【完結】薔薇の仮面 ~演劇大好き少女は公爵様に溺愛されて~

朝日みらい

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第15章 反乱の狼煙

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ヴァルターが決起した――。  

ついに、だ。  

宰相派の不正を暴くため、彼は戦いに身を投じた。彼の仲間たちも続き、宮廷は今、まるで『巨大な舞台のクライマックス』みたいにざわめいている。  

でも。  

「……私は信じてるわよ、ヴァルター」  

私は劇場の舞台に立ち続けた。  

ヴァルターが命を懸けて戦っているなら、私も自分の戦場でできることをしなければならない。  

この宮廷劇場には王や貴族たちが足を運ぶ。そして、私の演技が彼らの心を動かし、少しでも宮廷の風向きを変えることができるなら――!

今日は特に気合が入る。  

「マリア様、今日も素晴らしいお芝居でした!」  

「マリア嬢の演技には魂がある! いやぁ、感動しました!」  

「……やはり、マリアは特別な存在だ」  

王が呟いたのを、私はしっかり聞いた。  

……よし、少しずつだけど、空気が変わってきた。  

もちろん、宰相派も黙ってはいない。  

「劇場の女ごときが、宮廷に影響を与えるなど……!」  

「王妃様、あの女を今すぐに――」  

「……くだらないことを言ってはなりません」  

王妃のその一言で、宰相派の企みは一旦潰えた。  

でも、油断はできない。宰相派は最後の抵抗を試みるだろう。  

そして私は――ヴァルターが無事に戻ってくることを信じて、舞台に立ち続けるだけ。  

でも、もし。  

もし、ヴァルターが戻らなかったら。  

「……そんなの、嫌よ」  

私は劇場の楽屋で、彼が残した手袋をぎゅっと握りしめた。  

「絶対に、戻ってきなさいよ。ヴァルター」  

その夜、私は夢を見た。  

ヴァルターが、いつもの冷静な顔で、「遅くなったな」って言いながら帰ってくる夢。  

「バカ、心配させないで」  

そう言って、私は彼の胸に飛び込むのだ。  

きっと、それはただの夢じゃない。 

これは――私の、願い。  

そして、彼との約束だから。
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