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第14話
「助けに来なかったわけじゃない・・・」
しおりを挟む根城の長い廊下を歩いてくランたち。
道中に地には転がってるフードの人たち。皆血を拭いて倒れていることからもう死んでいるのだと分かる。
子供らはそれをなるべく見ないようにした。
そして長い廊下が終わると階段を見つけその階段を登っていく。階段が終わると扉が見え、
ランがその扉を開ければ眩しい日差しが差し込み思わず目を瞑る子供達。
どうやら外に出られたようで、外には騎士学校の生徒たちが待っていた。
そしてそこにも地面に血を出して倒れてるフードの人たちがいた。
ランが出てきたことで、生徒たちの視線はランへ注がれる。
ケイ「!リチア!?」
生徒達はリチアを抱えて出てきたランへと駆け寄った。
ラン「気を失ってるだけのようです。ケイリィさん。リチアさんをお願いできますか」
ケイ「あ、は、はい」
ランからリチアを受け取るケイリィ。
「ねぇ・・あの子供達って・・・」
「・・・うん」
生徒からヒソヒソと声が上がり、全員の視線は後ろの子供達にいく。
ランはノウゼンカズラ、アザレアへと近づく。
ノウゼンカズラ「人身売買をしてる大将は?」
ラン「それがどうやら我々も会ったことある人物でしたよ。万引きしてた餓鬼でした。」
ノウゼンカズラ「・・マジか。」
アザレア「そいつはどうした」
ラン「・・秘密を知っていたみたいなので殺してしまいました」
ノウゼンカズラ「・・ま、これで母親と一緒になれるんだから良かったじゃねぇか」
ラン「・・・えぇ」
ランたちが話してるあいだ、ケイリィたちは子供に近づく。
ケイリィ「怖かったね。もう、大丈夫だからね。安心して?」
子供達は無言でケイリィたちを見上げる。
子供達はなにも言わない。
「怖い思いしたんだね・・・きっと・・・。震えちゃってるもん・・・大丈夫、もう、大丈夫だから」
1人の騎士学校の女子生徒が子供に手を伸ばしかけた時だ。
ガブリと、その女子生徒の手に噛みついた男の子。
全員はその行動に驚いている。
「だ、大丈夫!?」
「へ、平気・・」
噛まれた女子生徒はジンジンと痛む噛まれた手をさする。
かすかに血も滲み出ていた。
その手に噛みついた男の子は恨めしそうな顔をして見上げていた。
「・・で・・・」
「え・・・?」
「なんで助けた・・!!助けても俺たちの行く場所なんかどこにもないのに!!家族からも見放された・・・待っても助けになんて来なかった・・・!!」
ケイリィ「・・・そ、それは」
「ロネちゃん!!」
その場にそんな声が背後から聞こえ、全員が振り返ると出入り口付近に1人の女の人とロネの兄であるデットが立っていた。
その女の人はロネちゃんと呼ぶと、ロネと呼ばれた人身売買の女の子は顔をあげる。
ロネ「・・・」
ケイリィ「・・・助けにこなかったわけじゃない・・・」
「・・・?」
ケイリィ「本当は助けにきたかったんだと思うよ。ただ・・・やっぱり勇気が出なかっただけ・・・。ちゃんと迎えにきてくれる人だって、こうしている訳だから」
「ロネちゃん!!」
女の人はロネに駆け寄る。
ロネも知った顔だからか、勇気を出して一歩、一歩と足を踏み出しそして女の人に駆け寄る。
その次の瞬間だった。
ガン!!!
ふと、さっき出てきた根城の中から銃声が聞こえ、気がつくとロネに駆け寄っていた女の脳天が打ち抜かれていた。
ロネ「・・・!!!」
ランたちは驚きつつも銃声がした方に目をやれば、自分たちがさっき上がってきた階段から這いずってきたのか、血まみれのシナが銃口を向けてそこに居た。
ラン「・・・まだ生きていたのか」
デット「・・し・・・シャムア・・っ?シャムア・・・!」
シャムアと呼ばれた脳天を撃ち抜かれた女の人にデットとロネは駆け寄る。
シナはそれを見て薄く笑い、
シナ「商品は・・・渡さない・・・」
そう言って照準をデットに負ける。それに気付いたケイリィは、「やめろ!!!」と叫ぶ。
そしてシナは構わずに引き金を引いた。
ガン!!
シナはデットへ目掛けて発砲した。つもりだった。だが、
それを阻止すべくして変わりに盾になって撃たれたのは、
気を失っていたはずのリチアだった。
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