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第二部 獣人武闘祭
第180話
「カズネさん、ごめんなさい。こういう状況だから、試合はしない方がいいと思うの。ほら、お互いに大怪我したら大変だし、ここはまた日を改めて……」
今にも飛びかかりそうなミャオを両手で押しのけながら、カズネを諭す。
まあ、『お互いに大怪我したら大変だ』とは言ったが、それは、カズネの顔を立ててあげるための方便だ。私は、ミャオがやられるとは少しも思っていなかった。
今のミャオは、二ヶ月前の防御力ゼロ状態とはまるで違う。まだまだ完璧には遠いが、打撃、組み技共に、かなりのレベルで対処できるのだ。攻撃に関しては、以前よりますます磨きがかかっている。
見たところ、カズネの年齢、体格は、ミャオとほぼ同じだが、その柔和そうなおっとりとした顔からは、獰猛な獣人武道家の気迫がまったく伝わってこない。やはり、やらせるべきではないだろう。
しかしカズネは、狂暴化したミャオに対して、怯えた様子も慌てた様子もなく、平然と言った。
「それなら、大丈夫です。私に彼女の攻撃は当たりませんし、彼女にも怪我はさせませんから」
自信に満ちた、不敵な発言だった。
嘲るでも、誇るでもなく、当たり前のことを、ただ当たり前に言ったという感じだ。それでミャオが完全にキレたのか、私を飛び越えるようにして、カズネに飛びかかっていく。
「グオルルルルルルーッ!!」
「あっ、こらっ! ミャオ! 待ちなさい!」
もう充分知っているつもりだったが、やはり獣人の瞬発力は凄い。
気がつけば、ミャオとカズネは、もつれ合うように道場の床で絡み合っていた。
止めなければ。
そう思い、手を伸ばそうとした瞬間、ミャオの動きが止まった。
肩越しに、というか、肩ごと、ミャオの首が、カズネの両足で絞められている。
三角絞め――
柔術の教科書にそのまま載せてやりたいくらい、見事な三角絞めだった。
数秒後、ミャオは意識を失い、その下からカズネがモゾモゾと這い出てくる。
それから、道着の襟を正し、私に小さく微笑んだ。
「ねっ? どちらも怪我しなかったでしょう?」
この子、いったい何者なの。二ヶ月前のミャオならともかく、今のミャオを、こうもあっさり絞め落とすなんて。
「あなたはいったい……」
カズネは、真面目な顔で私を見据えた。
「ディーナ様。獣将ゾーダンクを覚えておられますか?」
今にも飛びかかりそうなミャオを両手で押しのけながら、カズネを諭す。
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今のミャオは、二ヶ月前の防御力ゼロ状態とはまるで違う。まだまだ完璧には遠いが、打撃、組み技共に、かなりのレベルで対処できるのだ。攻撃に関しては、以前よりますます磨きがかかっている。
見たところ、カズネの年齢、体格は、ミャオとほぼ同じだが、その柔和そうなおっとりとした顔からは、獰猛な獣人武道家の気迫がまったく伝わってこない。やはり、やらせるべきではないだろう。
しかしカズネは、狂暴化したミャオに対して、怯えた様子も慌てた様子もなく、平然と言った。
「それなら、大丈夫です。私に彼女の攻撃は当たりませんし、彼女にも怪我はさせませんから」
自信に満ちた、不敵な発言だった。
嘲るでも、誇るでもなく、当たり前のことを、ただ当たり前に言ったという感じだ。それでミャオが完全にキレたのか、私を飛び越えるようにして、カズネに飛びかかっていく。
「グオルルルルルルーッ!!」
「あっ、こらっ! ミャオ! 待ちなさい!」
もう充分知っているつもりだったが、やはり獣人の瞬発力は凄い。
気がつけば、ミャオとカズネは、もつれ合うように道場の床で絡み合っていた。
止めなければ。
そう思い、手を伸ばそうとした瞬間、ミャオの動きが止まった。
肩越しに、というか、肩ごと、ミャオの首が、カズネの両足で絞められている。
三角絞め――
柔術の教科書にそのまま載せてやりたいくらい、見事な三角絞めだった。
数秒後、ミャオは意識を失い、その下からカズネがモゾモゾと這い出てくる。
それから、道着の襟を正し、私に小さく微笑んだ。
「ねっ? どちらも怪我しなかったでしょう?」
この子、いったい何者なの。二ヶ月前のミャオならともかく、今のミャオを、こうもあっさり絞め落とすなんて。
「あなたはいったい……」
カズネは、真面目な顔で私を見据えた。
「ディーナ様。獣将ゾーダンクを覚えておられますか?」
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