手向け花を捧ぐーREー

井上なぎさ

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第66話

「リチアちゃんのせいで、ケイリィ君が傷付くかもしれない」

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時刻は夕方を回る。

リチアは寮へと帰ってきて自室に戻ろうかと階段を上がっていると、上がった先のすぐのとこの廊下にて話し声がした。
リチアは何故だかわからないけどその場に出て行かずに聞き耳を立てることにした。




ケイリィ「今日見たのは俺たちだけの秘密にしよう。きっぱり忘れるんだ」

「怖いよ・・・忘れられるわけないじゃない。あんな気味悪いの見せられたら・・・」



ケイ、リィ・・・?




そーっとリチアは物影から顔を出してみると今朝リチアに突っかかっていた男子と女子達が居て、
その一人の女子がケイリィに抱きついていたのを目にした。



「あれは・・・なんなの・・・?
あの写真に写ってた生徒達。制服の色は違ったけど、きっと、ここの先輩達だよ・・・でも・・・一体、どこに消え・・・」

ケイリィは咄嗟に女の子の口を手で塞ぐ。

ケイリィ「あまり口に出さない方がいいよ。どこで聞かれてるか分からないし。でも・・・気になる、よね。先輩達がこれを隠そうとしてた訳・・・」

「俺達も消されるのかな・・・」

「そんな・・・!」

ケイリィ「お、落ち着いて!きっと、大丈夫、だから。リチアにも心配かけたくないんだ、もうこの話は終わりにしよう。早く寝て明日になればきっと今日見たことなんて忘れてるから」

「・・・忘れていいものなのか」

「ケイリィ君・・・。リチアちゃんとは、もう一緒にいない方がいいんじゃない?」



「また、リチアちゃんのせいでケイリィ君が傷付くかもしれない」


ケイリィ「・・・心配してくれてありがと。それでも、俺は側に居るよ。幼馴染として、放っておけないから」

そう言うとケイリィは自室へと戻って行ったことで、その場にいた男子と女子もそれぞれ戻っていく。



リチアは階段の影に隠れて両手で口を覆った。


"「今朝だって無表情で斬りかかってたじゃん。幼馴染のケイリィ君にさ」



「ケイリィ君が可哀想」"




ケイ・・・。









その日の夜。

ジュリエッタとハノカはどこかの路地裏に駆け込んだ。


ジュリエッタ「・・・なんで・・・」

ハノカ「?」

ジュリエッタ「助けたの」

ハノカ「あのじょーきょうじゃしかたないですよ。
かちめなんてなかったから」

ジュリエッタ「彼らは化け物だもん。どっちみち、殺せるはずがない」

ハノカ「そうかでょうか。でも、ハノカのおもってたとおりだったですよ。あのカトレアっていうヒトをしゅーげきしてセイカイでした」

ジュリエッタ「え?」

ハノカ「カラダがかんぺきにキズをいやされてても、みるからにつかれきったひょうじょうをしてましたから。
コロシやはかんさつがシュミですから。よくみてるんですよ。あなたのチカラもどれほどのものか、しってます」


そう言うハノカは大事そうにエルマ人形を抱えて見つめている。



ジュリエッタ「・・・」

ハノカ「・・・ねえ、ハノカたち・・・テをくまない??」
ハノカは人形から目を離してジュリエッタに視線を送る。


ジュリエッタ「・・・あたしは・・・」

ハノカ「いっしょにきしガッコウをつぶしましょう?バケモノどうしで」

ジュリエッタ「・・・!」



パパ・・・ママ・・・。


ハノカはポケットから一枚の封筒を取り出した。








ーーー


生徒達は食堂で夜ご飯をとっている時、2階に上がらなかった組の女子生徒がリチアの姿が見えないからと1人でご飯を食べているケイリィのいる机に近付いた。


「ケイリィ君。リチアちゃんってご飯食べたの?」

ケイリィ「え?いや、どうだろう・・・まだだと思うけど・・・。そういえば姿見てないや。もう別件任務から帰ってきたのかな」

「さぁ?自室見てきたら??ついでになにかご飯持っていってあげなよ」

ケイリィ「う、うん。そうだね」



ーーーー

ケイリィは親から強引に渡されたって言うパンの耳を持ってリチアの自室へと向かう。



コンコン
ケイリィはリチアの部屋の戸をノックする。


ケイリィ「リチア?居る?お腹、空いてないの?」

そう呼びかけるも中から返事はなかった。

ケイリィ「もう疲れて寝ちゃったかな・・・。
親から渡されたパンの耳持ってきたんだけど・・・。お腹空いてなくても少しでもいいから何か食べた方がいいと思うから扉の前に置いておくから。なにか口にしないと任務の時とかきつくなると思うからさ」


そしてケイリィの足跡が遠ざかっていくのを耳にするリチアはベッドからむくりと起き上がると棚に飾られている人形を手に持つ。




リチア「・・・・お兄、様・・・」

その時、人形屋で見た喋ってる人形のことを思い出してリチアは思わずその人形を床に落とす。


リチア「はぁ・・・はあ・・・っ」


リチアは部屋の扉を開けると、そこにはパンの耳が置いてあり、リチアはそのパンの耳を持つと寮から飛び出して目指すは騎士寮。





騎士寮に着くとリチアは全速力で駆けたせいか息切れをし、寮の壁を背にその場に腰を落とす。


と、そこへ
ガチャリと寮の扉が開いた。


カトレア「あら?リチアさん?」

リチア「!か、カトレア様・・・!?」

カトレア「そんな急いでどうかしたのかしら?
ランに用事?」

リチア「え!っと、それは・・・」

カトレア「ふふ、その反応は図星かしら?
どうだった?ラン達の任務についていって分かったことあったでしょ??」

リチア「・・・今日でなんか色々ありすぎて、頭が追いつかない状況です・・・」

カトレア「そうなのね。ランなら今部屋にいると思うから、行って話してみたらどう?」

リチア「え。いいんでしょうか?」

カトレア「いいのよ、遠慮しないで。」

カトレアに腕を引かれながら、リチアは騎士寮の中へと通されることに..。




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