【完結】要らないと言っていたのに今更好きだったなんて言うんですか?

星野真弓

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「これで授業は終了とする。来週の授業から始まる第二章をしっかり予習しておくように」

 経営戦略論の講師はそう言って教室を出て行き、私はゆっくりとした動作で授業で使った勉強道具を片付ける。
 すると、今日は意外と真面目に授業を受けていたエルケに、少し感心した様子で笑みを浮かべたクラーラが話しかける。

「今日はどうしたんです? そろそろ勉強しないといけないって思ったんですか?」

「落書きも飽きちゃったから暇潰しにね」

「暇潰しに授業受けるんだ……」

 相変わらず行動理由が読めないエルケに呆れていると、今日はクラーラのお腹が鳴った。
 少し恥ずかしそうに目を逸らしたクラーラに私は笑いながら。

「じゃあ、そろそろ食堂に行こうか。私もお腹空いたし」

「行こう行こう」

 エルケもお腹が空いている様子でそう言って立ち上がり、私もリュックを片手に立ち上がる。
 今日の食堂で食べられる料理は、私の好物の羊肉が使われたシチューとパンだった記憶がある。
 これなら午後の苦手科目の授業も張り切って挑めそうだ。

 シチューを想像してしまったせいで余計に食欲が刺激されながら教室を出ると、どこの教室も授業が終わる時間なだけあって、廊下は食堂に向けて歩く生徒たちで埋め突くされていた。
 そんな見慣れた光景を気にする事無く、私たちも食堂の方へ向かって歩いていると、流れを逆流するようにこちらへやって来る人の姿が見え――何となく嫌な予感に襲われる。

「……あれって殿下じゃないですか?」

「やっぱりそうだよね」

 もう二度と関わる事が無いよう願っていた彼が、わざわざ食堂では無くこちらへ向かってやって来ているという事は、間違いなく私に何か用があるのだろう。
 思わず溜息を吐きそうになる中、私と目が合った彼は人混みを掻き分けてこちらへと近付き。

「話がある。付いて来い」

「これから二人と食事を摂るので嫌です」

「良いから来い」

 そんなにも焦っているのか何なのか、彼は私の腕を掴むと食堂とは反対の方へ歩き出す。
 抵抗しようとするが一切振り返りもせずにグイグイと進むフロイデンを見て、拒んでも意味が無いと判断した私は後を付いて来ようとする二人に、先に食べているように言って、大人しく彼の後を付いていくことにした。
 ――キッパリと別れを告げるつもりで。
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