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第37話

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 ルイーズも俺と同じように、その場に座り込んでいた。
 膨大な魔力を使った影響か、顔色が悪い。
 俺は心配になって、彼女に声をかける。

「ルイーズ、大丈夫か? かなりつらそうだけど……」

 ルイーズは力なく微笑して言う。

「つらそうなのはお互い様よ。……ごめんなさい、無理させて。まさか、単独行動が当たり前のアンデッドたちが、あんなチームプレイを見せるなんて、思ってもいなかった」

「そうだな。いきなり全員で走って来た時もビビったけど、でかいアンデッドが小さいアンデッドを抱えだした時は、正直言って血の気が引いたよ。もうこれでおしまいだと思った」

「私もよ。アンデッドは基本的に動きが遅くて愚鈍だから、いくら大軍が相手でも、あんたの命を危険にさらすことはないと思ってたんだけど、大甘だった。愚鈍なのは私の方。私の浅はかさが原因で、二人ともやられるところだったわ。だから、もう一度謝らせて。本当にごめんなさい」

 ルイーズはそう言って、深々と頭を下げた。
 いつも強気な彼女の殊勝な姿に、こっちが恐縮してしまう。

「そんな、頭なんか下げなくていいってば。別に、ルイーズは浅はかなんかじゃないよ。誰だって、アンデッドがあんな動きするなんて思わないって。走るのはまあともかく、作戦行動できるゾンビなんて反則すぎるよ」

「そう言ってもらえると救われるわ。それにしても、あんたの光の剣って、水みたいな形にして撒き散らすことができるのね。あんな便利な使い方ができるなら、最初からそうしてれば、もっと楽にアンデッドたちを足止めできたんじゃない?」

「最初からできたなら、俺だってそうしてたよ。追い詰められて『もう駄目だ』って思った瞬間に、パッと閃いたんだ。ああ……それにしても疲れたな。回復魔法的なやつで、この疲労を癒やしたりできないかな?」

「残念だけど、私の魔法は攻撃専用よ。ある程度の補助魔法は使えるけど、本格的な回復魔法は無理なの。だから少しだけ、このまま休みましょう。周りを死体に囲まれた、最悪のロケーションだけどね」

「もう襲ってこないだけ、さっきよりは随分マシだよ」

「ふふっ、それもそうね」

 そのまま俺たちは、10分ほど座っていた。さすがにそれだけで完全回復とはいかないが、それでも立ち上がる気力くらいは戻ってきた。ルイーズは一度息を吐き、ゆっくりと腰を持ち上げると、フロア全体を見回して言う。

「このダンジョンが何のために作られたのかはわからないけど、ここを根城にしていた盗賊たちはきっと、このフロアを宴会場か何かにしていたんでしょうね。よく見ると、壁際に酒樽が山ほどあるわ」
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