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第102話
「やっぱり、コチョウなのね」
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もう夜が明けそうな時間帯。
カトレアは疲れたからしばし休むとすぐに寮に戻って行ってしまった。
その場に取り残されたコチョウ達は身体中血だらけで動くことすらままならないでいた。
リチアさんは最後まで僕のこと憎かったと思いますが、
ずっと憎んでくれても構いません。
でも・・・それでも、僕は・・・・・・。
降り注いでくるストレリチアの花を見上げながらもコチョウはもうここには居ないリチアの事を想う。
ノウゼンカズラ「・・・で、これからどうすんだ」
ノウゼンカズラはゆっくりと体を起こして言う。
ノウゼンカズラ「この学校にはもう・・・俺らしか残っちゃいねぇ・・・」
コチョウ「・・・いいえ、いますよ」
アザレア「・・・」
キキョウ「ケイリィ=ゴートン、か・・・」
コチョウ「はい・・・。彼も今、死に際ですがね・・・」
ノウゼンカズラ「じゃ放っときゃじきに死ぬだろ」
コチョウ「・・・彼のことは僕にお任せください・・。
今は、3人は休んでいてください」
コチョウはゆっくり立ち上がると、学校の中へと遅い足取りだったが向かった。それを見送った3人も痛む傷を押さえつつもそれぞれ寮に戻ることにした...。
ー
コチョウは保健室で何とか自分で応急手当てを行うと、ユニコーンを呼んでケイリィを連れて自宅へと向かった。
そのとき、ケイリィの家の目の前が光って墓が出現しようとしていた。
それをコチョウは横目に見て、ケイリィの家のインターホンを鳴らすとガチャリと扉が開かれた。
「こんな朝からどなた・・・?・・・!」
寝ぼけて出てきたケイリィの母親は傷だらけのコチョウと、コチョウに抱き抱えられているケイリィを見て絶句した。
何せケイリィには方腕がなかったのだから。
「騎士、団の方に・・・ケイ、リィ・・・!?どう、して・・・ケイリィが・・・っ」
コチョウ「・・・申し訳ありません。任務で、貴方の息子のケイリィさんは・・・」
コチョウは咄嗟の嘘を吐く。
そして母は見てしまう。家の前に立つケイリィの墓を。
「嘘・・・嫌だ・・・ケイ、リィ・・・!!」
母はその場に泣き崩れる。コチョウはケイリィをそっとその墓の前に横たわせる。
コチョウ「・・・」
コチョウは何も言えず、静かにその場を立ち去った。
「おい、どうした・・?」
その後母の声が家の外からして父が出てくる。泣いてる母に近寄れば、その家の目の前に建てられる墓とケイリィが横たわっているのを見て父は目を見開いた。
「ケイ・・・・リィ・・か・・・?なん、で・・・・うそ、だ・・・」
「あ・・・貴方・・・」
「嘘・・・・っう、うああああああああ!!!!」
ーーー
ケイリィの両親が泣き叫ぶ声を聞いた気がしたが、
コチョウはそれを聞き流すことにしユニコーンに乗って騎士学校に戻ってくる。
すると正門の前に誰かが立っているのが分かる。
コチョウ「・・・!」
遠くから見ても、わかった。
リチアとコチョウの両親だった。
コチョウは騎士学校の前に降り立つとユニコーンから降りる。
ユニコーンの羽ばたく音が聞こえたのか両親は振り返った。
「あ・・・騎士様・・・」
父と母はコチョウに近寄る。
ボロボロで傷だらけのコチョウを見て言葉をなくす。
コチョウ「・・・どうか、しましたか。こんな朝早く。依頼でしたら8時に門を開けてますので、その時間に」
コチョウは決して両親とは目を合わせようとはしなかった。
「リチアは・・・元気にしてるかなって・・・。
全然、リチアと連絡がつかなくて・・・・。騎士様は任務の帰り、でしたか?そんなボロボロで・・・」
と、母がコチョウに手を伸ばした時コチョウはあの時みたく叩かれるんじゃないかと思ってその手をパシンとはじく。
手を弾かれたことで母も父も驚いていた。
コチョウ「・・・これくらい、どうってことありません」
コチョウはこの時、
最後にリチアが花となって消えていく時に切ない顔をしながらもコチョウの方を見て微笑んできた顔が浮かんできて頭を押さえる。
「だ、大丈夫ですか・・・?」
コチョウ「リチアさんは・・・・もう、いませんよ」
「い、な、い・・・?」
コチョウ「・・・・死んでしまいました・・・。僕が・・・・殺してしまいました」
この時もまた嘘に嘘を重ねたコチョウ。
案外あっさりしているコチョウに対して、父はコチョウに掴みかかる。
「お前、なに、言ってんだ!?殺した!?お前騎士だろう!?何故騎士であるお前が生徒をどんな理由で殺すって言うんだ!?」
「あなた、落ち着いて!」
母がコチョウに掴みかかっている父を止めるためコチョウと父に触れた時気が付いてしまった。
「!」
コチョウの体が冷たいことに。
それには覚えがあった。
小さかった頃のコチョウと同じで・・・。
"「死んだはずが蘇ったと、言っていましたね。
うーん・・・これは一体どう言うことだ」"
"「今再検査という形で診療室で診てもらっていますがここだけの話、心肺が停止してるのですよ。なぜ、それで生きているのかは不思議なのですが・・・」"
「あな、た・・・もしかして、コチョウ・・・?」
その言葉に父は驚いた表情をする。
「コチョウだと・・・?」
コチョウ「・・・なにを、言っているのですか。僕は・・・騎士であって、騎士ではない・・・ただの成り損ないの、騎士です」
「いいえ。この感じ・・・わかるもの。
自分の子供なら、なおさら・・・。あのとき、触れた感触・・・今でも忘れずにこの手に残っている。貴方は、コチョウ、よね・・・?だってずっとこちらに目をくれようともしない。
コチョウはなにかあれば人の目を見ない癖があるの、知ってる・・・から」
コチョウ「・・・っ」
コチョウは胸ぐらを掴んでいる父の手を振り払って学校へと入ろうと両親の横を素通りし、2人に背を向けたまま喋り出す。
コチョウ「・・・リチアさんのことは、申し訳ありません。今は・・・それだけ、謝らせてください。もう、これっきりです。僕を、探そうなどとはしないでください・・・。
父様、母様」
「コチョウ・・・本当に、コチョウなのか・・・!?」
「姿は変わっても、私にはわかった。・・・やっぱり、コチョウなのね。
リチアは・・・任務で命を落としたの?それとも、本当に・・・貴方が手にかけたの?」
コチョウ「・・・はい」
「・・・!」
「お前・・・!!」
父はコチョウに殴りかかろうとしたのを全力で母が止めていた。
「あ、貴方やめて!」
「・・・っ
仮にも自分の唯一たった1人の妹だろうが!!
何故そんなことができる!?あいつは・・・
リチアはずっと兄を探してた。兄に会いたいって言っていて、一日家にいるときはいつも写真の中に映るコチョウを見つめていた!
なにがきっかけでリチアが騎士学校に入ることを決めたのかを問いかけてみれば、騎士のお前に憧れてたって言っていた!!
昔、危ないところを助けられたからだって・・・!それなのに・・・っ」
父は拳を強く握った。
コチョウ「・・・」
「もう二度と、その面、見せるんじゃねぇ・・・!見たくもねぇ!その何も心の痛みを感じてない顔なんかをよ!」
そう言うと父はその場を立ち去っていく。
母はそんな父の背中を見つめ、コチョウは黙って学校の中へと入ろうとすれば、
「こ、コチョウ!待って!」と、
母がコチョウの腕を掴んだ。
コチョウ「・・・まだなにか」
「一度だけ、貴方にあったら謝らなきゃなって思っていたの・・・昔、貴方を拒んでしまったこと・・・。
貴方は優しい子だって知ってた・・・リチアのこと、誰よりも想っていることだって知ってる・・・」
コチョウ「・・・母様。もうなにもかも、遅いのですよ。母様が僕を拒むのは仕方がないことです、僕は父様からも母様からも最初から嫌われていたんだなって・・。
それが分かって良かったです」
「なにを・・・私はコチョウのことを心から愛して・・・っ」
コチョウ「・・・帰ってくれますか。死にたくなければ」
コチョウは手から剣を出現させると矛先を母に向ける。
「・・・!コチョウ・・・!?」
コチョウ「会いたくも、顔も見たくありません。・・・帰れ」
そう言ったコチョウの瞳が怖くて、母は泣きながらその場から駆け出して行く。
それを見送り、コチョウは手から剣を消すと学校の門を潜っていく。
僕は変わってしまった。人間だったころの気持ちとか、全部忘れてしまいましたよ・・・・。
なにが正しくて、なにが悪なのか・・・。
僕はもう、疲れました・・・。
ー・・・
リチア・・・。ー
コチョウは明るくなりつつある空を見上げてたった1人の妹を想う。
ーずっと 愛していましたよ・・・ー
end
ー
今回で最終話となります。
ここまでお読み下さりありがとうございました。
カトレアは疲れたからしばし休むとすぐに寮に戻って行ってしまった。
その場に取り残されたコチョウ達は身体中血だらけで動くことすらままならないでいた。
リチアさんは最後まで僕のこと憎かったと思いますが、
ずっと憎んでくれても構いません。
でも・・・それでも、僕は・・・・・・。
降り注いでくるストレリチアの花を見上げながらもコチョウはもうここには居ないリチアの事を想う。
ノウゼンカズラ「・・・で、これからどうすんだ」
ノウゼンカズラはゆっくりと体を起こして言う。
ノウゼンカズラ「この学校にはもう・・・俺らしか残っちゃいねぇ・・・」
コチョウ「・・・いいえ、いますよ」
アザレア「・・・」
キキョウ「ケイリィ=ゴートン、か・・・」
コチョウ「はい・・・。彼も今、死に際ですがね・・・」
ノウゼンカズラ「じゃ放っときゃじきに死ぬだろ」
コチョウ「・・・彼のことは僕にお任せください・・。
今は、3人は休んでいてください」
コチョウはゆっくり立ち上がると、学校の中へと遅い足取りだったが向かった。それを見送った3人も痛む傷を押さえつつもそれぞれ寮に戻ることにした...。
ー
コチョウは保健室で何とか自分で応急手当てを行うと、ユニコーンを呼んでケイリィを連れて自宅へと向かった。
そのとき、ケイリィの家の目の前が光って墓が出現しようとしていた。
それをコチョウは横目に見て、ケイリィの家のインターホンを鳴らすとガチャリと扉が開かれた。
「こんな朝からどなた・・・?・・・!」
寝ぼけて出てきたケイリィの母親は傷だらけのコチョウと、コチョウに抱き抱えられているケイリィを見て絶句した。
何せケイリィには方腕がなかったのだから。
「騎士、団の方に・・・ケイ、リィ・・・!?どう、して・・・ケイリィが・・・っ」
コチョウ「・・・申し訳ありません。任務で、貴方の息子のケイリィさんは・・・」
コチョウは咄嗟の嘘を吐く。
そして母は見てしまう。家の前に立つケイリィの墓を。
「嘘・・・嫌だ・・・ケイ、リィ・・・!!」
母はその場に泣き崩れる。コチョウはケイリィをそっとその墓の前に横たわせる。
コチョウ「・・・」
コチョウは何も言えず、静かにその場を立ち去った。
「おい、どうした・・?」
その後母の声が家の外からして父が出てくる。泣いてる母に近寄れば、その家の目の前に建てられる墓とケイリィが横たわっているのを見て父は目を見開いた。
「ケイ・・・・リィ・・か・・・?なん、で・・・・うそ、だ・・・」
「あ・・・貴方・・・」
「嘘・・・・っう、うああああああああ!!!!」
ーーー
ケイリィの両親が泣き叫ぶ声を聞いた気がしたが、
コチョウはそれを聞き流すことにしユニコーンに乗って騎士学校に戻ってくる。
すると正門の前に誰かが立っているのが分かる。
コチョウ「・・・!」
遠くから見ても、わかった。
リチアとコチョウの両親だった。
コチョウは騎士学校の前に降り立つとユニコーンから降りる。
ユニコーンの羽ばたく音が聞こえたのか両親は振り返った。
「あ・・・騎士様・・・」
父と母はコチョウに近寄る。
ボロボロで傷だらけのコチョウを見て言葉をなくす。
コチョウ「・・・どうか、しましたか。こんな朝早く。依頼でしたら8時に門を開けてますので、その時間に」
コチョウは決して両親とは目を合わせようとはしなかった。
「リチアは・・・元気にしてるかなって・・・。
全然、リチアと連絡がつかなくて・・・・。騎士様は任務の帰り、でしたか?そんなボロボロで・・・」
と、母がコチョウに手を伸ばした時コチョウはあの時みたく叩かれるんじゃないかと思ってその手をパシンとはじく。
手を弾かれたことで母も父も驚いていた。
コチョウ「・・・これくらい、どうってことありません」
コチョウはこの時、
最後にリチアが花となって消えていく時に切ない顔をしながらもコチョウの方を見て微笑んできた顔が浮かんできて頭を押さえる。
「だ、大丈夫ですか・・・?」
コチョウ「リチアさんは・・・・もう、いませんよ」
「い、な、い・・・?」
コチョウ「・・・・死んでしまいました・・・。僕が・・・・殺してしまいました」
この時もまた嘘に嘘を重ねたコチョウ。
案外あっさりしているコチョウに対して、父はコチョウに掴みかかる。
「お前、なに、言ってんだ!?殺した!?お前騎士だろう!?何故騎士であるお前が生徒をどんな理由で殺すって言うんだ!?」
「あなた、落ち着いて!」
母がコチョウに掴みかかっている父を止めるためコチョウと父に触れた時気が付いてしまった。
「!」
コチョウの体が冷たいことに。
それには覚えがあった。
小さかった頃のコチョウと同じで・・・。
"「死んだはずが蘇ったと、言っていましたね。
うーん・・・これは一体どう言うことだ」"
"「今再検査という形で診療室で診てもらっていますがここだけの話、心肺が停止してるのですよ。なぜ、それで生きているのかは不思議なのですが・・・」"
「あな、た・・・もしかして、コチョウ・・・?」
その言葉に父は驚いた表情をする。
「コチョウだと・・・?」
コチョウ「・・・なにを、言っているのですか。僕は・・・騎士であって、騎士ではない・・・ただの成り損ないの、騎士です」
「いいえ。この感じ・・・わかるもの。
自分の子供なら、なおさら・・・。あのとき、触れた感触・・・今でも忘れずにこの手に残っている。貴方は、コチョウ、よね・・・?だってずっとこちらに目をくれようともしない。
コチョウはなにかあれば人の目を見ない癖があるの、知ってる・・・から」
コチョウ「・・・っ」
コチョウは胸ぐらを掴んでいる父の手を振り払って学校へと入ろうと両親の横を素通りし、2人に背を向けたまま喋り出す。
コチョウ「・・・リチアさんのことは、申し訳ありません。今は・・・それだけ、謝らせてください。もう、これっきりです。僕を、探そうなどとはしないでください・・・。
父様、母様」
「コチョウ・・・本当に、コチョウなのか・・・!?」
「姿は変わっても、私にはわかった。・・・やっぱり、コチョウなのね。
リチアは・・・任務で命を落としたの?それとも、本当に・・・貴方が手にかけたの?」
コチョウ「・・・はい」
「・・・!」
「お前・・・!!」
父はコチョウに殴りかかろうとしたのを全力で母が止めていた。
「あ、貴方やめて!」
「・・・っ
仮にも自分の唯一たった1人の妹だろうが!!
何故そんなことができる!?あいつは・・・
リチアはずっと兄を探してた。兄に会いたいって言っていて、一日家にいるときはいつも写真の中に映るコチョウを見つめていた!
なにがきっかけでリチアが騎士学校に入ることを決めたのかを問いかけてみれば、騎士のお前に憧れてたって言っていた!!
昔、危ないところを助けられたからだって・・・!それなのに・・・っ」
父は拳を強く握った。
コチョウ「・・・」
「もう二度と、その面、見せるんじゃねぇ・・・!見たくもねぇ!その何も心の痛みを感じてない顔なんかをよ!」
そう言うと父はその場を立ち去っていく。
母はそんな父の背中を見つめ、コチョウは黙って学校の中へと入ろうとすれば、
「こ、コチョウ!待って!」と、
母がコチョウの腕を掴んだ。
コチョウ「・・・まだなにか」
「一度だけ、貴方にあったら謝らなきゃなって思っていたの・・・昔、貴方を拒んでしまったこと・・・。
貴方は優しい子だって知ってた・・・リチアのこと、誰よりも想っていることだって知ってる・・・」
コチョウ「・・・母様。もうなにもかも、遅いのですよ。母様が僕を拒むのは仕方がないことです、僕は父様からも母様からも最初から嫌われていたんだなって・・。
それが分かって良かったです」
「なにを・・・私はコチョウのことを心から愛して・・・っ」
コチョウ「・・・帰ってくれますか。死にたくなければ」
コチョウは手から剣を出現させると矛先を母に向ける。
「・・・!コチョウ・・・!?」
コチョウ「会いたくも、顔も見たくありません。・・・帰れ」
そう言ったコチョウの瞳が怖くて、母は泣きながらその場から駆け出して行く。
それを見送り、コチョウは手から剣を消すと学校の門を潜っていく。
僕は変わってしまった。人間だったころの気持ちとか、全部忘れてしまいましたよ・・・・。
なにが正しくて、なにが悪なのか・・・。
僕はもう、疲れました・・・。
ー・・・
リチア・・・。ー
コチョウは明るくなりつつある空を見上げてたった1人の妹を想う。
ーずっと 愛していましたよ・・・ー
end
ー
今回で最終話となります。
ここまでお読み下さりありがとうございました。
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