One night stand after〜俺様カメラマンと一夜限りの関係のはずが気付けば愛執に捕らわれていました〜

玖羽 望月

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4 side T

4.

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俺はもうすっかり暗くなった空を車内から仰ぎ見た。ビルの群れに邪魔されて、四角く切り取られた空だ。
車内には瑤子の寝息だけが聞こえている。

かれこれ30分近く。
どんだけ疲れてんだよ、とその顔を覗きこみ、そっと眼鏡を外した。

これ、伊達かよ。……ったく

度が入ってないのを確かめ、それを畳むとフロントガラスの前に放り投げだ。

なんでそこまでして武装すんのかねー……と、そこにある寝顔に自分の顔を近づけ、その額に唇で触れるとすぐに離れた。
なんとも言えない、今まで味わったことのない感情。
しっくりくる言葉は見つからない。

なんなんだろうな、これ。

そう思いながら、今度は唇に触れるだけのキスをした。

パチっと音がしたかのように瑤子の目が開かれる。

「なっっ!なんですか⁈」

瑤子は至近距離にいた俺を押し除け、思い切り窓際に後ずさる。

「どうだ?王子様のキスで目が覚める気分は?」

俺が茶化しながらそう言うと、ようやく状況が飲み込めたようで、「どの位寝てましたか?」と真顔で尋ねて来た。

「30分くらいだなー」
「とっとと起こしていただいてよかったんですけど?」

そう言うと瑤子は、足元にあるバッグを拾い上げた。

「送っていただいてありがとうございました。では失礼します」

恭しく頭をを下げると瑤子は車から降り、俺も追いかけるように車から降りて、瑤子の後ろを歩く。

「なんでついて来るんですか⁈」

抗議するように振り返って立ち止まる瑤子に、俺は黒縁眼鏡をかけてやった。

「忘れ物だ、ばーか」
「いつの間に……」

そう言って眼鏡の存在を確かめている瑤子を、俺は「これもな」と言いながら引き寄せた。

「あっ!……んっっ」

逃げられないよう後頭部を押さえて、唇を深く重ねる。
奥にある舌を探るように自分の舌を差し入れ、見つけ出すとそれをチロチロと撫でる。

「ふっっ……ぁっ……」

隙間から漏れる甘い吐息に誘われるように舌を絡めると、だんだん瑤子もそれに応え出した。

「んっっ、んっ……」

何度も角度を変えて瑤子の唇を堪能すると、ようやく放し、腕の中に閉じ込めた。

「続き……する?」

顔の見えない瑤子の耳元でそう囁くと、肩がびくっと震え思い切り突き飛ばされる。

「し・ま・せ・ん!!さようなら!」

顔を紅色に染めた瑤子はそう言うと、ヒール音を立てて走って行ってしまった。

「あーあ、逃げられた」

俺は笑いながらそれを見送った。

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