追放された魔女は、実は聖女でした。聖なる加護がなくなった国は、もうおしまいのようです【第一部完】

小平ニコ

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第49話(デルロック視点)

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 そういえば父上は、散々悪態をつきながらも、先祖を敬う儀式に関しては、ただの一度だって休んだことはなかったし、規模を縮小することもなかった。無能な王ではあったが、土地神にとっては、ポイントとやらを稼ぐのに有効な駒だったのかもな。

「しかし、これまで負けてた分も、今日で一気に帳消しだぜ。王であるお前が、この地下納骨堂で、先祖の苦労を聞いておきながらも、すべての責任を放棄したんだからな。これは『王の言葉』『場所』『タイミング』という三つの要素が複合した、とんでもない高ポイントな役になるんだ。麻雀で言うと、トリプル役満だ。どうだ、すげーだろ」

 私は虚ろな瞳で、「そうだな」とだけ呟いた。
 もう、何もかもが、どうでもよかった。

「ふふふ、本当はな、悪魔が直接姿を現して、細かい事情についてペラペラしゃべっちまうのはルール違反でな、かなりポイントがマイナスになるんだよ。でもまあ、お前にはたっぷり稼がせてもらったからな。一応義理を通して、『なんでこうなったか』について、話してやろうと思ったわけさ」

「それはどうも……」

「さぁて、語るだけ語ったし、俺、もう行くわ。これから土地神のオッサンと飯食う約束してるんだ。そうだ、一つだけいいこと教えてやるよ。あの毒の霧はな、朝から昼にかけて最も濃度が濃くなり、午後の三時頃から夕方にかけては、多少は霧が晴れる。その時間帯なら、馬で走り続ければ、霧の影響がない地域まで逃げられるかもな」

 そして悪魔は、まるで最初からいなかったかのように、姿を消した。
 私以外、誰もいなくなってしまった地下納骨堂に、私は一人、立ち尽くす。

 痛いほどの静寂が、あたかも、物言わぬ先祖たちの抗議のように聞こえる。

 そうだ。私には、聞こえる。彼らは、私を罵り、嘲っているのだ。まんまと悪魔にたぶらかされ、国を守る加護を失った挙句、王としての責任まで放棄したこの私を……

 ……
 …………
 ………………ふん。

 それがどうした。

 もとはと言えば、こんな危険な土地に国を作ろうとした祖先たちのせいではないか。だいたい、森に住む魔導師の家に、国の命運を決定する『加護の暖炉』とやらがあるのなら、その旨について、ちゃんと伝承しておくべきだろう。

 ……いや、恐らくは、そういったことを伝承するのは、『ルール』とやらで禁止だったのだろうな。それを認めてしまったら、ゲームは圧倒的に土地神の方が有利になってしまう。

 くそっ。
 何がゲームだ。
 人を小馬鹿にするにもほどがある。

 悪魔の奴は、『土地神は人間のことを大事に思ってる』ようなことを言っていたが、それはあくまでも『ゲームの駒としては大事に思っている』ということにすぎず、結局は私たちがどんな末路をたどろうが、どうでもいいに違いない。

 くそっ。
 くそっ。
 くそっ。

 今になって、強烈な悔しさが胸に込み上げてきた。

 こんなところで、死んでたまるか。霧が晴れる時間があるというのなら、まだ生存のチャンスがなくなったわけではない。絶対に、このクソみたいな土地から生きて脱出し、逃げ延びた先で栄光を掴んでやる……!
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