234 / 247
☆番外編4☆
とある日常の風景 2
しおりを挟む
「じゃあ、俺のを聞いてください!」
腰に両手を当て、胸を反らして得意気に中川は言う。
「仕方ねぇ。聞いてやるよ」
ビールを流し込みながら投げやりに返すと、中川は満面の笑みを浮かべた。
「まず、ブランドショップの並ぶ街でデートです。なんでも、好きなもの買ってやるよ? ってね」
なんでも~から、演技がかった口調で中川は話す。もしかしなくても、俺の真似か? と思うと無性イラつく。しらけた視線を送る俺に気づいてないのか、中川は続けた。
「夜は、高級ホテルの、夜景の見える高級レストランで食事。そのあとは、そのままスイートルームで熱い夜を……」
うっとりしながら目を瞑る中川は、目を開けると体勢を戻す。
「……ってのが、俺の夢です!」
はなから憐れみの目で見ていた長谷は、「だろうな」と呆れている。しらっとした空気が流れるなか、中川は「え! ダメですか? 俺の理想シチュエーション!」と俺たちの顔をキョロキョロと眺めながら訴えた。
「あのなぁ。そんなつまんねぇ内容で瑤子が喜ぶなら苦労しねぇんだよ」
「え~? つまんなくないっすよ! じゃあ聞きますが、去年はどんな楽しい誕生日だったんっすか?」
俺はその質問を、渋い顔して受ける。あれを言わなきゃなんねぇのか? と去年のことを思い出す。誰にも言ってねぇのに。
「教えてくださいよぉ! 今後の参考にしますから!」
懇願する中川に、俺はニヤリと笑みを浮かべる。
「じゃ、お前に女ができたら、最初の誕生日は同じようにしろよ? ぜってーな?」
「はい! もちろんっす!」
両手を握り振りながら、中川は勢いよく答える。俺はそれを鼻で笑いながら話し始めた。
「昼間は……近所の公園を散歩。マジで歩いただけ。夕方は、牛丼チェーン店で飯食って、ケーキだけ買って帰って家で食った。以上、終わり!」
ヤケクソにそう言うと、皆同じようにポカンとした顔で俺を見ている。いつも無表情の東藤でさえも。
「……え。そんな誕生日デート。中学生でもしませんよ……」
「うるせぇな。瑤子のリクエストに答えたらこうなったんだよ!」
唖然としたままの中川に吐き捨てるように返すと、その隣で長谷が笑っている。
「さすが瑤子さん。想像以上! そりゃ、次のハードル高いわ!」
牛丼チェーン店にいる俺を想像でもしてるのか、長谷は持っているグラスが揺れるくらい笑っている。
「だから悩んでんだろうが……」
残りのビールを呷り、ジョッキをテーブルに置くと、向かいの東藤と目が合った。
腰に両手を当て、胸を反らして得意気に中川は言う。
「仕方ねぇ。聞いてやるよ」
ビールを流し込みながら投げやりに返すと、中川は満面の笑みを浮かべた。
「まず、ブランドショップの並ぶ街でデートです。なんでも、好きなもの買ってやるよ? ってね」
なんでも~から、演技がかった口調で中川は話す。もしかしなくても、俺の真似か? と思うと無性イラつく。しらけた視線を送る俺に気づいてないのか、中川は続けた。
「夜は、高級ホテルの、夜景の見える高級レストランで食事。そのあとは、そのままスイートルームで熱い夜を……」
うっとりしながら目を瞑る中川は、目を開けると体勢を戻す。
「……ってのが、俺の夢です!」
はなから憐れみの目で見ていた長谷は、「だろうな」と呆れている。しらっとした空気が流れるなか、中川は「え! ダメですか? 俺の理想シチュエーション!」と俺たちの顔をキョロキョロと眺めながら訴えた。
「あのなぁ。そんなつまんねぇ内容で瑤子が喜ぶなら苦労しねぇんだよ」
「え~? つまんなくないっすよ! じゃあ聞きますが、去年はどんな楽しい誕生日だったんっすか?」
俺はその質問を、渋い顔して受ける。あれを言わなきゃなんねぇのか? と去年のことを思い出す。誰にも言ってねぇのに。
「教えてくださいよぉ! 今後の参考にしますから!」
懇願する中川に、俺はニヤリと笑みを浮かべる。
「じゃ、お前に女ができたら、最初の誕生日は同じようにしろよ? ぜってーな?」
「はい! もちろんっす!」
両手を握り振りながら、中川は勢いよく答える。俺はそれを鼻で笑いながら話し始めた。
「昼間は……近所の公園を散歩。マジで歩いただけ。夕方は、牛丼チェーン店で飯食って、ケーキだけ買って帰って家で食った。以上、終わり!」
ヤケクソにそう言うと、皆同じようにポカンとした顔で俺を見ている。いつも無表情の東藤でさえも。
「……え。そんな誕生日デート。中学生でもしませんよ……」
「うるせぇな。瑤子のリクエストに答えたらこうなったんだよ!」
唖然としたままの中川に吐き捨てるように返すと、その隣で長谷が笑っている。
「さすが瑤子さん。想像以上! そりゃ、次のハードル高いわ!」
牛丼チェーン店にいる俺を想像でもしてるのか、長谷は持っているグラスが揺れるくらい笑っている。
「だから悩んでんだろうが……」
残りのビールを呷り、ジョッキをテーブルに置くと、向かいの東藤と目が合った。
1
あなたにおすすめの小説
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
極上御曹司と甘い一夜を過ごしたら、可愛い王子ごと溺愛されています
羽村 美海
恋愛
旧題:甘い一夜からの一途な再会愛〜御曹司はショコラティエールを可愛い王子ごとチョコよりも甘く溺愛する〜
.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚
エタニティブックス様にて刊行していただきました。お読みいただいた皆さんのおかげです。ありがとうございます🌸🌷.*
翔視点の番外編「可愛い王子様の休日」公開中です。
.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚
二十二歳のショコラティエール・彩芽は自分に自信が持てず、恋愛未経験な奥手女子。ところがある日、かつて最悪な出会いをした王子様のようなイケメン・駿との再会から、甘い一夜を共にする。これは一夜限りの魔法――そう自分に言い聞かせていたのに、駿への想いを諦めた矢先、彼の子どもを授かったことに気づく。三年後、シングルマザーとなった彩芽は彼への想いを封印し、子育てと仕事に忙しくも充実した日々を送っていた。ところが再び目の前に現れた駿から熱烈求愛されて……!? 恋を知らない奥手女子と一途な御曹司の運命の再会ロマンス!
.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
一夜限りのお相手は
栗原さとみ
恋愛
私は大学3年の倉持ひより。サークルにも属さず、いたって地味にキャンパスライフを送っている。大学の図書館で一人読書をしたり、好きな写真のスタジオでバイトをして過ごす毎日だ。ある日、アニメサークルに入っている友達の亜美に頼みごとを懇願されて、私はそれを引き受けてしまう。その事がきっかけで思いがけない人と思わぬ展開に……。『その人』は、私が尊敬する写真家で憧れの人だった。R5.1月
この溺愛は契約外です~恋焦がれた外科医から愛し愛されるまで~
水羽 凛
恋愛
不幸な境遇を生きる健気な女性花名は母親の治療費と引き換えに外科医である純正の身の回りの世話をすることになる。恋心を隠せない花名に純正は……。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる