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第8話「宮廷の異変」
王都アルヴィスは、初夏の陽光に白い城壁を輝かせていた。
宮廷薬師局の一室で、エドワルド・セルヴァンは額の汗を拭っていた。
「どういうことだ。なぜ納品が間に合わない?」
机の向こうに座る宮廷薬師局の局長が、困惑した顔で書類を捲っている。
「セルヴァン様、申し上げにくいのですが……先日ご依頼いただいた第二王子殿下向けの常備薬ですが、担当の薬師が調合に手間取っておりまして」
「手間取る? そんなはずはない。いつも通りの処方だろう」
「はい。ただ、以前はハーゼルの——いえ、前任の見習いが微調整を担当しておりまして。同じ配合比で作っているのですが、なぜか効き目が安定しないと」
エドワルドの眉が痙攣した。
フィオナ・ハーゼル。あの地味な元婚約者の名前を、最近やけに耳にする。
正確には、フィオナがいなくなった後で、彼女がいた時には起きなかった問題が次々と噴出しているのだ。
発端は些細なことだった。薬師局の定例業務で、薬の品質にばらつきが出始めた。以前は安定していた常備薬の効能が微妙に落ちている。原因を調べると、薬草の状態に合わせた配合比の「微調整」が行われなくなったことに行き着いた。
その微調整を、黙々とこなしていたのがフィオナだった。
見習い扱いのまま、誰にも評価されず、しかし確実に。フィオナの手が離れて初めて、その仕事の質が明らかになったのだった。
「フィオナ程度の替えは、いくらでもいるはずだ。局長、何とかしてくれ」
「……善処いたします」
局長の言葉は歯切れが悪い。実際のところ、「替えがきかない」からこうして相談に来ているのだが、エドワルドはそれを認めたくなかった。
薬師局を出たエドワルドは、回廊を歩きながら苛立ちを噛み殺していた。
最近、何もかもがうまくいかない。
第二王子の側近としての立場は変わらないが、些事での失点が積み重なっている。先月は王子の夜会の段取りで手違いがあり、先週は提出した報告書に誤りがあると指摘された。どれもフィオナがいた頃には——彼女が陰で支えていた頃には起きなかった類のことだ。
もちろん、フィオナが直接関与していたわけではない。だが、彼女は婚約者として、エドワルドの生活の細々とした部分を黙って整えていた。書類の再確認、各種日程の調整、体調に合わせた薬の準備。それらをすべて「当然のこと」として受け取っていたエドワルドは、失って初めてその価値に気づきつつあった。
——気づきたくなかった。
「エドワルド様」
甘い声が回廊に響いた。
セレスティーヌ・ミルフォードが、淡い桃色のドレスを翻して歩いてくる。プラチナブロンドの髪が午後の光を受けて輝き、すれ違う貴族たちが振り返るほどの美貌。
「まあ、お疲れのご様子ですわね。お薬でもお持ちしましょうか?」
「ああ、頼むよ。最近どうも頭痛がひどくてね」
「任せてくださいまし。わたくし、薬草のことは多少心得がありますの」
セレスティーヌは自信に満ちた微笑みを浮かべた。
実際のところ、それは嘘だった。
セレスティーヌがエドワルドに近づいた理由の一つが、「薬学に通じた令嬢」という触れ込みだった。侯爵家の跡取りであり王子の側近であるエドワルドにとって、教養ある婚約者は体面上も好ましい。セレスティーヌはその需要を見抜いて、自分を売り込んだのだ。
しかし、彼女の薬学の知識は借り物だった。家庭教師に丸暗記させてもらった断片的な知識と、本で読みかじった上辺だけのもの。実際に薬草を手に取って調合した経験はない。
そのほころびが、少しずつ表に出始めていた。
先日の貴族夫人たちの茶会。話題が薬草療法に及んだとき、セレスティーヌは月下草の効能について得意げに語った。しかし、同席していた薬師の資格を持つ伯爵夫人に「それは銀嶺草の効能ではなくて?」と穏やかに指摘され、セレスティーヌの顔が強張った。
その場は笑って流したが、茶会の後、夫人たちの間でひそひそ声が交わされた。
「セレスティーヌ嬢、本当に薬学に通じているのかしら」
「前の婚約者——ハーゼルの娘はどうだったの」
「ああ、あの地味な子ね。でもあの子はちゃんとした薬師だったわよ。宮廷薬師局で実際に調合していたもの」
「あら、それでは今の婚約者は……」
風向きが変わり始めていた。
エドワルドはまだ気づいていない。あるいは、気づいていても認めようとしない。自分の選択が正しかったと信じたいがために。
その日の夜。
セルヴァン侯爵邸の書斎で、エドワルドは一人、デスクに向かっていた。
手元には、辺境ヴェルシュタイン領から戻ったディートリヒ視察官の報告書がある。形式的な内容に交じって、一つの記述が目に留まった。
——ヴェルシュタイン公爵家に、薬師フィオナ・ハーゼルが滞在中。領内の流行病対応に活躍し、公爵から高い信頼を得ている模様。
エドワルドは報告書を机に投げた。
「あの竜公爵が、フィオナを……?」
ヴェルシュタイン公爵。宮廷では「粗野な辺境伯」と侮られているが、その武力と領地の鉱山資源は王国でも有数。社交界には滅多に顔を出さないが、敵に回せば厄介な相手であることは誰もが知っている。
そんな男が、フィオナを——あの地味で取り柄のない女を——高く評価している?
「……馬鹿な」
エドワルドは首を振った。フィオナにそれほどの価値があるはずがない。五年間そばにいて、自分が一番よく知っている。彼女はただの見習いだった。地味で、目立たず、侯爵家の婚約者としては物足りない女だった。
——そう、信じたかった。
だが夜更けの書斎で、エドワルドはデスクの引き出しを開けた。奥に仕舞い込んでいた小さな瓶。フィオナが以前、エドワルドの偏頭痛のために調合してくれた特製の鎮痛薬だ。
これが、もう手に入らない。
セレスティーヌが用意する薬は見た目こそきちんとしているが、飲んでも頭痛が引かない。市販の薬では代わりにならない。フィオナの指先が生み出していたあの効き目を、再現できる者は宮廷にいなかった。
エドワルドは瓶を握りしめ、唇を引き結んだ。
——戻ってこさせればいい。
その考えが頭をよぎった瞬間、エドワルドは自分でも驚くほど自然に、それを「正しい判断」だと感じた。自分はセルヴァン侯爵家の嫡男で、第二王子の側近だ。たかだか子爵家の娘に声をかければ、喜んで戻ってくるだろう。あの夜会での件は、水に流してやればいい。
我ながら寛大な判断だと、エドワルドは本気でそう思っていた。
ペンを取り、便箋に向かう。
——フィオナへ。元気にしているだろうか。少し話したいことがある。王都に戻ってきてもらえないか。
書き終えて、封をして、使いの者を呼んだ。
「これを北方のヴェルシュタイン領へ。フィオナ・ハーゼル宛てだ。急ぎで頼む」
使いの者が去った後、エドワルドは椅子に深く腰掛けて天井を見上げた。
これでいい。フィオナは自分のもとに戻り、すべてが元通りになる。彼女にはそれが相応しい。辺境の荒くれ者のそばにいるより、王都で自分を支えるほうが——。
エドワルドは、自分の考えに一片の疑問も持たなかった。
それがどれほど傲慢なことか、彼が知るのは、もう少し先の話だ。
宮廷薬師局の一室で、エドワルド・セルヴァンは額の汗を拭っていた。
「どういうことだ。なぜ納品が間に合わない?」
机の向こうに座る宮廷薬師局の局長が、困惑した顔で書類を捲っている。
「セルヴァン様、申し上げにくいのですが……先日ご依頼いただいた第二王子殿下向けの常備薬ですが、担当の薬師が調合に手間取っておりまして」
「手間取る? そんなはずはない。いつも通りの処方だろう」
「はい。ただ、以前はハーゼルの——いえ、前任の見習いが微調整を担当しておりまして。同じ配合比で作っているのですが、なぜか効き目が安定しないと」
エドワルドの眉が痙攣した。
フィオナ・ハーゼル。あの地味な元婚約者の名前を、最近やけに耳にする。
正確には、フィオナがいなくなった後で、彼女がいた時には起きなかった問題が次々と噴出しているのだ。
発端は些細なことだった。薬師局の定例業務で、薬の品質にばらつきが出始めた。以前は安定していた常備薬の効能が微妙に落ちている。原因を調べると、薬草の状態に合わせた配合比の「微調整」が行われなくなったことに行き着いた。
その微調整を、黙々とこなしていたのがフィオナだった。
見習い扱いのまま、誰にも評価されず、しかし確実に。フィオナの手が離れて初めて、その仕事の質が明らかになったのだった。
「フィオナ程度の替えは、いくらでもいるはずだ。局長、何とかしてくれ」
「……善処いたします」
局長の言葉は歯切れが悪い。実際のところ、「替えがきかない」からこうして相談に来ているのだが、エドワルドはそれを認めたくなかった。
薬師局を出たエドワルドは、回廊を歩きながら苛立ちを噛み殺していた。
最近、何もかもがうまくいかない。
第二王子の側近としての立場は変わらないが、些事での失点が積み重なっている。先月は王子の夜会の段取りで手違いがあり、先週は提出した報告書に誤りがあると指摘された。どれもフィオナがいた頃には——彼女が陰で支えていた頃には起きなかった類のことだ。
もちろん、フィオナが直接関与していたわけではない。だが、彼女は婚約者として、エドワルドの生活の細々とした部分を黙って整えていた。書類の再確認、各種日程の調整、体調に合わせた薬の準備。それらをすべて「当然のこと」として受け取っていたエドワルドは、失って初めてその価値に気づきつつあった。
——気づきたくなかった。
「エドワルド様」
甘い声が回廊に響いた。
セレスティーヌ・ミルフォードが、淡い桃色のドレスを翻して歩いてくる。プラチナブロンドの髪が午後の光を受けて輝き、すれ違う貴族たちが振り返るほどの美貌。
「まあ、お疲れのご様子ですわね。お薬でもお持ちしましょうか?」
「ああ、頼むよ。最近どうも頭痛がひどくてね」
「任せてくださいまし。わたくし、薬草のことは多少心得がありますの」
セレスティーヌは自信に満ちた微笑みを浮かべた。
実際のところ、それは嘘だった。
セレスティーヌがエドワルドに近づいた理由の一つが、「薬学に通じた令嬢」という触れ込みだった。侯爵家の跡取りであり王子の側近であるエドワルドにとって、教養ある婚約者は体面上も好ましい。セレスティーヌはその需要を見抜いて、自分を売り込んだのだ。
しかし、彼女の薬学の知識は借り物だった。家庭教師に丸暗記させてもらった断片的な知識と、本で読みかじった上辺だけのもの。実際に薬草を手に取って調合した経験はない。
そのほころびが、少しずつ表に出始めていた。
先日の貴族夫人たちの茶会。話題が薬草療法に及んだとき、セレスティーヌは月下草の効能について得意げに語った。しかし、同席していた薬師の資格を持つ伯爵夫人に「それは銀嶺草の効能ではなくて?」と穏やかに指摘され、セレスティーヌの顔が強張った。
その場は笑って流したが、茶会の後、夫人たちの間でひそひそ声が交わされた。
「セレスティーヌ嬢、本当に薬学に通じているのかしら」
「前の婚約者——ハーゼルの娘はどうだったの」
「ああ、あの地味な子ね。でもあの子はちゃんとした薬師だったわよ。宮廷薬師局で実際に調合していたもの」
「あら、それでは今の婚約者は……」
風向きが変わり始めていた。
エドワルドはまだ気づいていない。あるいは、気づいていても認めようとしない。自分の選択が正しかったと信じたいがために。
その日の夜。
セルヴァン侯爵邸の書斎で、エドワルドは一人、デスクに向かっていた。
手元には、辺境ヴェルシュタイン領から戻ったディートリヒ視察官の報告書がある。形式的な内容に交じって、一つの記述が目に留まった。
——ヴェルシュタイン公爵家に、薬師フィオナ・ハーゼルが滞在中。領内の流行病対応に活躍し、公爵から高い信頼を得ている模様。
エドワルドは報告書を机に投げた。
「あの竜公爵が、フィオナを……?」
ヴェルシュタイン公爵。宮廷では「粗野な辺境伯」と侮られているが、その武力と領地の鉱山資源は王国でも有数。社交界には滅多に顔を出さないが、敵に回せば厄介な相手であることは誰もが知っている。
そんな男が、フィオナを——あの地味で取り柄のない女を——高く評価している?
「……馬鹿な」
エドワルドは首を振った。フィオナにそれほどの価値があるはずがない。五年間そばにいて、自分が一番よく知っている。彼女はただの見習いだった。地味で、目立たず、侯爵家の婚約者としては物足りない女だった。
——そう、信じたかった。
だが夜更けの書斎で、エドワルドはデスクの引き出しを開けた。奥に仕舞い込んでいた小さな瓶。フィオナが以前、エドワルドの偏頭痛のために調合してくれた特製の鎮痛薬だ。
これが、もう手に入らない。
セレスティーヌが用意する薬は見た目こそきちんとしているが、飲んでも頭痛が引かない。市販の薬では代わりにならない。フィオナの指先が生み出していたあの効き目を、再現できる者は宮廷にいなかった。
エドワルドは瓶を握りしめ、唇を引き結んだ。
——戻ってこさせればいい。
その考えが頭をよぎった瞬間、エドワルドは自分でも驚くほど自然に、それを「正しい判断」だと感じた。自分はセルヴァン侯爵家の嫡男で、第二王子の側近だ。たかだか子爵家の娘に声をかければ、喜んで戻ってくるだろう。あの夜会での件は、水に流してやればいい。
我ながら寛大な判断だと、エドワルドは本気でそう思っていた。
ペンを取り、便箋に向かう。
——フィオナへ。元気にしているだろうか。少し話したいことがある。王都に戻ってきてもらえないか。
書き終えて、封をして、使いの者を呼んだ。
「これを北方のヴェルシュタイン領へ。フィオナ・ハーゼル宛てだ。急ぎで頼む」
使いの者が去った後、エドワルドは椅子に深く腰掛けて天井を見上げた。
これでいい。フィオナは自分のもとに戻り、すべてが元通りになる。彼女にはそれが相応しい。辺境の荒くれ者のそばにいるより、王都で自分を支えるほうが——。
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