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 「盗賊団『赤い盾』のリーダー──別名、バリントンだ」

 アロンソはそう言うと、不敵な笑みを浮かべた。

 アナリスは、あまりの衝撃に言葉を失った。

 あの律儀そうな素振りを見せていたアロンソが、実は盗賊団のリーダーだったなんて……とても信じられなかった。

「どうして……?」

 アナリスは思わず尋ねた。

「どうして、お父様やお母様、そしてわたしを殺そうと……?」

「そりゃ、金のためさ。守護ばかりの任務では金にはならない。ハント商会と組んで、金もうけをしようとしただけだ」

 アロンソは吐き捨てるように言う。

 その瞳には狂気の色が浮かんでいた。

 アナリスは背筋が寒くなった。

 この男を野放しにしておくわけにはいかない。

──そう強く思った。

「おまえはここで処罰する」

 ラファエルはそう言うと、剣を構えた。

 バリントンも腰の赤い刃の短剣を抜き取ると構えた。

 赤い魔法石を使った剣に違いない。

 二人の間に緊張が走る。


──先に動いたのはバリントンだった。

 彼は素早い動きで斬りかかってくる。

 ラファエルはその攻撃を剣で受け止めると、力任せに押し返した。

「殿下、なかなかやりますな」

 バリントンは余裕の笑みを浮かべて言うと、再び剣を振るってきた。

 しかし、その攻撃は先ほどよりも明らかに遅かった。

──おそらく、魔術を使った反動だろう。

 ラファエルはその隙を狙って反撃する。

 バリントンは間一髪で避けたが、腕に掠り傷を負ったようだ。

「くっ……」

 彼は苦痛に顔をゆがめた。

「とどめだ!!」

 ラファエルは叫ぶと、剣を振りかざす。

 バリントンは跳躍して攻撃を避けようとしたが、間に合わなかったようだ。

 彼の胸から腹にかけて大きな傷が走った。

 血が噴き出して地面を赤く染める。

「ううっ……」

 バリントンは地面に倒れ込むと、そのまま動かなくなった。

──死んだの……?

 アナリスは思わず目を背けた。

 いくら敵とはいえ、人が殺されるところは見たくなかったのだ……。

 ラファエルは剣を鞘に納めると、こちらに向かって歩いてくる。

「怪我はないか?」

 アルは申し訳なさそうな表情で言う。

 アナリスは首を振ると、彼を安心させるように言った。

「いいえ、ありがとうございます」
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