手向け花を捧ぐーREー

井上なぎさ

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第63話

「・・・俺たちは嵌められた」

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女はスマホを取り出して逃げ惑うリチアを撮る。




「ふふ、アンタは騎士学校代表の見せしめね。この動画を全国に流して、騎士学校は化け物揃いということを教えてあげましょうか。心臓をさされて、いくら傷を負っても尚、このように動けているのだから、ね!」

リチアの体はもう血まみれであった。
それでも、倒れることなく息絶え絶えになりながらも必死に足を動かしていた。
女は走るのが遅いリチアの膝めがけ斧をふる。
その斧は膝にささり、リチアはその場に転倒する。





リチア「う、うぅ・・・っ」

「騎士団が・・・皆のヒーローなんてただの嘘っぱちよ!私も騎士団には最初は憧れてたのに・・・期待を裏切られた気分だわ」


リチアは倒れてもなんとかして体を起こして立ちあがろうとするも自分の流した血に滑って起こそうにも起きれなかった。



逃げ、なきゃ・・・いけないのに・・・。
体が・・・もう・・・・。


「ねぇ。貴方達騎士団てほんとは何者なの?やっぱり皆が皆化け物なんでしょ?貴方以外の生徒もさ!」

リチア「っ!ちが・・・う・・・私は、そうだと、しても他の生徒は・・・人間、です・・・っ」

「・・・認めたわね。自分が化け物だって。ふふ、これ、今動画撮ってるから。これを全国に報道することにするわ。そうすれば国民全て騎士学校なんて頼らないとおもうし、騎士学校はこの世界のお笑い種にされちまえばいいのよ!あははははいい気味ね!!だから・・・もっともっとあなたを痛めつけてこうまでしても死なないこの騎士学校の女子生徒は化け物ですって知らしめてやるわ」


女は再びリチアに斧を振りかぶろうとした。
そんな時だった。
斧を持っていた女の手首がかまいたちでも切られたかのようにスパッと切られ、手首はふっ飛ばされ斧はカタンと床に落ちる。

「え・・・・」


な・・・なん、だ・・・?わた・・・私の・・・

「う、腕、腕がぁあ!」

リチア「・・・!」

女は床に転げてその場に響いた足音の数々。
ふと後ろを見ればそこには4人の騎士達が立っていた。


ラン「どこかでお会いしたような気もしますね。貴方は・・・今朝、うちの生徒と揉めてた方ですか」

「あ、あ・・・あん、た・・・。どこかで見たことあるなと思ったが・・・格好が違ってたから分からなかったけど・・・あんたは今朝の・・騎士、ね!?
その瞳を見て、分かったわ・・・。

あんた達・・・・一般の市民にこんなことして、ただで済むと思ってる、わけ・・・!?・・・貴方達騎士団は、依頼されたことでしか動かないはずじゃ・・・」

ラン「ええ。僕たちは依頼されないことは目を瞑って見ないふりをします。殺すのも同様。依頼されなければごく普通の市民を殺すことはしません。
僕らはこちらの職人様からの別件の任務で頼まれて来ていました」

「職人、の・・・?」

ラン「はい。まさかこんなことが起きるとは職人様からは一才聞いていません。ですからこれは偶然起きてしまったもう一つの事件といったところでしょうか。ですよね。職人様?」


遠く離れた位置の壁の影に隠れていた職人はそろりと顔を覗かせた。


「な、何故・・・どうして、お前さんが・・・?」

キキョウ「・・・知り合いか?」

「い、いや・・・その・・・」

「こ、こんなの犯罪じゃない・・・!?どうして、私は何も間違ったことはしていない!!ただ騎士学校は私たち市民が思っているような憧れな存在なんかじゃないことを全国に知らせようと教えてあげようと・・・!!」

ラン「・・・・はぁ。職人様からは後でどう言う訳か詳しく聞くとして・・・。
僕は忠告しました。
次生徒を傷つけるようなものなら、貴方も息子さんの後を追うこととなる、と。

貴方は僕の大事な生徒を傷つけた。それが許せないのですよ。この意味が分かりますか?」


「わ、私を、殺そうってこと?あ、は、はは。やれるものならやってみなさいよ!もう動画もばっちりとれたことだしあとはここの投稿ボタンを押すことですぐに全国にこの動画が広ま・・・」
まだ話している途中で雷が女に直撃する。

女は悲痛な叫び声を上げ、雷がやめば女は黒焦げになりその場に倒れ伏す。

ノウゼンカズラ「耳障りだからもう喋んな」
ノウゼンカズラの手には剣が出現していて、その剣はバチバチと電撃を放っていた。
女を始末した後にパッと手から剣を離して消した。



ランはその場に血まみれで倒れているリチアに近づくとその場に腰をおとしすぐに治療をしてあげる。
血だまりやリチアの怪我は一瞬にして綺麗になくなった。

ラン「もう大丈夫ですよ」
安心させるようにそう言って微笑むラン。

涙を溜めつつランを見上げるそんなリチアの頭にポンと置いた後ランはゆっくり立ち上がる。
全員がリチアに向いている今がチャンスと思ったのか店主はこっそりその場を去ろうとした。だが逃げることはできなかった。
皆の視線はそんな店主に注がれている。


ラン「職人様。どういうことか説明してくれますか?この方とはどんな関係です」

店主は驚いた様子で振り返り言う。

「ひ・・・!い、いやぁ、いつもよくここに来店される客でして・・・よく来てくれるので顔見知りになったぐらいで・・・」

ラン「その方に、地下のことを教えたのですか?」

「い、いや、その・・・もっとよく知りたい、と。人形に興味津々で・・・」

店主は彼女に言い寄られて抱きつかれ、そんな彼女に惚れてしまっていた店主は地下の鍵を彼女に渡していたことを思い出す。




「それで、地下の予備の鍵を・・・」

ラン「・・・測った犯行じゃないにしろ、リチアさんが一人になったところを狙う・・・出来すぎてませんか」

ノウゼンカズラ「二人がグルってんなら尚更だ」

キキョウ「護衛してくれとのことだが、これを狙っていたのだとすれば・・・」

アザレア「・・・俺たちは嵌められた」


四人は剣をなにもない空間から取り出し店主に迫る。


「い、いやちょ待ってくだせぇ!!こ、これは予想外の出来事でして!!彼女とは別事前に打ち合わせをしてたとかそんなことは断じては違います!!」

キキョウ「・・・これは?」

ラン「騎士学校を嵌めた罪はなによりも重いですよ」


店主に武器を持って迫る4人。


「ひぃぃい!!!」




そんな時だった。
突然4人の胸から血が噴き出したのだった。

リチア「・・・!!」

「え・・・な・・・」

4人はその場に膝をつく。
リチアは何が起きたか分からなかったけど、やっとのことで声を出せた。





リチア「せ・・・・先輩!?」




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