやって見られると、胸がドキドキしてしまう。

でも、それでもやっぱり心の中の壁が消えないんだ。  

「エリナ、俺は…」  

その時、アラクシウスが何かを言いかけたけど、口を閉じた。

なんだか言いたいことがあるのに、言えないみたいな感じ。

私もその気持ちがわかる。

彼もきっと心の中で何かを抱えているんだろうけど、それを口にするのは怖いのかもしれない。  

「どうしたの?」  

「いや…」  

彼は微妙に笑いながら、目をそらした。  

「俺、エリナがどんなに不安そうでも、支えてやりたいって思ってる。」  

その言葉に、私は思わず息を飲んだ。

確かに、アラクシウスはいつも私を気遣ってくれる。

どんなに忙しくても、必ず時間を作って会いに来てくれるし、その度に温かい気持ちをもらっている。

でも、どうしても心の中で「本当に愛してる?」って疑ってしまう自分がいる。

それが悔しくて、切なくて…。  

「でも、私…」  

「エリナ、怖がることはない。」  

彼がそっと私の手を握って、じっと見つめてくる。

ああ、こんな時に彼の瞳を見ると、もうどうしていいかわからなくなる。  

「俺がエリナを好きだって、分かってほしいんだ。」  

その言葉を聞いて、私は一瞬だけ心が温かくなる。

でも、すぐに疑念が湧いてきてしまう。  

「でも、皇帝としての立場もあるんだろ? そんな簡単に言ってくれるけど、実際には色々と…」  

「エリナ、そんなこと気にしなくていい。」  

彼は少し苦笑しながら、私の肩に手を置いた。  

「俺だって、完璧じゃない。過去のことや立場のことに縛られて、どうしても言えないことがある。でも、お前には…」  

その時、彼が言いかけた言葉が何か気になる。

お前には…? 

でも、それを無理に聞こうとは思わなかった。

だって、彼が何かを隠しているのも無理はないだろうし、私だってまだ全部を理解できているわけじゃない。  

「だから…俺、もっとお前と一緒にいたいと思ってる。」  

その一言で、心の中の壁が少し崩れたような気がした。

少なくとも、彼が私に対して本気で想ってくれているのは確かだと感じた。

もちろん、私にもまだまだ不安は残っているけど、彼と一緒にいる時間を増やすことで、その不安は少しずつ消えていくのかもしれない。  

「ありがとう…アラクシウス。」  

思わずそんな言葉が口をついて出た。

彼は優しく微笑んで、私の手をしっかりと握りしめた。  

「俺も、ありがとう。エリナ。」  

その瞬間、私の中で何かが変わった。

確信できるようになった、彼は私を本当に大切に思ってくれていると。

お互いにまだ完璧じゃないかもしれないけど、これから一緒に歩んでいくことを決めたんだと感じた。  

「じゃあ、今日も一緒にご飯でも食べに行こうか?」  

彼が突然言うと、私は少し驚いてから笑った。  

「うん、行こう!」  

こうして、私たちはまた少しずつ、少しずつお互いに心を開いて、距離を縮めていった。 
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