手向け花を捧ぐーREー

井上なぎさ

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第35話

「・・・その子を離しなさい」

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久しぶりに向けられる、そんな怯えた目を見てカトレアは昔の事を思い出していた。


でもそんな怯えた瞳さえ、心地よいと思ってしまうわらわは異常なのかしら。




「す、すみませんカトレア様!遅れました!
って、一体どうなされたのです・・・?」

そこにカトレアと待ち合わせをしていたという人形屋の店主が走ってやってくるとカトレアを見たまんまへたりこんでいる祖父と祖母がいたり、
その場にパトカーが止まってトラックの運転手を取り囲んで捕まっていた。



カトレア「何でもないわ。ただ轢かれそうになってるそこのご老人を守ってあげたまでよ。
。ご老人よ。驚かしてしまってごめんなさい。

ここは危ないから早く家に帰った方がいいわ。立てるかしら?」

カトレアは手を差し伸べると。
祖父と祖母は「あ、あぁ・・・」と返事をしつつもカトレアの手を掴んで立ち上がり2人はゆっくりした足取りでその場を後にしていく。


カトレアはそれを見送ったあと人形屋の店主に振り返る。



カトレア「職人様が遅くて待ちくたびれたわよ」

「そ、それは、申し訳ございません。今日呼び出したのは新しい人形を入荷したので見てもらいたく」

カトレア「ついでだし、人形買って可愛い生徒にお土産しようかしら」

「な、なんと!ぜひぜひ買っていってください!人形と言っても普通の人形じゃなくて話しかけるとその声に反応して返してくれる人形なので、家で一人暮らししている方などにはきっと必要で寂しさも吹き飛ぶ事でしょうな!」

カトレア「ほう?それは見るのが楽しみね」




カトレアと店主はその凱旋門前から移動することになった。













ーーーーー

その頃のラン達はと言うと、
1年生と殺し屋との戦いが起きていて1年は怯えながらも殺し屋へと立ち向かっていく様子をランとキキョウは見守っていた。




キィンキィンと刃がぶつかりあう音がその場に響き、1年はなかなか傷付けられない殺し屋に苦戦をしている。
そんな戦いに1年は体力の消耗が激しく肩で息をしていた。



「ふん。騎士学校の生徒などたばになってかかってこようが我ら殺し屋には敵わん」

「そうさね。宝玉が発動してるウチらには力及ぶはずがないさね」

殺し屋に押され気味の一年に、ランは手を貸そうかと動き出そうとした時リミアからの悲鳴が聞こえそちらに目を向けてみると、リチアの体に巻きつけられてる髪の毛のようにゆらゆら蛇のように蠢く物体。リチアはその髪を伸ばして自在に操る1人の殺し屋に拘束されて身動きができないでいた。


リチア「な、なんですかこれ・・・!」

ケイリィ「リチア!」

「よそ見してていいんかな?」

ケイリィ「!」

ケイリィに斬りかかる1人の殺し屋。ケイリィはその人と武器を交える。

ケイリィ「く・・・っ」


リチアはその蛇のような髪に巻きつかれてだんだん
引き寄せられていき、殺し屋の1人の手に落ちる。
あからさまにランの殺気が変わったことは殺し屋には伝わっていたようだった。


その蛇の髪を操る女の殺し屋はキキョウに焼かれた腕を押さえながらも立ち上がり、リチアを自身の方に抱き寄せる。
その女はどうやら髪の長さを伸ばしたり短くしたりできるらしく、髪の先端が蛇の顔になっていてまるで生きているように数匹の蛇が蠢いていた。


女ははリチアの肩を引いて抱き寄せたあと刃物をリチアの首元に当たる。それをもちろん見て見ぬ振りできないランは低い口調で、

ラン「・・・その子を離しなさい」
と言う。
そんな低い声にランが怒ってるのだとすぐに分かる。




「そんなにこの子が大事?そんな殺気を放っちゃって。離してもいいけど、仲間のことをさきに話してもらうわよ?仲間の、エルマをどうしたの」

ラン「だから覚えがないって言いましたよね?」

「・・・私達は知ってるんだから。そうまでしてしらを切るつもりなのね。それなら・・・」


リチアに巻かれていた蛇はリチアの体を離れると、数匹の蛇がリチアに今にも襲い掛かろうとギランと睨み舌をチロリと出している。

リチアは女に体を抑えられて逃げるにも逃げられなかった。


「この子には悪いけど、死んでもらうわ」

ラン「・・・」









「キャスの奴、目的は騎士の連中だけでいいのに本気で殺すつもりなの?」

仲間からキャスと呼ばれている蛇の女。
1年と交戦しながらも余裕そうにキャスの方に目配せをする。


「そうなっても構わないさ」
と、この殺し屋のリーダー的存在である女が言う。





覚えがないだと・・・?ふざけるな。
我々は知っているんだぞ。騎士の連中がなにかを隠してるに違いないのは。

宝玉がすべて教えてくれるんだ。








「生徒を相手しててもつまんないよ。殺し屋である僕らに力及ばずでさー。すぐ斬っちゃいそうだよ」

その男はケイリィと剣を交えながら仲間に向けて声をかける。


「宝玉の力はなるべく抑えろよ」


「わかってるけど」


ケイリィ「く、そぉ・・・!」


ケイリィはよそ見をしつつ仲間と話している男の隙をついて剣をガキィンと押し返すとリチアの元へと走った。




ケイリィ「リチア!」

リチア「ケイ・・・!」


ケイリィはリチアに手をのばす。


その時だった。
ケイリィは油断していた。



小さな体の女の子がケイリィの背後に居ただなんて気が付かずに、


その小さな女の子もまた殺し屋であり、
背後からケイリィの背中めがけ刃物を突き刺したのだった...。












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