年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月までー月の名前ー

玖羽 望月

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気がつけばそろそろゲストが来る時間だ。

「あ、いたいた。司!」

ちょうど控室の前にいた司を見つけて俺は呼びかけた。

「おう」

そう言って立ち止まった司はいたって普通のフォーマルスーツ。のはずだけど、もともとのスタイルと顔の良さが相まって、主役が霞むレベルだ。いや、他のゲストもそんな人間だらけで、今更気にしても仕方ないんだけど。

「かんちゃん、大丈夫だった?」
「あぁ。アイツなら大人しくしてたぞ。お前らに置いてかれてしょげてたんじゃねぇの?」

そんなことを言いながら司は笑っている。

「そっか。あとでお詫びしなきゃ。で、どこいるの?」
「今は外だ」
「外?」

気晴らしに瑤子ちゃんが外に連れ出してくれたのだろうかと尋ねると、司は何故かニヤニヤしながら「そ。ちょっと来い」と俺に言った。

控室のすぐ横を曲がった先は庭に出る通路になっている。そこを通り抜け、柔らかな日差しが降り注ぐ庭に出た。

stayまて!」
shake handおて!」

庭先から、流暢な英語が聞こえて来る。俺の視線の先に、もともと親しんでいる英語のコマンドをこなすかんちゃんの姿があった。そして、そのコマンドを出している2人が「good boy!」とかんちゃんにおやつをあげているのを見て、俺は声を上げていた。

「えっ!レイちゃん⁈アンちゃん⁈」

驚いたまま俺は司の顔を見上げると、司は得意げにふふん、と鼻を鳴らした。

「どうだ。俺のサプライズは!」

司の結婚式の時、してやったりの俺に『お前のときは覚えてろよ?』なんて言っていたけど、さすがにこれには驚くしかなかった。

Congrats!おめでとうmutsukiムツキ

俺のニューヨークで最初にできた友人達。もちろん会うのは久しぶりだ。

「いや、だって。店閉められないから無理だって……」

俺は久しぶりに英語でそう返す。
目の前には、今日はブラックスーツを着ている金髪でスレンダーなレイチェルと、ライラック色のドレスを着た赤毛のアンナがニコニコ、いや、ニヤニヤしながら立っている。

「やだな、サプライズするからに決まってるだろ?」

レイちゃんは楽しげにそう言う。そしてその隣でアンちゃんも笑っている。

「そうよ。私達のlucky starの結婚式なんて、参加しないわけないわよ」
「ありがとう。遠いところ来てくれて」

俺がそう返すと、2人とも笑みを浮かべた。

「泣かないでよ?ムツキ。貴方、結構泣き虫なんだから」

アンちゃんにそう言われて、少し涙目になりながら俺は笑顔を返した。
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