21 / 247
4 side T
4.
しおりを挟む
俺はもうすっかり暗くなった空を車内から仰ぎ見た。ビルの群れに邪魔されて、四角く切り取られた空だ。
車内には瑤子の寝息だけが聞こえている。
かれこれ30分近く。
どんだけ疲れてんだよ、とその顔を覗きこみ、そっと眼鏡を外した。
これ、伊達かよ。……ったく
度が入ってないのを確かめ、それを畳むとフロントガラスの前に放り投げだ。
なんでそこまでして武装すんのかねー……と、そこにある寝顔に自分の顔を近づけ、その額に唇で触れるとすぐに離れた。
なんとも言えない、今まで味わったことのない感情。
しっくりくる言葉は見つからない。
なんなんだろうな、これ。
そう思いながら、今度は唇に触れるだけのキスをした。
パチっと音がしたかのように瑤子の目が開かれる。
「なっっ!なんですか⁈」
瑤子は至近距離にいた俺を押し除け、思い切り窓際に後ずさる。
「どうだ?王子様のキスで目が覚める気分は?」
俺が茶化しながらそう言うと、ようやく状況が飲み込めたようで、「どの位寝てましたか?」と真顔で尋ねて来た。
「30分くらいだなー」
「とっとと起こしていただいてよかったんですけど?」
そう言うと瑤子は、足元にあるバッグを拾い上げた。
「送っていただいてありがとうございました。では失礼します」
恭しく頭をを下げると瑤子は車から降り、俺も追いかけるように車から降りて、瑤子の後ろを歩く。
「なんでついて来るんですか⁈」
抗議するように振り返って立ち止まる瑤子に、俺は黒縁眼鏡をかけてやった。
「忘れ物だ、ばーか」
「いつの間に……」
そう言って眼鏡の存在を確かめている瑤子を、俺は「これもな」と言いながら引き寄せた。
「あっ!……んっっ」
逃げられないよう後頭部を押さえて、唇を深く重ねる。
奥にある舌を探るように自分の舌を差し入れ、見つけ出すとそれをチロチロと撫でる。
「ふっっ……ぁっ……」
隙間から漏れる甘い吐息に誘われるように舌を絡めると、だんだん瑤子もそれに応え出した。
「んっっ、んっ……」
何度も角度を変えて瑤子の唇を堪能すると、ようやく放し、腕の中に閉じ込めた。
「続き……する?」
顔の見えない瑤子の耳元でそう囁くと、肩がびくっと震え思い切り突き飛ばされる。
「し・ま・せ・ん!!さようなら!」
顔を紅色に染めた瑤子はそう言うと、ヒール音を立てて走って行ってしまった。
「あーあ、逃げられた」
俺は笑いながらそれを見送った。
車内には瑤子の寝息だけが聞こえている。
かれこれ30分近く。
どんだけ疲れてんだよ、とその顔を覗きこみ、そっと眼鏡を外した。
これ、伊達かよ。……ったく
度が入ってないのを確かめ、それを畳むとフロントガラスの前に放り投げだ。
なんでそこまでして武装すんのかねー……と、そこにある寝顔に自分の顔を近づけ、その額に唇で触れるとすぐに離れた。
なんとも言えない、今まで味わったことのない感情。
しっくりくる言葉は見つからない。
なんなんだろうな、これ。
そう思いながら、今度は唇に触れるだけのキスをした。
パチっと音がしたかのように瑤子の目が開かれる。
「なっっ!なんですか⁈」
瑤子は至近距離にいた俺を押し除け、思い切り窓際に後ずさる。
「どうだ?王子様のキスで目が覚める気分は?」
俺が茶化しながらそう言うと、ようやく状況が飲み込めたようで、「どの位寝てましたか?」と真顔で尋ねて来た。
「30分くらいだなー」
「とっとと起こしていただいてよかったんですけど?」
そう言うと瑤子は、足元にあるバッグを拾い上げた。
「送っていただいてありがとうございました。では失礼します」
恭しく頭をを下げると瑤子は車から降り、俺も追いかけるように車から降りて、瑤子の後ろを歩く。
「なんでついて来るんですか⁈」
抗議するように振り返って立ち止まる瑤子に、俺は黒縁眼鏡をかけてやった。
「忘れ物だ、ばーか」
「いつの間に……」
そう言って眼鏡の存在を確かめている瑤子を、俺は「これもな」と言いながら引き寄せた。
「あっ!……んっっ」
逃げられないよう後頭部を押さえて、唇を深く重ねる。
奥にある舌を探るように自分の舌を差し入れ、見つけ出すとそれをチロチロと撫でる。
「ふっっ……ぁっ……」
隙間から漏れる甘い吐息に誘われるように舌を絡めると、だんだん瑤子もそれに応え出した。
「んっっ、んっ……」
何度も角度を変えて瑤子の唇を堪能すると、ようやく放し、腕の中に閉じ込めた。
「続き……する?」
顔の見えない瑤子の耳元でそう囁くと、肩がびくっと震え思い切り突き飛ばされる。
「し・ま・せ・ん!!さようなら!」
顔を紅色に染めた瑤子はそう言うと、ヒール音を立てて走って行ってしまった。
「あーあ、逃げられた」
俺は笑いながらそれを見送った。
1
あなたにおすすめの小説
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
4番目の許婚候補
富樫 聖夜
恋愛
愛美は家出をした従姉妹の舞の代わりに結婚することになるかも、と突然告げられた。どうも昔からの約束で従姉妹の中から誰かが嫁に行かないといけないらしい。順番からいえば4番目の許婚候補なので、よもや自分に回ってくることはないと安堵した愛美だったが、偶然にも就職先は例の許婚がいる会社。所属部署も同じになってしまい、何だかいろいろバレないようにヒヤヒヤする日々を送るハメになる。おまけに関わらないように距離を置いて接していたのに例の許婚――佐伯彰人――がどういうわけか愛美に大接近。4番目の許婚候補だってバレた!? それとも――? ラブコメです。――――アルファポリス様より書籍化されました。本編削除済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる