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第16話(ラジアス視点)
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俺は、二つの判断ミスをした。
一つは、ヒーラーの能力を過大評価しすぎていたことだ。
……新しくパーティーに加入したヒーラーの少女は、優秀だった。
少なくとも、治癒能力に関して『だけ』なら、聖女ディーナよりも優れている。
だが彼女は、傷の治癒以外、何もできなかった。
ヒーラーには、本当に、戦闘能力の欠片もないので、常に彼女を庇いながら戦わなければならない。これは、思った以上に大変なことだった。
しかもヒーラーの少女は、魔物との戦いに慣れておらず、ちょっと敵が目の前に迫っただけで泣きわめき、『もう家に帰りたい』と言い出す始末だ。俺も、魔導師トレイボンも、そのたびに彼女をなだめすかさなければならず、気苦労が絶えない。
いや、しかし、戦闘経験のない少女が、実戦の場に出てきたら、こうやって怯えるのが当然なのかもしれない。同じ女だが、聖女ディーナはいつも、鼻歌を歌いながら魔物を撲殺していたので、いつのまにか、あれが普通だと思い込んでしまっていた。
そして、もう一つの判断ミスは、その聖女ディーナに関することだ。
……俺は、聖女ディーナの防御魔法を、過小評価しすぎていた。
いや、過小評価とは違うな。そもそも俺は、気がついていなかった。戦闘――特に、強敵との戦闘の際、ディーナがまず先頭に立ち、聖女の結界の力で攻撃を受け止めていたことを。
ディーナが、あまりにも自然に『盾役』を務めてくれていたので、俺も、トレイボンも、そのことに、気づきもしなかったのだ。……恐らく、ディーナ自身ですら、自分がわざわざパーティーの『盾』の役目を果たしているとは、思っていなかっただろう。
そしてディーナがいなくなって、初めて気がついた。『盾役』の存在しないパーティーというものが、とてつもなく脆いものであることを。
雑魚との戦いは、まあ、大丈夫だった。
だが、中ボスクラスの、『そこそこ強い敵』と戦いになった際、俺たちは、『盾役』の重要性を、嫌と言うほど思い知らされた。
俺は、自分の剣で自分の身を守り、敵を切り裂くことができる。
しかし、戦闘能力皆無のヒーラーはもちろん、防御に関しては少々頼りない魔導師トレイボンも、相手が強敵である場合は、誰かに守ってもらう必要がある。
その『誰か』を、これまでは、聖女ディーナが務めてくれていた。俺はどちらかと言えば攻撃の方が得意だし、味方を庇いながら戦うのは性に合わないからな。
だが今は、俺一人で、ヒーラーの少女とトレイボンを守らなければならない。
……当然、そんなこと、できるはずがない。
それでも、しばらくはなんとかなっていたが、この前戦った、魔王軍四天王の一人は、とてつもなく強かった。俺たちはなすすべもなく敗北し、その際、トレイボンが致命的な大怪我を負ってしまった。
一つは、ヒーラーの能力を過大評価しすぎていたことだ。
……新しくパーティーに加入したヒーラーの少女は、優秀だった。
少なくとも、治癒能力に関して『だけ』なら、聖女ディーナよりも優れている。
だが彼女は、傷の治癒以外、何もできなかった。
ヒーラーには、本当に、戦闘能力の欠片もないので、常に彼女を庇いながら戦わなければならない。これは、思った以上に大変なことだった。
しかもヒーラーの少女は、魔物との戦いに慣れておらず、ちょっと敵が目の前に迫っただけで泣きわめき、『もう家に帰りたい』と言い出す始末だ。俺も、魔導師トレイボンも、そのたびに彼女をなだめすかさなければならず、気苦労が絶えない。
いや、しかし、戦闘経験のない少女が、実戦の場に出てきたら、こうやって怯えるのが当然なのかもしれない。同じ女だが、聖女ディーナはいつも、鼻歌を歌いながら魔物を撲殺していたので、いつのまにか、あれが普通だと思い込んでしまっていた。
そして、もう一つの判断ミスは、その聖女ディーナに関することだ。
……俺は、聖女ディーナの防御魔法を、過小評価しすぎていた。
いや、過小評価とは違うな。そもそも俺は、気がついていなかった。戦闘――特に、強敵との戦闘の際、ディーナがまず先頭に立ち、聖女の結界の力で攻撃を受け止めていたことを。
ディーナが、あまりにも自然に『盾役』を務めてくれていたので、俺も、トレイボンも、そのことに、気づきもしなかったのだ。……恐らく、ディーナ自身ですら、自分がわざわざパーティーの『盾』の役目を果たしているとは、思っていなかっただろう。
そしてディーナがいなくなって、初めて気がついた。『盾役』の存在しないパーティーというものが、とてつもなく脆いものであることを。
雑魚との戦いは、まあ、大丈夫だった。
だが、中ボスクラスの、『そこそこ強い敵』と戦いになった際、俺たちは、『盾役』の重要性を、嫌と言うほど思い知らされた。
俺は、自分の剣で自分の身を守り、敵を切り裂くことができる。
しかし、戦闘能力皆無のヒーラーはもちろん、防御に関しては少々頼りない魔導師トレイボンも、相手が強敵である場合は、誰かに守ってもらう必要がある。
その『誰か』を、これまでは、聖女ディーナが務めてくれていた。俺はどちらかと言えば攻撃の方が得意だし、味方を庇いながら戦うのは性に合わないからな。
だが今は、俺一人で、ヒーラーの少女とトレイボンを守らなければならない。
……当然、そんなこと、できるはずがない。
それでも、しばらくはなんとかなっていたが、この前戦った、魔王軍四天王の一人は、とてつもなく強かった。俺たちはなすすべもなく敗北し、その際、トレイボンが致命的な大怪我を負ってしまった。
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