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4.五月闇に、忍び寄る
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出張も実質、月曜日の今日一日だ。東京に戻るのは明日だが、午前中の総括と挨拶だけで終わる。
けれど今日は、近隣にあるあちこちの施設を見学することになっていて、スケジュールは目白押し。昨日のことを思い出して、ふわふわしている余裕もなさそうだ。
朝9時過ぎにリアムたちと合流すると、まずは金曜日に遠くから見学した風力発電所の施設に向かった。
風を受けて回るプロペラの近くまで行ったり、運転を監視するシステムの説明を受けたり。リアムもジェイクも、当然真剣に耳を傾けている。それが本来の姿なのだろう。けれどどこか、素っ気なく感じていた。
そのうちまた、いつもの人懐っこいリアムに戻り、週末の話を聞かれるのでは、と構えていたが、ランチを挟んでもそれは変わらない。案内してくれている担当者も一緒だったからか、あくまでもビジネスに徹しているようだった。
午後からは、建設中だという海上風力発電の施設に向かった。
陸地で概要説明を受けたあと、ボートで予定地を見て回る。今日は天気も良く、いつもより波は穏やかなのだそうだ。だがゆっくりしている暇はない。熱心に説明する技術者の話を、二人に訳して聞かせた。
そのあとは休む間もなく、自治体の環境課の職員との面談。それが終わると、ようやく今日の予定はすべて終わった。
「――では雪代さん。明日同じ時間に迎えに上がります」
「よろしくお願いします。今日はお疲れ様でした」
リアムたちの泊まるホテルの前で降ろしてもらい、担当者を見送る。すでに時間は午後六時を回っていた。
振り返ると、リアムはジェイクに耳打ちしたあと、先に自動扉を入っていく。ジェイクは、少し離れた場所にいた私のもとへ歩み寄った。
「エマ。このあとのディナーですが、レストランの個室の空きがなく、私たちの宿泊する部屋で取ることになりました。準備に少し時間をいただきますので、ロビーでお待ちください」
「はい。承知しました。よろしくお願いします」
ジェイクと別れ、ロビーに設置してあるソファに腰掛ける。さすがに一日中あちこちに移動したからか、どっと疲れが押し寄せてきた。
スマートフォンを取り出し、メッセージアプリを開ける。依澄さんとのやりとりは、昨日の夜の『おやすみなさい』で終わっている。
(依澄さん、さすがにまだ仕事中だろうな)
すぐに返事は期待できないだろうけど、とりあえず無事に今日の予定が終わったことと、今からリアムたちとビジネスを兼ねたディナーだとメッセージを送った。
けれど今日は、近隣にあるあちこちの施設を見学することになっていて、スケジュールは目白押し。昨日のことを思い出して、ふわふわしている余裕もなさそうだ。
朝9時過ぎにリアムたちと合流すると、まずは金曜日に遠くから見学した風力発電所の施設に向かった。
風を受けて回るプロペラの近くまで行ったり、運転を監視するシステムの説明を受けたり。リアムもジェイクも、当然真剣に耳を傾けている。それが本来の姿なのだろう。けれどどこか、素っ気なく感じていた。
そのうちまた、いつもの人懐っこいリアムに戻り、週末の話を聞かれるのでは、と構えていたが、ランチを挟んでもそれは変わらない。案内してくれている担当者も一緒だったからか、あくまでもビジネスに徹しているようだった。
午後からは、建設中だという海上風力発電の施設に向かった。
陸地で概要説明を受けたあと、ボートで予定地を見て回る。今日は天気も良く、いつもより波は穏やかなのだそうだ。だがゆっくりしている暇はない。熱心に説明する技術者の話を、二人に訳して聞かせた。
そのあとは休む間もなく、自治体の環境課の職員との面談。それが終わると、ようやく今日の予定はすべて終わった。
「――では雪代さん。明日同じ時間に迎えに上がります」
「よろしくお願いします。今日はお疲れ様でした」
リアムたちの泊まるホテルの前で降ろしてもらい、担当者を見送る。すでに時間は午後六時を回っていた。
振り返ると、リアムはジェイクに耳打ちしたあと、先に自動扉を入っていく。ジェイクは、少し離れた場所にいた私のもとへ歩み寄った。
「エマ。このあとのディナーですが、レストランの個室の空きがなく、私たちの宿泊する部屋で取ることになりました。準備に少し時間をいただきますので、ロビーでお待ちください」
「はい。承知しました。よろしくお願いします」
ジェイクと別れ、ロビーに設置してあるソファに腰掛ける。さすがに一日中あちこちに移動したからか、どっと疲れが押し寄せてきた。
スマートフォンを取り出し、メッセージアプリを開ける。依澄さんとのやりとりは、昨日の夜の『おやすみなさい』で終わっている。
(依澄さん、さすがにまだ仕事中だろうな)
すぐに返事は期待できないだろうけど、とりあえず無事に今日の予定が終わったことと、今からリアムたちとビジネスを兼ねたディナーだとメッセージを送った。
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