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36.文字の勉強
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「それじゃあ、さっそく始めようか。まずは文字を読めるようになる所からだね」
「ん」
「はーい!」
ルーチェとノワールの前には紙とペン、この世界の文字が書かれた表が置いてある。
この世界の文字や言語は、種族や国によって違いはあるが世界共通語が存在する。世界共通語は形こそ違うが日本のものと変わりない。日本のように漢字は存在しないが、形が違うだけで数や読み方は全く同じだ。数字は『1、2、3』と書き、読み方も「いち、に、さん」と読むので日本と変わらない。
ちなみに俺がこの世界に来てから言語について困ったことは一度もない。どの言語も形は全然違うのに最初から読んで書くことができた。俺がこの世界に順応できるように神様が配慮してくれたのだろうと思っている。異世界に来て言葉が通じないというのは困るからとても助かった。
テーブルの上にある文字表は、日本でいうひらがな50音表だ。文字を勉強したい人向けに本屋で売られている。ただ、値段がそれなりにするのであまり買う人はいない。お金に余裕がある人しか買わない。
紙とペンも一緒だ。普段生活するだけなら必要ないものだからな。商売を生業としている人くらいしか持っていない。
もし、庶民が文字の勉強をするならば紙やペンは使わず、地面などに書いて覚えるらしい。地面ならばお金はかからないし、何度も書いたり消したりできるから。
それも悪くはないし、1つの方法ではあるがノワールとルーチェに関しては妥協したくない。金銭的な余裕もある。
だから、2人が勉強するにあたって、文字表と紙とペンをきちんと用意した。
最初は読み方から教えようかと思ったけど、書きながらの方が覚えられるだろうと考え、2人には1文字ずつ丁寧に教えていく。
まず、俺が文字表に書いてある文字を1つずつ指差して読み上げてから実際に書いてみせる。そしたら、2人にもペンを使って紙に書いてもらうというのを繰り返していく。
「まずは、『あ』からね。書き方は…………という感じで書く。今俺が書いたようにお手本を見ながら紙に書いてみて」
2人は俺が書いた文字を見て頷いた後、ペンを持って紙に真似て書こうとしたところで一旦止めた。なぜなら、ペンの持ち方を教えていなかったからだ。2人がペンを持った時に握りしめるようにして持ったのを見て、そういえば持ち方を教えてなかったということに気づいた。
この世界で箸を使うことはないし、2人とも箸を使って食べたことがないだろうから箸を持つようにペンを持つと言っても分からないだろう。
俺がペンをどう持つのか2人の目の前で見せて、真似て持つように言う。
「むぅ……」
なかなか上手にペンを握れないみたいだったので、2人の後ろから抱き締めるような姿勢になり、ペンに添える指を正しい位置に移動させる。
「人差し指と中指の間にペンを入れて、少しペンを指先の方にズラしてから親指でペンが動かないように抑える。…で、薬指と小指は軽く添えるようにして……そう!そんな感じ」
「ゔぅ……」
「…ゆづるむずかしい……」
ペンを持つ2人の指は細かくプルプルと震えている。慣れていないのだから仕方ない。最初は皆こんなものだ。
2人はプルプルと震わせながらも頑張って紙に文字を書いている。震えてるせいで紙に書かれた文字はミミズが這ったようにグネグネしている。
時々、2人がペンを持つ上から手を重ねて一緒に書いたりもした。それでも、やっぱりお手本通りの文字を書けたとはいえない見た目だ。
なかなか上手く書けなくて、投げ出したくなってもおかしくないのに2人はやめたいとは言わなかった。2人の年齢であれば、つまんないと言って嫌になったとしても仕方ないのに……。
上手く書けなくてムッとした表情になる時はあるけど、2人は真剣だ。
文字の勉強の間に休憩を挟みつつ、途中でご飯を食べて、文字の勉強をして1日が終わった。
正直、2人ともここまで頑張るとは思っていなかった。勉強するのは初めてだろうし、年齢的にもまだ遊びたい盛りだ。じっと椅子に座り、黙々と文字を書くだけなので飽きてもしょうがない。
俺としては勉強を辛いもの、楽しくないものと思ってほしくなかったので、ある程度やったら終わるつもりだった。それこそ、1、2時間くらいで終わろうと思っていた。
だから、勉強を始めて2時間くらい経った時にそろそろ終わろうかと2人に声をかけた。でも、2人はまだ続けたいと言った。
無理に続けさせるのは良くないと思ったけど、2人ともやめようとしなかったので、こまめに休憩をとりながら勉強を続けた。
ずっと文字を書いていると大人でも手が痛くなる。書きなれていない2人にとっては尚更だ。だから、文字を書くだけでなく、読んで覚える練習もした。
あまり根を詰めすぎてはいけないと思いつつも2人の気持ちを優先して、1日中文字の勉強をしていた。その成果か、夕方辺りには最初と比べて、2人とも読める文字が増え、ミミズが這っているような文字はまだぐにゃりとしている部分はあっても読むことができる位まで書けるようになっていた。
2人はまだ納得いっていないみたいだったけど、1日でここまでできるとは思っていなかった。
2人のすごい集中力と熱意を感じた。
本来であれば、数日間かけて文字の勉強をする予定だった。でも、明日も今日と同じく文字の勉強をするとなれば2人ともまた1日中文字の勉強をしていそうだ。
いくらここでの生活に少しずつ慣れてきているとはいえ、まだまだ不慣れなことの方が多い。あまり根を詰めすぎると体調を崩してしまう恐れもある。
文字は少しずつ覚えていけば良いし、明日は魔法についての勉強にしようか。
特にルーチェは魔法に関心があるようだから喜んでくれるだろう。
子どもは遊ぶことが仕事であるという。2人には勉強だけじゃなくて、子どもらしく楽しく遊んでいて構わないのにと思うが、勉強は2人が望んだことでもある。
明日は魔法について教えつつ、あまり2人が頑張りすぎないようにしよう。時間を予め決めといた方がいいかな。そうすれば頑張りすぎることはないだろう。
ずっと家にいるよりは、外に出た方が2人の成長にとっても良いだろうし。明日は冒険者ギルドの練習場を借りて、魔法について教えよう。
「ん」
「はーい!」
ルーチェとノワールの前には紙とペン、この世界の文字が書かれた表が置いてある。
この世界の文字や言語は、種族や国によって違いはあるが世界共通語が存在する。世界共通語は形こそ違うが日本のものと変わりない。日本のように漢字は存在しないが、形が違うだけで数や読み方は全く同じだ。数字は『1、2、3』と書き、読み方も「いち、に、さん」と読むので日本と変わらない。
ちなみに俺がこの世界に来てから言語について困ったことは一度もない。どの言語も形は全然違うのに最初から読んで書くことができた。俺がこの世界に順応できるように神様が配慮してくれたのだろうと思っている。異世界に来て言葉が通じないというのは困るからとても助かった。
テーブルの上にある文字表は、日本でいうひらがな50音表だ。文字を勉強したい人向けに本屋で売られている。ただ、値段がそれなりにするのであまり買う人はいない。お金に余裕がある人しか買わない。
紙とペンも一緒だ。普段生活するだけなら必要ないものだからな。商売を生業としている人くらいしか持っていない。
もし、庶民が文字の勉強をするならば紙やペンは使わず、地面などに書いて覚えるらしい。地面ならばお金はかからないし、何度も書いたり消したりできるから。
それも悪くはないし、1つの方法ではあるがノワールとルーチェに関しては妥協したくない。金銭的な余裕もある。
だから、2人が勉強するにあたって、文字表と紙とペンをきちんと用意した。
最初は読み方から教えようかと思ったけど、書きながらの方が覚えられるだろうと考え、2人には1文字ずつ丁寧に教えていく。
まず、俺が文字表に書いてある文字を1つずつ指差して読み上げてから実際に書いてみせる。そしたら、2人にもペンを使って紙に書いてもらうというのを繰り返していく。
「まずは、『あ』からね。書き方は…………という感じで書く。今俺が書いたようにお手本を見ながら紙に書いてみて」
2人は俺が書いた文字を見て頷いた後、ペンを持って紙に真似て書こうとしたところで一旦止めた。なぜなら、ペンの持ち方を教えていなかったからだ。2人がペンを持った時に握りしめるようにして持ったのを見て、そういえば持ち方を教えてなかったということに気づいた。
この世界で箸を使うことはないし、2人とも箸を使って食べたことがないだろうから箸を持つようにペンを持つと言っても分からないだろう。
俺がペンをどう持つのか2人の目の前で見せて、真似て持つように言う。
「むぅ……」
なかなか上手にペンを握れないみたいだったので、2人の後ろから抱き締めるような姿勢になり、ペンに添える指を正しい位置に移動させる。
「人差し指と中指の間にペンを入れて、少しペンを指先の方にズラしてから親指でペンが動かないように抑える。…で、薬指と小指は軽く添えるようにして……そう!そんな感じ」
「ゔぅ……」
「…ゆづるむずかしい……」
ペンを持つ2人の指は細かくプルプルと震えている。慣れていないのだから仕方ない。最初は皆こんなものだ。
2人はプルプルと震わせながらも頑張って紙に文字を書いている。震えてるせいで紙に書かれた文字はミミズが這ったようにグネグネしている。
時々、2人がペンを持つ上から手を重ねて一緒に書いたりもした。それでも、やっぱりお手本通りの文字を書けたとはいえない見た目だ。
なかなか上手く書けなくて、投げ出したくなってもおかしくないのに2人はやめたいとは言わなかった。2人の年齢であれば、つまんないと言って嫌になったとしても仕方ないのに……。
上手く書けなくてムッとした表情になる時はあるけど、2人は真剣だ。
文字の勉強の間に休憩を挟みつつ、途中でご飯を食べて、文字の勉強をして1日が終わった。
正直、2人ともここまで頑張るとは思っていなかった。勉強するのは初めてだろうし、年齢的にもまだ遊びたい盛りだ。じっと椅子に座り、黙々と文字を書くだけなので飽きてもしょうがない。
俺としては勉強を辛いもの、楽しくないものと思ってほしくなかったので、ある程度やったら終わるつもりだった。それこそ、1、2時間くらいで終わろうと思っていた。
だから、勉強を始めて2時間くらい経った時にそろそろ終わろうかと2人に声をかけた。でも、2人はまだ続けたいと言った。
無理に続けさせるのは良くないと思ったけど、2人ともやめようとしなかったので、こまめに休憩をとりながら勉強を続けた。
ずっと文字を書いていると大人でも手が痛くなる。書きなれていない2人にとっては尚更だ。だから、文字を書くだけでなく、読んで覚える練習もした。
あまり根を詰めすぎてはいけないと思いつつも2人の気持ちを優先して、1日中文字の勉強をしていた。その成果か、夕方辺りには最初と比べて、2人とも読める文字が増え、ミミズが這っているような文字はまだぐにゃりとしている部分はあっても読むことができる位まで書けるようになっていた。
2人はまだ納得いっていないみたいだったけど、1日でここまでできるとは思っていなかった。
2人のすごい集中力と熱意を感じた。
本来であれば、数日間かけて文字の勉強をする予定だった。でも、明日も今日と同じく文字の勉強をするとなれば2人ともまた1日中文字の勉強をしていそうだ。
いくらここでの生活に少しずつ慣れてきているとはいえ、まだまだ不慣れなことの方が多い。あまり根を詰めすぎると体調を崩してしまう恐れもある。
文字は少しずつ覚えていけば良いし、明日は魔法についての勉強にしようか。
特にルーチェは魔法に関心があるようだから喜んでくれるだろう。
子どもは遊ぶことが仕事であるという。2人には勉強だけじゃなくて、子どもらしく楽しく遊んでいて構わないのにと思うが、勉強は2人が望んだことでもある。
明日は魔法について教えつつ、あまり2人が頑張りすぎないようにしよう。時間を予め決めといた方がいいかな。そうすれば頑張りすぎることはないだろう。
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