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番外編 〜巡る季節〜
夏.9
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そのまま、男性チームと女性チームに別れて反対方向に歩き出した。
「よかったんですか? 部長、子犬みたいな顔でシュンとしてましたけど」
歩きながら紗里ちゃんが、心配そうに私を覗き込む。それに笑って返す。
「うん。依澄さん、まだ日本には腹を割って話せる相手がいないから。黒岩さんがそうなってくれたらなって思ってたし」
「確かに依澄って、私と一緒で友だち作るの得意じゃないのよね」
「黒岩さんは、全人類と友だちになりそうなタイプですもんねぇ」
さらっと当たり前のように言う羽瑠ちゃんと、しみじみと口にする紗里ちゃんに同意するように頷く。
「だよね。きっと依澄さんも、黒岩さんのこと好きになってくれるかなって、期待してるんだ」
黒岩さんに嫉妬していたことが、ほんの数ヶ月前なのにすでに懐かしい。二人は同じ会議に出席して互いの仕事ぶりは分かったはずだ。実はそれぞれから称賛する言葉を聞いていた。
自分の大切な人たちが、仲良くなってくれたらなんて、子どもっぽい考えかも知れないけれど。それでもそうなればいいと願ってしまう。
「黒岩さんに任せてれば、きっと大丈夫ですよ。じゃあ、私たちは恋バナしましょうよ。羽瑠さんの話も聞きたいなぁ」
「えっ、私? そんなたいした話ないけど」
急に振られて、羽瑠ちゃんは驚いている。
「私も聞きた~い! 爽くんとの甘い新婚生活とか~」
茶化すように投げかけると、羽瑠ちゃんは珍しく頰を赤らめる。
「なっ、ないって! 恵舞には及ばないから」
「そお? とりあえず、何か食べに行こうよ。冷たいものがいいな。紗里ちゃん、おすすめのお店ある?」
「もちろん、任せてください! パフェにします? それとも、かき氷?」
「いいね! どっちも?」
「ほんと、恵舞は食いしん坊なんだから」
笑い合いながら、街を歩く。何気ない日常の延長上だけど、気の置けない人たちと過ごす時間はなんて幸せなんだろう。
(依澄さんも、楽しんでくれてるかな……)
どんなことがあったのか、きっと話してくれるだろう。そして私も話したい。なんでもないことだって、分かち合っていけるはずだから――。
そして私は、夏休みの間に依澄さんの家に住所を移し、正式に一緒に暮らし始めた。
依澄さんの養母となっている、竹篠の母に挨拶へ行ったり、祖父と伯父の住む宮藤家に招かれたり。そうしているうち、長いようで短い休みは終わり、また日常が始まる。
いよいよ結婚に向け忙しくしていると、季節は秋へ切り替わっていた。
「よかったんですか? 部長、子犬みたいな顔でシュンとしてましたけど」
歩きながら紗里ちゃんが、心配そうに私を覗き込む。それに笑って返す。
「うん。依澄さん、まだ日本には腹を割って話せる相手がいないから。黒岩さんがそうなってくれたらなって思ってたし」
「確かに依澄って、私と一緒で友だち作るの得意じゃないのよね」
「黒岩さんは、全人類と友だちになりそうなタイプですもんねぇ」
さらっと当たり前のように言う羽瑠ちゃんと、しみじみと口にする紗里ちゃんに同意するように頷く。
「だよね。きっと依澄さんも、黒岩さんのこと好きになってくれるかなって、期待してるんだ」
黒岩さんに嫉妬していたことが、ほんの数ヶ月前なのにすでに懐かしい。二人は同じ会議に出席して互いの仕事ぶりは分かったはずだ。実はそれぞれから称賛する言葉を聞いていた。
自分の大切な人たちが、仲良くなってくれたらなんて、子どもっぽい考えかも知れないけれど。それでもそうなればいいと願ってしまう。
「黒岩さんに任せてれば、きっと大丈夫ですよ。じゃあ、私たちは恋バナしましょうよ。羽瑠さんの話も聞きたいなぁ」
「えっ、私? そんなたいした話ないけど」
急に振られて、羽瑠ちゃんは驚いている。
「私も聞きた~い! 爽くんとの甘い新婚生活とか~」
茶化すように投げかけると、羽瑠ちゃんは珍しく頰を赤らめる。
「なっ、ないって! 恵舞には及ばないから」
「そお? とりあえず、何か食べに行こうよ。冷たいものがいいな。紗里ちゃん、おすすめのお店ある?」
「もちろん、任せてください! パフェにします? それとも、かき氷?」
「いいね! どっちも?」
「ほんと、恵舞は食いしん坊なんだから」
笑い合いながら、街を歩く。何気ない日常の延長上だけど、気の置けない人たちと過ごす時間はなんて幸せなんだろう。
(依澄さんも、楽しんでくれてるかな……)
どんなことがあったのか、きっと話してくれるだろう。そして私も話したい。なんでもないことだって、分かち合っていけるはずだから――。
そして私は、夏休みの間に依澄さんの家に住所を移し、正式に一緒に暮らし始めた。
依澄さんの養母となっている、竹篠の母に挨拶へ行ったり、祖父と伯父の住む宮藤家に招かれたり。そうしているうち、長いようで短い休みは終わり、また日常が始まる。
いよいよ結婚に向け忙しくしていると、季節は秋へ切り替わっていた。
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