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最終話 ハッピーエンドの中身
それから三年の月日が流れる。
アンジェラとアランはめでたく結婚した。アレックスとエイミーの噂も、時折アンジェラの耳に入ってくる。
あの夜会から半年後に、二人は結婚して公爵位を賜った。エイミーは心配していた通り、アレックスの本性が現れ苦労しているらしい。
婚約期間中は、アレックスも本性を隠していたらしく、隣に寄り添うエイミーは光り輝いていた。だけど結婚してからエイミーは、覇気を失くしてしまったらしい。
最初の頃は、アレックスに対して文句を言ったり抵抗していたらしいが、誰も手を貸してくれず諦めるしかなかったようだ。
アレックスの方も、エイミーがアンジェラ程完璧な令嬢ではなく不満が溜まっている。人目も気にせずに、エイミーを罵る姿があちこちで目撃された。
そして、今年もまたアンジェラが婚約解消された夜会が開かれた。
今年のアンジェラは、アランと二人で参加をしていた。幸せな結婚をしたアンジェラは、美しさに益々磨きがかかり皆に賞賛されていた。
隣に寄り添うアランも、外見や身分に関わらずアンジェラのような素敵な女性と結婚して男性諸君に羨ましがられていた。
コツッ コツッ コツッ
沢山の人達に囲まれていた、アンジェラの元に昔聞いたヒールの音が鳴り響く。サーっと、アンジェラを囲っていた人達が道を空けた。
「お久しぶりね、アンジェラ」
これでもかと着飾ったエイミーと、表面上は和やかな態度で寄り添うアレックスが姿を現した。
「久しぶりね。エイミー。元気そうで良かった」
アンジェラが、余裕の笑みを返す。エイミーが、面白くなさそうな顔をしている。アレックスの方を見ると、明らかにイライラしているのがわかった。
「久しぶり、アンジェラ。私と結婚できなかったからって、まさかこんなに地味で冴えない人と結婚すると思わなかったよ。男爵家の三男で学校の先生なんだってね」
アレックスが、アランを見て残念な表情を浮かべる。
「でも、私、人生で今が一番幸せなの。ふふふ」
そう言って、アンジェラがアランの顔を見て微笑む。アランが、照れたように笑みを返す。
それを見たアレックスは、怒りで拳を握り締めている。エイミーも隣で悔しそうに、唇を噛みしめる。
「ねえ、皆様。男性は、顔ではなくってよ。好いた女性をどこまで愛せるか、それに尽きますわよ」
アンジェラは、広げていた扇子をパチンと閉じる。隣に佇むアランの腕に自分の腕を添える。アランが、アンジェラの顔を見て「行こうか」と声をかけた。
アンジェラは、その場にいた令嬢令息に向き直り声を掛ける。
「では、皆様失礼致しますわ」
二人は、仲良く会場の出口に向かって歩き出す。その場に居合わせた人々は、羨望の眼差しを向けていた。
約一名、目を吊り上げて悔しそうにその背を睨んでいる。隣に佇む自分の夫は、恥をかかされたことに怒り一人で踵を返して会場から出て行ってしまった。
エイミーは、こんなはずではなかったのにと扇子を強く握り締めている。
会場では、止まっていた音楽が流れ出す。見物人たちは、何事も無かったかのように会場内に散って行く。
会場内の喧騒に、エイミーの嫉妬や妬みや憎悪の感情が渦巻いているようだった。
アランに寄り添いながら、アンジェラは思う。毎日がとても幸せだと。夫のアランが、毎日可愛いと言ってくれる。刺繍の腕を褒めてくれたり、ドレスを褒めてくれる。迎えに玄関に出れば、ただいまと言っていつもありがとうと言ってくれる。
アンジェラをいつも肯定してくれた。愛してくれた。
これこそがまさに、アンジェラが求めていた幸せだった。
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