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chapter 4
愛してやまない音楽を
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リハーサルを終え控え室で一息つく。
すっかりオレたちのホームとなりつつあるライブハウス『HARVEST』、今日は対バン相手を迎えてのツーマンライブだ。ツーマンでもまだ早いと一部からは思われていたようだけど、蓋を開けてみればチケットは即ソールドアウトだった。その事を阿部さんから聞いた時、心身共に震えたがもうオレにもメンバーにも迷いや不安は無い。全く動じない、と言ったら嘘になるし、やっぱりライブの前は緊張もするし、初めての仕事や試みには慣れない事もまだまだある。だけどそれ以上に今は『やってやる』という気持ちの方が勝っていた。
早くステージに立ちたい。
オレの歌を、オレたち音を鳴らして、何処までも遠くへ、届いて欲しい……。
18時半オープン、19時のスタート前にはフロアはほぼ埋まっていた。先に出るのはこれまで別のハコでも散々同じイベントに出演してきた顔馴染みのバンドだ。オレたちのバンドより先に別のインディーズレーベルからデビューしている。
「もう始まった?ちょっとだけ観に行っていい?」
湊がソワソワしながら言う。
「あ、オレも行きたい」
オレと湊は特にそのバンドがお気に入りで対バンでしょっちゅう顔を合わせているうちにすっかり仲も良くなって、今回念願叶ってのツーマンだが、自分達の出番が後なのでゆっくり観れないのが唯一残念なところだ。
「言うと思ったよ。念のためオレも一緒に行く」
対バン相手のライブを観るのも大事な事だと元々理解のある阿部さんはこういう時絶対ダメだとは言わない。それでもインディーズデビュー前と今ではやっぱり状況は違うので以前のように野放しで好きにさせてもらえる事は少なくなった。
オレと湊と阿部さんでフロアの後方からステージを観る。
定刻通りにスタートしてまだ10分程だがライブはすでにかなりの盛り上がりだった。ギターボーカルとベースとドラムのスリーピースで余計な物を削ぎ落としバンドとしてのサウンドがしっかり纏まっている。その上に乗る歌メロはどれも秀逸で軽く嫉妬を覚えるほどだ。
「アミちゃんのベース、あいかわらずエグいな」
曲の合間に湊が呟く。紅一点ベースのアミちゃんはオレと湊と同じ歳で大学生の頃からすでにこの界隈では有名なベーシストだった。
「おまえほんと昔からアミちゃん好きだよな。付き合ってってお願いしてみたら?ちょっと前に飲んだ時彼氏出来ないってすげーぼやいてたよ」
「そういうんじゃないって、……つーかいつの間に飲みに行ってたんだよ、オレ誘われてねぇし」
「フジと二人で飲んでたところに合流したんだよ」
ギターボーカルのフジ、こと藤原もオレたちと同い年でうちのバンドメンバー以外でオレが一番よく飲みに行く相手。人懐っこいドラムの玉田は一つ年下でみんなの弟みたいな存在だ。
その後三曲程観てから阿部さんが「そろそろ行くぞ」と促し渋々オレと湊はその場を後にする為ステージに背を向ける、と、……その際視界をよぎった人影にはっとしてもう一度振り返り、その方向に視線を戻した。
今、英理奈さんが居たような……。
けど、いくら目を凝らして見てももうその姿を見つける事は出来なかった。……幻覚かな、だとしたら相当やばいなオレ。さすがに来てるわけないよな。
「どうした?」
「……いや、なんでもない」
阿部さんと湊を追ってオレもフロアを出た。
ステージのセット転換の間、オレはステージ袖でこれまでの事を振り返っていた。
バンドに憧れて親にギターを買って貰い、楽器屋に行ってはギブソンレスポールをいつか手に入れてやると眺め、高校で初めてバンドを組んで、大学で今のメンバーに出会い、愛用のレスポールにも出会い、そして、英理奈さんに出逢った。
初めて会った日のことは今でもはっきり思い出せる。
思えば目が合ったあの瞬間から、オレはもう英理奈さんに恋をしていた。
英理奈さんがライブに来てくれるようになってから自分の調子がどんどん良くなっていくのをオレ自身も自覚していて、その証拠として『HARVEST』での初ライブで阿部さんの目にとまった。……その後は散々なものだったけど。
あの日から、もうすぐ二年だ。
さっき、英理奈さんが居たような気がして、そんなわけないと思い直したけど、あの人の事だからふらっと一人でライブハウスに紛れ込むくらい造作もない。しれっと次のライブに来てくれたあの時のように……。ただ、今日のライブのチケットは有難い事にとっくに完売していて当日券も出なかった。だからさっきのはおそらくオレの見間違いだろう。
英理奈さんはいつもドリンクカウンターの側で壁にもたれるようにしてライブを観てくれていた。
その姿をイメージする。
最初は浅野さんの面影を探しにオレを観に来ていたのかも知れない。けれど、少なくとも二年前の『HARVEST』でのライブでは、ちゃんとオレ自身を見てくれていた。
今ならそう信じられる。
そして、オレと英理奈さんの個人的な関係や感情を抜きにしても、音楽が大好きな英理奈さんはまたいつか必ずオレたちを観に来てくれると、信じている。
その為にもまずは、
「まーた英理奈さんのこと考えてる?」
背後から斉藤が声をかけてきた。
「まずは今日来てくれた目の前のお客さんだよ」
「わかってる」
「……先行くね」
オレの肩を軽く叩いて斉藤が一番にステージへ向かう。続いて湊、小原、長田がそれぞれ位置に付く。その様子を見届けてからオレは最後にステージに上がった。
超満員のフロアに響き渡る一際大きい歓声と拍手がオレを迎え入れてくれる。
あぁ、そうだ、これだ、この景色だ。
もう一度、ここから始めよう……。
「……おまえ、何があった?」
鳴り止まない拍手の後、アンコールを終えて控え室に戻って来たオレに訝しげな顔で阿部さんが声をかけてきた。
「え、……ダメでした?」
まさか、そんなはずは、
「逆だよ。あれだよ、オレがずっと観たかったのは」
良かった。心なしか阿部さんの眼が赤くなっているように見える。
「まぁ、何があったとか今更どうでも良いな。おまえが心からライブを楽しめたなら、結果はちゃんとついて来るよ。……今日の感じ、絶対に忘れるな」
「……はい」
忘れられるわけ、無いだろうな。
ステージもフロアも完全に一体となった、あんなライブは初めてだ。終わったばかりなのに、もう早く次のライブがしたい。
「いやー、良かった。ほんとに、マジで振り切ってたなみんな」
「オレ、なんか途中からわけわかんなくなってたけど、大丈夫だった?」
「あ、もうSNSに感想上げてくれてる人いるー」
メンバーもそれぞれ大きな手応えを感じているようだ。
斉藤の言うライブの感想が気になって自分のスマホを手に取ると、ライブの最中にメッセージが数件届いていて、その内の一件は、理香子さんからだった。
真っ先に理香子さんからのメッセージを確認する。
その内容に、スマホを持つ手が震える……。
嘘だろ、……本当に?
「どうした?」
オレの異変に気付いた湊が声をかける。
湊の問い掛けには答えず、震える手でオレは電話をかけた。
【今日私は行けないから、代わりにチケットはリナに渡しました】
呼び出しのコールが繰り返され、一分程経ったか、もっと長く感じた。
祈る気持ちで待っていると、相手は電話に出てくれた。
「……英理奈さん、今、どこにいるの?」
すっかりオレたちのホームとなりつつあるライブハウス『HARVEST』、今日は対バン相手を迎えてのツーマンライブだ。ツーマンでもまだ早いと一部からは思われていたようだけど、蓋を開けてみればチケットは即ソールドアウトだった。その事を阿部さんから聞いた時、心身共に震えたがもうオレにもメンバーにも迷いや不安は無い。全く動じない、と言ったら嘘になるし、やっぱりライブの前は緊張もするし、初めての仕事や試みには慣れない事もまだまだある。だけどそれ以上に今は『やってやる』という気持ちの方が勝っていた。
早くステージに立ちたい。
オレの歌を、オレたち音を鳴らして、何処までも遠くへ、届いて欲しい……。
18時半オープン、19時のスタート前にはフロアはほぼ埋まっていた。先に出るのはこれまで別のハコでも散々同じイベントに出演してきた顔馴染みのバンドだ。オレたちのバンドより先に別のインディーズレーベルからデビューしている。
「もう始まった?ちょっとだけ観に行っていい?」
湊がソワソワしながら言う。
「あ、オレも行きたい」
オレと湊は特にそのバンドがお気に入りで対バンでしょっちゅう顔を合わせているうちにすっかり仲も良くなって、今回念願叶ってのツーマンだが、自分達の出番が後なのでゆっくり観れないのが唯一残念なところだ。
「言うと思ったよ。念のためオレも一緒に行く」
対バン相手のライブを観るのも大事な事だと元々理解のある阿部さんはこういう時絶対ダメだとは言わない。それでもインディーズデビュー前と今ではやっぱり状況は違うので以前のように野放しで好きにさせてもらえる事は少なくなった。
オレと湊と阿部さんでフロアの後方からステージを観る。
定刻通りにスタートしてまだ10分程だがライブはすでにかなりの盛り上がりだった。ギターボーカルとベースとドラムのスリーピースで余計な物を削ぎ落としバンドとしてのサウンドがしっかり纏まっている。その上に乗る歌メロはどれも秀逸で軽く嫉妬を覚えるほどだ。
「アミちゃんのベース、あいかわらずエグいな」
曲の合間に湊が呟く。紅一点ベースのアミちゃんはオレと湊と同じ歳で大学生の頃からすでにこの界隈では有名なベーシストだった。
「おまえほんと昔からアミちゃん好きだよな。付き合ってってお願いしてみたら?ちょっと前に飲んだ時彼氏出来ないってすげーぼやいてたよ」
「そういうんじゃないって、……つーかいつの間に飲みに行ってたんだよ、オレ誘われてねぇし」
「フジと二人で飲んでたところに合流したんだよ」
ギターボーカルのフジ、こと藤原もオレたちと同い年でうちのバンドメンバー以外でオレが一番よく飲みに行く相手。人懐っこいドラムの玉田は一つ年下でみんなの弟みたいな存在だ。
その後三曲程観てから阿部さんが「そろそろ行くぞ」と促し渋々オレと湊はその場を後にする為ステージに背を向ける、と、……その際視界をよぎった人影にはっとしてもう一度振り返り、その方向に視線を戻した。
今、英理奈さんが居たような……。
けど、いくら目を凝らして見てももうその姿を見つける事は出来なかった。……幻覚かな、だとしたら相当やばいなオレ。さすがに来てるわけないよな。
「どうした?」
「……いや、なんでもない」
阿部さんと湊を追ってオレもフロアを出た。
ステージのセット転換の間、オレはステージ袖でこれまでの事を振り返っていた。
バンドに憧れて親にギターを買って貰い、楽器屋に行ってはギブソンレスポールをいつか手に入れてやると眺め、高校で初めてバンドを組んで、大学で今のメンバーに出会い、愛用のレスポールにも出会い、そして、英理奈さんに出逢った。
初めて会った日のことは今でもはっきり思い出せる。
思えば目が合ったあの瞬間から、オレはもう英理奈さんに恋をしていた。
英理奈さんがライブに来てくれるようになってから自分の調子がどんどん良くなっていくのをオレ自身も自覚していて、その証拠として『HARVEST』での初ライブで阿部さんの目にとまった。……その後は散々なものだったけど。
あの日から、もうすぐ二年だ。
さっき、英理奈さんが居たような気がして、そんなわけないと思い直したけど、あの人の事だからふらっと一人でライブハウスに紛れ込むくらい造作もない。しれっと次のライブに来てくれたあの時のように……。ただ、今日のライブのチケットは有難い事にとっくに完売していて当日券も出なかった。だからさっきのはおそらくオレの見間違いだろう。
英理奈さんはいつもドリンクカウンターの側で壁にもたれるようにしてライブを観てくれていた。
その姿をイメージする。
最初は浅野さんの面影を探しにオレを観に来ていたのかも知れない。けれど、少なくとも二年前の『HARVEST』でのライブでは、ちゃんとオレ自身を見てくれていた。
今ならそう信じられる。
そして、オレと英理奈さんの個人的な関係や感情を抜きにしても、音楽が大好きな英理奈さんはまたいつか必ずオレたちを観に来てくれると、信じている。
その為にもまずは、
「まーた英理奈さんのこと考えてる?」
背後から斉藤が声をかけてきた。
「まずは今日来てくれた目の前のお客さんだよ」
「わかってる」
「……先行くね」
オレの肩を軽く叩いて斉藤が一番にステージへ向かう。続いて湊、小原、長田がそれぞれ位置に付く。その様子を見届けてからオレは最後にステージに上がった。
超満員のフロアに響き渡る一際大きい歓声と拍手がオレを迎え入れてくれる。
あぁ、そうだ、これだ、この景色だ。
もう一度、ここから始めよう……。
「……おまえ、何があった?」
鳴り止まない拍手の後、アンコールを終えて控え室に戻って来たオレに訝しげな顔で阿部さんが声をかけてきた。
「え、……ダメでした?」
まさか、そんなはずは、
「逆だよ。あれだよ、オレがずっと観たかったのは」
良かった。心なしか阿部さんの眼が赤くなっているように見える。
「まぁ、何があったとか今更どうでも良いな。おまえが心からライブを楽しめたなら、結果はちゃんとついて来るよ。……今日の感じ、絶対に忘れるな」
「……はい」
忘れられるわけ、無いだろうな。
ステージもフロアも完全に一体となった、あんなライブは初めてだ。終わったばかりなのに、もう早く次のライブがしたい。
「いやー、良かった。ほんとに、マジで振り切ってたなみんな」
「オレ、なんか途中からわけわかんなくなってたけど、大丈夫だった?」
「あ、もうSNSに感想上げてくれてる人いるー」
メンバーもそれぞれ大きな手応えを感じているようだ。
斉藤の言うライブの感想が気になって自分のスマホを手に取ると、ライブの最中にメッセージが数件届いていて、その内の一件は、理香子さんからだった。
真っ先に理香子さんからのメッセージを確認する。
その内容に、スマホを持つ手が震える……。
嘘だろ、……本当に?
「どうした?」
オレの異変に気付いた湊が声をかける。
湊の問い掛けには答えず、震える手でオレは電話をかけた。
【今日私は行けないから、代わりにチケットはリナに渡しました】
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