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第21話(デルロック視点)
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王となってから、初めて迎える朝。
邪悪なる魔女と鬱陶しい弟を国外に追放し、憂いなく、晴れやかな気分で目を覚ました私だったが、なんだか妙に体が重い。まるで、深酒した翌日のような体調だ。……おかしいな、昨日は一滴も飲んでいないのだが。
ベッドから起き上がると、鏡台の方に向かい、私は自分の顔を確認した。
「うっ……」
思わず、呻きが出た。それなりの睡眠時間は取ったはずなのに、目の下にはクマができ、ひどく疲れた顔をしていたからだ。いや、まあ、昨日は大変な一日だったからな。一晩寝ただけでは、疲れが完全に取れなくても無理はない。
いかんな、こんなことでは。
これから、王としての激務が待っているのだ。
薬師に命じて、何か、肉体疲労に効く強壮剤を処方させよう。
私は食事もそこそこに、朝から重臣たちを集め、会議を開いた。
今後の政治方針を決定する、重要な集まりであるから、重臣たちにも積極的に意見を求めたのだが、どうも皆、覇気がない。何を問いかけても、いかにもだるそうな様子で、生返事を返すだけである。
その不真面目な態度に、私は憤然とし、声を荒げた。
「お前たち、やる気があるのか! これは、今後の国の行く末を決める、重要な会議だぞ!」
私に一喝され、重臣たちは「ははーっ」と頭を下げたが、だるそうなのは相変わらずである。そんな中、高齢者ぞろいの重臣たちの中でも比較的若い男が、コホコホと咳をしながら、口を開いた。
「国王陛下、恐れながら、申し上げます」
「なんだ?」
「今朝、少々冷え込んだせいもあってか、皆、体調を崩してしまっているようです。本日の会議は、簡潔な内容にとどめ、国の行く末に関する重要議題に関しては、また次の機会に論じてはいかがでしょうか?」
確かに今朝は、春先にしては寒かった。
窓の外に、うっすらと霧がかかっていたくらいだからな。
だが、それにしたって、重臣全員が体調を崩すとは、なんというザマだ。これから新しい国家体制を築かねばならないという大事なときなのに、たるんでいるにもほどがある。
私は腕を組み、重鎮たちをぐるりと見渡してから、厳しい声で言う。
「お前たちは、自分の体調管理もまともにできんのか。こんなことがこれからも続くようだったら、今後の人事についても考えなくてはならんな。体の弱い重臣など、我が国には必要な……コホッ」
私は、驚いた。
言葉の最中に、小さな咳が出たからだ。
咳?
咳だと?
この私が?
別に、むせたわけではない。
肺の底から、私の言葉を遮るように上がって来た、嫌な咳だった。
私は、体力には自信がある。
風邪など、少なくともここ十年間は、一度もひいたことがない。
「コホッ、ゴホッ……」
うっ。
また、咳が出た。
しかも今度は、先程よりも、少し大きい。
『自分の体調管理もまともにできんのか』と叱責を始めておきながら、背中を丸めて咳をする私に対し、重臣たちは少々冷ややかな視線を送って来た。
先程、私に意見した若い重臣が、小さく息を吐き、言う。
「どうやら、陛下もあまりお身体の調子がすぐれぬご様子。やはり、今日の会議はここまでにいたしましょう」
邪悪なる魔女と鬱陶しい弟を国外に追放し、憂いなく、晴れやかな気分で目を覚ました私だったが、なんだか妙に体が重い。まるで、深酒した翌日のような体調だ。……おかしいな、昨日は一滴も飲んでいないのだが。
ベッドから起き上がると、鏡台の方に向かい、私は自分の顔を確認した。
「うっ……」
思わず、呻きが出た。それなりの睡眠時間は取ったはずなのに、目の下にはクマができ、ひどく疲れた顔をしていたからだ。いや、まあ、昨日は大変な一日だったからな。一晩寝ただけでは、疲れが完全に取れなくても無理はない。
いかんな、こんなことでは。
これから、王としての激務が待っているのだ。
薬師に命じて、何か、肉体疲労に効く強壮剤を処方させよう。
私は食事もそこそこに、朝から重臣たちを集め、会議を開いた。
今後の政治方針を決定する、重要な集まりであるから、重臣たちにも積極的に意見を求めたのだが、どうも皆、覇気がない。何を問いかけても、いかにもだるそうな様子で、生返事を返すだけである。
その不真面目な態度に、私は憤然とし、声を荒げた。
「お前たち、やる気があるのか! これは、今後の国の行く末を決める、重要な会議だぞ!」
私に一喝され、重臣たちは「ははーっ」と頭を下げたが、だるそうなのは相変わらずである。そんな中、高齢者ぞろいの重臣たちの中でも比較的若い男が、コホコホと咳をしながら、口を開いた。
「国王陛下、恐れながら、申し上げます」
「なんだ?」
「今朝、少々冷え込んだせいもあってか、皆、体調を崩してしまっているようです。本日の会議は、簡潔な内容にとどめ、国の行く末に関する重要議題に関しては、また次の機会に論じてはいかがでしょうか?」
確かに今朝は、春先にしては寒かった。
窓の外に、うっすらと霧がかかっていたくらいだからな。
だが、それにしたって、重臣全員が体調を崩すとは、なんというザマだ。これから新しい国家体制を築かねばならないという大事なときなのに、たるんでいるにもほどがある。
私は腕を組み、重鎮たちをぐるりと見渡してから、厳しい声で言う。
「お前たちは、自分の体調管理もまともにできんのか。こんなことがこれからも続くようだったら、今後の人事についても考えなくてはならんな。体の弱い重臣など、我が国には必要な……コホッ」
私は、驚いた。
言葉の最中に、小さな咳が出たからだ。
咳?
咳だと?
この私が?
別に、むせたわけではない。
肺の底から、私の言葉を遮るように上がって来た、嫌な咳だった。
私は、体力には自信がある。
風邪など、少なくともここ十年間は、一度もひいたことがない。
「コホッ、ゴホッ……」
うっ。
また、咳が出た。
しかも今度は、先程よりも、少し大きい。
『自分の体調管理もまともにできんのか』と叱責を始めておきながら、背中を丸めて咳をする私に対し、重臣たちは少々冷ややかな視線を送って来た。
先程、私に意見した若い重臣が、小さく息を吐き、言う。
「どうやら、陛下もあまりお身体の調子がすぐれぬご様子。やはり、今日の会議はここまでにいたしましょう」
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