五周目の王女様

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12.歓迎パーティ

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 第三者を交えた晩餐はずっと続けていた。
 放置王女からの招待など大した価値はないけれど、私は聖女の称号も頂いているので多少の信望者はいる。別に晩餐を続けていても恥ずかしいという空気はなかった。たぶん。一部では『騎士の毒見』が有名になっていることもあり、晩餐作戦が功を奏しているのか、おかげさまで毒を盛られることもなく、元気に生きている。

 その夜は久しぶりにシュヴァルツを招待した。
「今日は朝からバタバタしていたわね。馬車の事故があったとか」
「ええ。城の真ん前で荷馬車に轢かれた子がいまして。五、六歳の男の子でしてね。すぐに城で手当てをして、身元を尋ねるのですが、ショックで口がきけないようで」
「まぁ」
「荷馬車というのが城から出発した王立図書館へ荷を往復する公用のものだったのです。担当は一人ですから、出す時に小さな子が車輪の側で屈んでいると気が付けなかった。とは言え責任は完全にこちらにあります。ひとまず親の捜索を頼んだりして忙しかったですね」
「ご両親は見つかりそう? その子は今も城に?」
「いえ。届もなくて。どうしようもないので一旦、城で預かることにしました。医者によるとしばらくは足を引きずることになりそうだと……身寄りがないのであれば、大きくなるまで保護をして下働きとして雇っても良いかと考えています」
「大きな怪我だったのですね。体調が落ち着いたら、私も見舞いましょう」
 シュヴァルツは礼を言い、今は洗濯係をしているイルマリーという女性が寮で面倒をみていると教えてくれた。

「実は今日のこれに、大層カタリーナ様が出しゃばられまして」
「カタリーナが?」
 歯に衣着せぬ言い方に、ウェイが噎せている。

 なんでも遊びに来たご友人が城前でこの騒ぎに出くわし、カタリーナに教えたらしい。急いで駆け付けたカタリーナは「可哀想に!!」と騒ぎ、馭者を激しく叱責した上で子どもの手当てに同席し、甲斐甲斐しく世話を焼いたとのことだった。
「思惑が透けて見えるようですね」
 ウェイが言う。
「そうです。彼女の思惑通り、一部でカタリーナ様の株は再燃しています」
 瞬く私を他所に、シュヴァルツの言葉にウェイがしたり顔で頷く。
「ダメじゃない。つまり私が出遅れたと」
「とんでもございません! ジゼル様に詳細をお伝えしなかったのはわざとです。言えば見舞いやら何やらと目に見えております。ですが子どもといえど、身元がわかりません。野蛮かもしれませんよ。どういった人間かわかるまでは」
 生真面目にウェイが口答えをする。
「野蛮て……五歳でしょう? どういったもこういったもないわよ。相変わらずうるさいわね」
 シュヴァルツも笑っている。
「ですが、ウェイ殿の判断が正しいのです。カタリーナ様も迂闊に出て来られるべきではありません。何かあれば大公に申し開きが立ちませんし、何と言っても、まず! 邪魔ですから」
 最後は小声だ。
「そうねぇ、馭者を叱責したのはよろしくなかったわ。きっと轢いてしまったショックもあったでしょう。私からはその方にお見舞いを送ることにします」
「本当ですか? それはかなり助かります! ベテランなのですが辞めると零しておりまして。困っています。きっと皇妃様からのお見舞いが届いたら彼の力になるでしょう」
 まだ皇妃じゃないし、効果は限りなく薄そうですけどね。

「ところでいよいよ来週は歓迎パーティーですね。ミントには何度も確認をしていますが、御手回りに不安はございませんでしょうか?」
「結構よ。一度も使っていない嫁入り道具が山のようにありますから」
 シュヴァルツはしょんぼりして頭を掻く。
「はぁ……もう来週だものね。そろそろ一番あなたが答えにくいことを聞くけれどいいかしら」
 皇帝側近は顔を隠して首を振る。
 もうそれが答えだけれど、確認は必要だった。
「陛下はどなたとパーティーへ?」

 ドレスの確認もされていない。アクセサリーや髪飾りの宝石も。何一つ、先の夫婦として揃えるものはない。

「陛下は……カタリーナ様と向かわれると」
「そうでしょうね」

 ウェイが唇を引き結んで、きっと私の代わりに溢れそうになる溜息を堪えてくれている。給仕の補助として壁際に立つミントも然り。
「力不足で申し訳もございません。本当に、遠路遥々お越しいただいたと言うのに……!何度進言してもカタリーナ様を……一体どうして彼女なのか」
「大丈夫よ、シュヴァルツ。あなたにもウルにも良くしてもらっている。カタリーナは可愛いもの。小さな頃から一緒なら尚さらに仕方がないと思うわ。今はまだ陛下の許可がないから中途半端だけど、即位したら誰が何と言っても国の為に働くから。私にとっての子は国そのものです。一緒に頑張っていきましょうね」

 そう言うと、日頃から柔和な顔のシュヴァルツなのに、苦渋に満ちた顔をして顔を伏せていた。


 ****

「ようこそお越しくださいました!」
「このような場を設けていただき、うれしく思います。ジゼル・ミラ・フラリエヌです」
 割れんばかりの拍手の中、ヨークレア、ハシドレア、カンダレアの三大公が揃って私を出迎える。
 壮麗な迎賓館は、王城の建つ敷地内の一画にある。恐らく国中の高位貴族が一族の威信をかけた出で立ちで集まり、大国の迎賓館に相応しい豪奢な造作と調度も格別だ。
 ゆったり完璧な笑顔を群衆に向かって振りまくと、豪雨のような拍手が轟く。放置王女であることは知れ渡っているだろうけれど、私の即位自体は盤石な表れだった。だからこそ気を引き締める。

 巨大過ぎるシャンデリアが落ちて来たら即死だし、
 乾杯のワインを毒見させるわけにいかないし、
 拍手送ってくる人たちの誰が私を一回目で殺そうとした犯人なのかもわからない。

 こうした場に立つと、改めてあの夜レオポルドが言った「目立たず過ごせ」の言葉が蘇る。確かに狙われやすいだろう。
「ウェイ、気後れせずにもう少し側にいて。陛下はどちらにいらっしゃるのかしら?」
「は」
 一人きりな分、常に護衛を後ろに貼り付かせられることは案外便利だった。
「壇上の奥の応接にいらっしゃるようです」
「そう。こちらからご挨拶した方が良いのかしら」
 同伴者のいない主役わたしが姿を見せても、高位貴族たちは恭しく頭を垂れ、何事もないかのように振舞う。

「それでは主役のジゼル様がお越しになりましたので、乾杯をいたしましょう」

 ヨークレアの一声で給仕が新しいグラスへと交換に動き回る。
 私の手にもグラスが渡された。
「お毒見を?」
「飲むふりをするだけだから、必要ないわ」
 長ったらしい挨拶の後で乾杯が叫ばれると、次から次へと目通り叶わなかった者たちが私の前にならんだ。
「やっとお目にかかれました! 侯爵を賜っております、チザンでございます。北に領地を拝しておりまして、収穫は葉物が多いのですが近頃雨が少なく困っております」
 雨なんか降らすことは出来ないわよ。
「聖女様! この度のご成婚お慶び申し上げます! わたくしはリドーと申しまして、十代前より伯爵位を賜っております。早速、先日お送りした意見書なのですが……」
 まだ成婚どころか顔も見ていないことになっているけど。

 にこやかに既に貴族名鑑で頭に入っている自己紹介を受け、時折相槌を打って応対していると、皆が私の後ろに視線を飛ばして口を閉ざしたのに気が付いた。

 振り返ると、皇帝が立っている。
 威圧感のある体躯には真っ黒な襟詰めの正装と大国の皇帝らしい毛皮付きの豪奢なマント。静かな瞳で、私を見下ろしていた。
 その隣には愛らしく微笑むカタリーナ。

 しばらく声がかかるのをカーテシーで待っていると、くっきりとした低音が響いた。
「レオポルド・ダ・バザロスフクだ」
「……お初にお目にかかります。ジゼル・ミラ・フラリエヌでございます」

 音楽さえもやんだ大ホールは静まり返って、全ての目線が私たちに注目している。
「バザロスでの生活に不便はないか」
 不便はないけれど、快適さもございません。
「皆さまに良くしていただいております」
「そうか。星読みがお前を呼んだ。それが全てだ。俺は帰る、ではな」
 中座の宣言は振り向いて大公たちに向けていた。
「陛下!」
「あっ、お待ちくださいませ、陛下ぁ~!」
 皆が啞然としているような、そうでもないような空気の中で一度も振り返らずにレオポルドはホールを出て行った。慌ててカタリーナが追いかけていくが、しばらくするとスゴスゴと戻ってくる。
「これは本当にご興味がない……いやそれ以前ですな」
「やはりご寵愛はカタリーナ様一強」
「まぁ、ジゼル様ご自身が既にお二人を容認されていらっしゃいますしね」
「陛下はヨークレア寄りか」
「これでは皇妃も名ばかりですな」
「しかし、見向きもされずとも実権がないわけでは。即位後の印璽の効果も」
 こらこら、聞こえていますよ。
 その後は「やっぱり保険」感覚で、‘皇妃’に顔を繋ぎたがる貴族たちの餌食よろしく延々とホールで立ちっぱなしになった。
「そろそろお疲れですね。休憩されますか」
「ええ。……皆さま、ごめんない。少し失礼します……ウェイ、奥に連れて行ってちょうだい」


 会も中盤を過ぎた。あともう少しの辛抱だ。今この場所であっても予想以上に私へと向けられる視線が多すぎて、逆に殺される可能性は薄い。安堵の息が出た。
「はぁ」
「お水をご用意します。あ、勿論私が入れて参りますので。何か召し上がられますか?」
「そうね。大皿にあるものだけをお前がとってね。お願い」
 壇上奥の応接でくったりしていると、ほろ酔いの顔をしたカタリーナが私の元へと再び寄ってくる。
「ジゼル様ぁ。陛下ったらひどいですよね、を置いていなくなるなんて」
 曖昧に微笑む私と甘えて大きな声を出すカタリーナの会話。周囲は聞いているだろう。狙って話しているこの子は本当に強かだ。

「あの、ジゼル様。折り入ってご相談があるのです」
「何かしら」
「ここではちょっと」
 なんだか嫌な予感がする「ちょっと」だった。
 こういう展開は知っているわ。
 きっと二人きりになってからこの子は自分で自分の頬を打ったりドレスを破いたりして泣きながら叫ぶのよ。助けて、助けてレオポルド様!!とか何とか言いながら人を呼んで、私の信用はさらに地の底まで堕ちるとか。
「ごめんなさい、今は護衛が戻っていないので」
「ではここで結構です。あの、率直に言うと、陛下を私にいただきたいのです」
「まーーーーって、待って、待って? お待ちなさい、わかりました、あちらへ」

 うふ、そうでございましょう?

 ゆるくふわっと首を傾げてカタリーナは私を大ホールから連れ出した。




 人目から逃げるようにして連れて来られた部屋は明らかに物置きで、夏の装飾品をしまってある部屋らしく、リネンのカーテンやアイスクリーム製造機、涼し気な海の絵画などが目についた。確かに誰も入って来ないだろうけれど、皇妃と寵姫が密談で入る部屋にしては地味過ぎる。

「カタリーナ、このような部屋に来ては、あなたのせっかくのドレスが汚れます。休憩室などいくらでもあるでしょう」
「お気遣いいただきありがとうございます。ですが、ここが良いのです、ちょうど」
 どこがちょうど?
「ジゼル様、皇妃を譲って下さいませんか?」
「随分と直球ね」
「だって、今日の陛下を見ればおわかりでしょう? 私もさすがにご寵愛を一身に受けていると確信しましたの」
「そうですか」
「それで、やっぱりジゼル様が可哀想だとも思いました。遠路はるばる来られたのに、ボロ雑巾のように扱われて、私と比べられたら誰だって落ち込みます」
 扱われていないし、落ち込んでもいない。
「だけど、残念ながら星読みは覆らないわ」
 本心からそう言うけれど、嫌みに聞こえるのは仕方ない。
「そうです、だからお飾りの皇妃でいて下さればいいのです。ジゼル様の幸せは私が保証します。こっそりと良さそうな方も見繕いますし、離宮にでも引っ越されてはいかがでしょうか。城にも居場所がないでしょう? 先日も私、うっかり子どもを助けてしまって……皇妃様とは格が違うと祭り上げられてしまっています。子どもも私に懐いてしまって、私を皇妃だと勘違いしているのですよ、あの子ったら」
「離宮」
 良いかもしれない。
「素敵でしょう? ですからジゼル様、是非とも小芝居を打って、城から消えて欲しいのです」
 まぁ、なんて直球な嘆願なのでしょう。さすがの私も驚く。
「ちなみに小芝居とはどのような?」
 これで服毒して意識不明になるだとか言い出せば、カタリーナはクロ。ごくりと唾を飲む。さぁ、来なさい! だけど私には通常の毒が効かないわよ。
「それは、決まってるじゃありませんか。陛下に捨てられて、捨て鉢になったジゼル様が不貞を働く! これが一番の近道ですわ!!」

 な……なるほど。

 やっぱりカタリーナは犯人じゃなかったわ。
 まぁ、そうよね。一回目は登場もしなかったんだもの。

「失礼いたします!」
「え?」

 びりーーーーーーーーーーーーっ と音がして、背中からドレスに鋏が入った。

「ちょ、ちょ、ちょっと!! お待ちなさい、カタリーナ!!!」
「大丈夫ですわ、怖くはありませんのよ。本気で別の男性なんて用意はしていませんから!!」
「何が大丈夫ですかっ、いやっ、ちょっと引っ張らないで、ひゃ」

 ひゃーーーーーっ

 っという間に、コルセットの下着姿にされてしまった。さすが着慣れているだけあって手際が良い。
「パニエも切ってしまいましょう? なんだか絵面が間抜けでございます」
「鋏を向けるのをおやめなさい!!」
「お任せください、大丈夫です」

 逃げる私を追いかけて窓際に追い詰めたカタリーナはパニエの紐も切ってしまった
「あっ」
 バスン!!と幾重にも輪が連なった下着が落ちた。白いビスチェとドロワーズというとんでもない恰好の私が出来上がる。
「カタリーナ!!」
 なんてこと!! 今日はウェイしか連れて来ていないのに!
「本当にごめんなさい、ジゼル様。悪気はないのです」
 いやもう、悪気しかないわよ。

 へら、と笑ったカタリーナはそのまま通用路に続いているテラス窓を開けて、私のドレスをバサリと放り投げた。
「お待ちなさいっ」
 もちろん急いで芝の上に落ちたドレスを取りに出る、出て……。

「ではごきげんよう、ジゼル様。優しい男性を必ずやご紹介いたしますので!」

 あっけなく、出てきた窓が閉められる。そうなるわよね。ご丁寧に重たいビロードのカーテンまで引いて天使の皮を被った悪魔が去ってゆく。
「あ……」

 拾って着ようとしたドレスは、肩部分が開くように切られていた。つまり袖を通す部分がなくなってしまっていた。布切れ一枚の状態となったドレスを肩から覆うようにかけて辺りを見回す。建物を一周する路地はこのまま左に行けば正面玄関、右に行けば大庭園に出るだろう。どっちに行っても正解はない。


「さっむ……」



 ここからどうしようかしら。


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