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第64話
「たった一人の妹なのですから」
しおりを挟む血を流し胸を押さえて膝をついているそんなランへとリチアが駆け寄った。
リチア「せ、先輩・・・どう、したんですか!?大丈夫、ですか・・・!?」
ラン「は、はい・・・これは・・・」
キキョウ「・・・まずい、か・・・」
カトレア様・・・!
「お・・・・・ほ、本当、だった・・・・」
そんな騎士を見て、店主は口を開いた。
ノウゼンカズラ「あ・・・?」
4人の視線は店主に向いた。
「これが、騎士学校の秘密、ですかぁ・・・」
ノウゼンカズラ「なに、言ってやがる。もともと護衛などとうまく言って、初めから騙してたのかよ・・・」
ラン「・・・」
ランはその場に風を巻き起こし、その風は4人の体を優しく包み込み怪我の治療を施してあげて胸から出た血も全てなかったことになり4人は立ち上がる。
キキョウ「・・・ノウゼンカズラ、アザレアはカトレア様の元へ急げ」
ノウゼンカズラ「あぁ。おいラン。ユニコーン呼べ!」
ラン「念のためにもう外に呼んでありますよ」
と言えばアザレアとノウゼンカズラは店主の横を走り抜けその地下を出て行った。
キキョウ「職人殿。なにか言い残すことはあるか」
店主に武器を向けるランとキキョウ。
「ま、待って待ってくれ!!
わ、私は、脅されておったんですよ!ある日の夜、店じまいの時間になってある一人の女の子が、店に来たんです・・・確か・・・シュヴァインなんとかと、名乗っておった・・・」
その名を聞いて目を見開いたキキョウとラン。
ーある日の夜の出来事ー
ガチャ。
「あ、すまんもう閉店の時間だが、看板立てかけるの忘れてましたかな」
少女は無言で店内を見渡す。そしてひとつの人形を見つけると、その人形を手に取る。
「あ、あの・・・?その人形、お買い上げになりますか?」
ハノカ「・・・ハノカ=ユシアール=シュヴァインていいます」
「え・・・?」
ハノカ「ハノカしってますよ。おじさんのしてること。ぜんぶ、みてたから」
「え」
「あの、きしだんてひとたちとおじさんはなかよしですか??
ハノカは、きしだんがにくいんです。
ハノカのナカマ、きしがっこうにいったまま、かえってこなくて・・・ナカマがきしがっこうにはいっていったのをかくにんしたけど、なんじかんかたってでてきたのはきしのヒトだけ。
ナカマのすがたはなくて、きになってついていった。そしたら、ここ・・・にんぎょうやさんだったっていうことをしった・・・
やっぱり・・・ここにいたんだ」
「な、なんの・・・話し・・・?」
ハノカ「この子、ハノカのナカマ」
「な・・・」
ハノカは手に持った人形を見つめる。
「すがたカタチはちがえど、ハノカにはわかる。ずっと、かんさつしてた・・・きしだんにはなにかヒミツがあるんじゃないか・・・。
ハノカのナカマに、ぜんしん刃物でつきつけられても、かれらがしなないりゆう。なんで、かれらにしかないバケモノみたいなちからをつかえるのか。
それをいうならハノカたちもバケモノですね。コロシやは、フジミだから」
「こ、殺し屋・・・!?ハッ・・・シュヴァイン・・・シュヴァイン、一族の・・あの・・・」
「ハノカ。きしだんのひみつをさぐってるんです。それがかんさつしてて、わかったかもしれないから、おじさん。ハノカにきょうりょくして」
「きょ、協力、というのは・・・」
「あの4人のきしだんのひとたちをおびきよせて」
「お、おびきよせる・・・!?そ、それは、あまりにも・・・ぜったい、そんなことしたらこ、殺される」
ハノカ「いま、ころされるか、あとでころされるかのちがいですよ」
そう言うとハノカは隠し持っていた斧を取り出して見せる。
「ひぃ・・・!!」
ハノカ「おじさんはきょーりょくせざるをえない。このコトをばらされたくなければ」
ーーー
キキョウ「・・・殺し屋の生き残りか・・・くそ・・・。ラン。リチア=アズマ。いくぞ」
ラン「はい」
リチア「えっ、あ、は、はいっ」
3人は店主の横を通り抜ける。だが、
「え、ちょ、ま、待ってくれ!」
店主はリチアの腕を掴んだ。
リチア「きゃっ」
「い、行かないでくれ・・・キミは、一目見て、分かる。きっと美しい人形に・・・」
ラン「職人様」
ランはリチアの頭を自分の胸に引き寄せる。
ラン「その手を離してくれますか。貴方に構っている暇ではないのですよ」
「・・・手を汚すのはいつも私の仕事だ・・・だから今までみたいに、騎士様がその子を人形に・・・」
そう言い合える前に、ランは葉っぱを取り出して店主の喉元に投げつけ、店主は喉から血を吹き出して地に伏せる。
「ぁ・・・が・・・・」
ラン「バカと話すのは疲れますね。リチアさんは誰にも渡すわけないじゃないですか。僕の大切で大事な生徒であって、たった一人の妹なのですから」
そこで店主は意識を失った。
・・・・・え・・・・?
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