運命と運命の人

なこ

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第3章

7

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「ひっ!し、失礼いたしましたあ!!」

バタンと、開けた扉が、そのまま閉じられる音を聞き、カイゼルは目を覚ました。

カーテンの隙間から光が差し込み、眩しそうに目を顰める。

なぜか、右半身に違和感を感じ、そちらに目を向けると、小さな生き物が右腕の中、自分の胸に顔を埋めて、気持ち良さそうに、すうすう、と寝ている。



昨夜、ユアンの細腕に気を遣いながら、その腕を引き離そうとし、引き離しかけたところで、またユアンが泣きそうに顔を顰め、腕を掴む、それを3回程繰り返すと、
カイゼルはもう諦めた。

屈強な男の腕ならば、捻り上げ、それを折ることすら容易いはずなのに。

「…これは、子どもだ。子どもに添い寝するだけだ。やましいことは、何もない。」

事実、無防備に眠るユアンを前にしても、全くそんな気など起きない。

朝になり、使用人が入ってくる前には部屋を出ようと、そのままそこで、眠ってしまったのだった。



「思いの外、寝過ぎてしまったようだ。」

先程出て行った使用人は、間違いなく誤解しているだろう。

濡れたシャツが煩わしく、寝ながらボタンを外していたため、胸元ははだけたままだ。

「おい、そろそろ目を覚ませ。」

「んんんん、、、、、」

「おい」

ユアンは、目を開けようとするが、瞼が重くて、細目しか開けない。

「ああ、目が腫れて開かないのか。冷やした方が良さそうだな。」

間近な距離からカイゼルの声がし、さらに、カイゼルの胸ははだけていて、そこに抱きついている自分の姿に驚き、

ユアンは、ひっ、と声に出せない悲鳴をあげた。


すれ違う使用人たちの雰囲気が生暖かく感じ、これはもう明らかに誤解されていると思うと、やっと自室に戻れたカイゼルは機嫌が悪かった。

しかも、今日の午後には視察に出ていた、あの2人が帰って来る予定だ。

騒がしくなることは間違いない。

「カイゼル様。お目覚めでしょうか?」

部屋に入ってきた執事はいつもと変わらない様子で、今日の予定を確認する。昨夜の出来事を知っている訳だから、さすがに執事は誤解などしていないだろう。

「あの、カイゼル様。」

「なんだ?」

「…使用人たちが、何やら騒がしく、、」

「ああ、やはりな。みな誤解しているようだ。」

「ええ。そのようですね。大丈夫です。わたくしめには、わかっております。はい。…ですから、あまりご無理をさせない様に、仮にもセレン様の弟君でございますから。」

にっこりと微笑む執事に、ああ、何もわかっていないじゃないかと、カイゼルは頭を抱えた。

同じように、周囲の生暖かい目に気がついたユアンが、必死になって誤解を解き終えるまで、カイゼルはずっと機嫌が悪かった。






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