One night stand after〜俺様カメラマンと一夜限りの関係のはずが気付けば愛執に捕らわれていました〜

玖羽 望月

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あー!!最悪っ!最悪っ!

ヒール履いてるけど、最大限出せるスピードで家へ走る。
パーキングを出たらちゃんと駅前で、そこはホッとしながら。
カツカツと言う音で、前を歩く人々が振り返ってこちらを見るが、気にしてる余裕もない。

家に帰り着くと、まず洗面所に飛び込んで冷たい水を勢いよく出した。
そして眼鏡だけ外すとそのまま、バシャバシャ顔を洗った。

これをやるのは今日2回目だ。
1回目は昼間……。
私も仕事中だしと気が緩んでいた。それに、私の事を気にする素振りなど見せなかったのに。

人の唇を散々貪った挙句、『お前、その顔で戻ってくるの禁止な』なんてどれだけ上から目線なんだか。

でも、お手洗いに入り自分の顔を鏡で見たら……さすがにそのまま現場に入るわけには行かず、思いっきり水で顔を洗って火照りを覚ました。

まさか、同じ事を帰りにもされるなんて、自分はどんだけ隙だらけだったんだろうと反省した。
しかも……無理矢理された筈のキスに、最後は応えてただなんて。

それ以前に、車の中で眠りこけるなんて、一生の不覚!

よく寝込みを襲われなかったものだと思いつつ、私をどうにかしようなんて気はなくて、キスされたのも単に揶揄われているだけなのかなとも思った。

本当に、何考えてるのか全く分からない人だ。

今日の同行だって、私が必要だったのかと言えば全く必要はない。
じゃあ、単純に私に会いたかったから……なんて事はあの人に限ってないな。
新しい玩具を手に入れたから、しばらく遊んでやろう、くらいにしかきっと思っていないはずだ。

私は水が滴ったままの自分の顔を両手で叩くと顔を上げた。

考えてもしょうがない。私は私の仕事をしよう。
男に振り回される人生なんて……二度と御免だ。

そう思いながら、鏡に写る自分の顔を睨みつけた。

「おはようございます」

社長室でにこやかに笑う私の前で、社長は小さくなりながら「おはよう。長森さん」とヘラっと笑う。

「昨日の同行どうだったかな~?なんて思ったんだけど」

だから、何故恐る恐る聞く?と思いながら私は口を開いた。

「特段何もご報告するような事はございませんでした」

まあ、あれは報告することではない……と昨日の2回のキスを思い出す。

「あ、そう?なら良かった。ちょっと心配で。……ところで、専属の話出てるの?」

そう聞いてくると言う事は、長門さんからは何も聞いてないと言うことか。

「私はお断りしているんですけどね。正直迷惑しているんです。私はスケ管専門だとお伝えしてるんですが」

なんて、絶対零度の微笑みで社長に返した。

「そうだよねー……。司は何考えてるのかな~……ハハハ」

なんて乾いた笑いで答える社長に、「さあ。私も存じ上げません。では仕事が溜まっていますので失礼します」と、トドメの笑顔を向け社長室を後にした。

席に戻り、メールのチェックを始める。昨日半日放置する事になったため、それなりにメールが来ていた。
クライアントごとに振り分けして、中身を確認するが、相変わらず長門さん宛のメールの多さにウンザリした。

元々、撮影は1週間に1回しか入れられない。他の日はデータの確認や補正、打ち合わせなど意外とする事はある。
けれど撮ってくれと言う依頼は山程来ていて、下手したら1ヵ月丸々費やすような写真集の依頼もあった。
長門さんのスケジュールを先まで見ながら予定を組まなくてはいけないが、なかなかに過酷なスケジュールに頭を抱えている。

専属になったら、いちいちお伺いを立てなくても、もっとダイレクトにスケジュールを組めるだろう。
それはかなりのメリットだ……なんて思いがよぎりハッとした。

全部私の手から離れたらこんな事考える必要もないんだ……。

なんか、もう思惑通りになっていそうで大きな溜め息と共に机に突っ伏した。


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