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王宮にて 強欲な妃は病に溺れる。
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王宮にて
「では、わたくしバーバラ様にお会いしてきますわ」
セシリアの婚約話が終わった時、ラフィーネがゆっくりと立った。
「1人で大丈夫か?」
ナルサスの言葉にラフィーネがフッと不安そうな顔で首を小さく振る。
「恐ろしいですわ」
「ウィンストン公爵夫人を不安にするとは、バーバラの癇癪はそれほどか」
アマルファ王が嘆かわしい、と言いたげに首を振る。
「ですが、わたくし1人で参りませんとバーバラ様は何も話して下さらないかも」
ラフィーネは不安そうな顔をしながらも気丈に微笑んで見せる。
ラフィーネは1人でバーバラの部屋に来た。
案内人が声を掛けると、中から不機嫌そうな返事があり、ラフィーネが入るとアフタヌーンティーの用意がされたテーブルの前でイライラしながら座るバーバラの姿が見える。
マーカスと同じ真っ赤な髪を高く結い上げ、緑の瞳は蛇の鱗の様な滑りがある。
「随分ごゆっくりね」
ラフィーネを見もしないで文句をいったが、何を言われてもラフィーネは静かにその場に立ち、バーバラを見ない。
「ウィンストン公爵夫人は返事も出来ないの?」
ソファから立ち上がり、ラフィーネを怒鳴るがなんの反応も無い。
ラフィーネの態度に腹を立てたバーバラがドスドスと足音を立てラフィーネが居る扉の側まで来ると手を振り上げた。
叩かれる、とメイド達は息を飲んだがラフィーネは動じもしない。
「あんたの為にアフタヌーンティーを用意してあげたのに、感謝の言葉も遅くなった謝罪もないあんたなんて不敬罪で投獄出来るのよ」
バーバラの癇癪にメイド達は怯えながらじっと黙っていたが
「何時に伺いますと返事を出した覚えはありません」
冷ややかな笑みを浮かべ、ラフィーネは侮蔑した目でバーバラを見た。
セシリアの蒼い瞳は柔らかさを感じるのに、ラフィーネの蒼い瞳は切れ味の良い刃物の様な鋭さだ。
「王妃が来い、と言ったら最優先で来るのが臣下でしょ」
バーバラはラフィーネの鋭い視線にビクッと怯えたが、すぐに甲高い声で叫んだ。
「勘違いなさらないでください。我々貴族は王と王国に忠誠を誓いますが、その他の方には礼儀を持って接しますが服従はしません」
「アタシを馬鹿にする気」
振り上げた手を振り下ろそうとした時、ラフィーネがバーバラの手首を掴んだ。
「馬鹿にはしませんが、恫喝して人の物を奪う不成者に屈する事はいたしません」
バーバラがギョッとした顔でラフィーネを見てから自分の指に目を向けた。
バーバラの指には、サイズが合っていないダイヤの指輪がきつそうに嵌められている。
「此方はアウロラ妃の物ですわ。何故、貴女が?」
「く、くれたのよ。自分には似合わないからって」
「くれた?これがどの様な指輪かご存知ですか?」
「たかが指輪じゃない。意味なんて」
バーバラが青褪めながら言い訳を考えている様だが、ラフィーネは容赦などしない。
「と、仰っておりますが。陛下、ご確認をお願い致します」
ラフィーネの言葉が合図だったかの様に扉が開き、アマルファ王とナルサスが無表情でバーバラの部屋に入ってきた。
「確認しよう」
アマルファ王の低い声にバーバラが逃げ出そうともがいていたがラフィーネの手を振り解くことが出来ない。
「これは私がアウロラと婚約した時に自分で選んで贈った物。ただの指輪では無い」
「やはり。では、別の物も確認していただきたい」
アマルファ王の言葉に頷くナルサスが目で侍女達に合図を送ると、先に指示を受けていた彼女達は怯えながら幾つもの宝石箱を持ってきた。
趣味の悪いアクセサリーが並ぶ宝石箱の中にアウロラ妃の物が所狭しと並び、中には婚礼の祝いとして贈ったアウロラ妃の実家、シャルセン伯爵家の家宝のネックレスまで入っていた。
「人のものをこれほど奪うなど、お前は病気だ」
宝石箱の中身を確認したアマルファ王の低い声にバーバラは縋り付こうとしたが、護衛騎士達が王を守る様に立ち塞がった。
「では、我々は失礼します」
「うむ。手間をかけたな」
ナルサス達はアマルファ王に退室の礼をとり、王宮を後にした。
バーバラがそのまま王家の離宮に療養を理由に幽閉されたが、ナルサス達はアマルファ王に祝いの品を贈った。
「では、わたくしバーバラ様にお会いしてきますわ」
セシリアの婚約話が終わった時、ラフィーネがゆっくりと立った。
「1人で大丈夫か?」
ナルサスの言葉にラフィーネがフッと不安そうな顔で首を小さく振る。
「恐ろしいですわ」
「ウィンストン公爵夫人を不安にするとは、バーバラの癇癪はそれほどか」
アマルファ王が嘆かわしい、と言いたげに首を振る。
「ですが、わたくし1人で参りませんとバーバラ様は何も話して下さらないかも」
ラフィーネは不安そうな顔をしながらも気丈に微笑んで見せる。
ラフィーネは1人でバーバラの部屋に来た。
案内人が声を掛けると、中から不機嫌そうな返事があり、ラフィーネが入るとアフタヌーンティーの用意がされたテーブルの前でイライラしながら座るバーバラの姿が見える。
マーカスと同じ真っ赤な髪を高く結い上げ、緑の瞳は蛇の鱗の様な滑りがある。
「随分ごゆっくりね」
ラフィーネを見もしないで文句をいったが、何を言われてもラフィーネは静かにその場に立ち、バーバラを見ない。
「ウィンストン公爵夫人は返事も出来ないの?」
ソファから立ち上がり、ラフィーネを怒鳴るがなんの反応も無い。
ラフィーネの態度に腹を立てたバーバラがドスドスと足音を立てラフィーネが居る扉の側まで来ると手を振り上げた。
叩かれる、とメイド達は息を飲んだがラフィーネは動じもしない。
「あんたの為にアフタヌーンティーを用意してあげたのに、感謝の言葉も遅くなった謝罪もないあんたなんて不敬罪で投獄出来るのよ」
バーバラの癇癪にメイド達は怯えながらじっと黙っていたが
「何時に伺いますと返事を出した覚えはありません」
冷ややかな笑みを浮かべ、ラフィーネは侮蔑した目でバーバラを見た。
セシリアの蒼い瞳は柔らかさを感じるのに、ラフィーネの蒼い瞳は切れ味の良い刃物の様な鋭さだ。
「王妃が来い、と言ったら最優先で来るのが臣下でしょ」
バーバラはラフィーネの鋭い視線にビクッと怯えたが、すぐに甲高い声で叫んだ。
「勘違いなさらないでください。我々貴族は王と王国に忠誠を誓いますが、その他の方には礼儀を持って接しますが服従はしません」
「アタシを馬鹿にする気」
振り上げた手を振り下ろそうとした時、ラフィーネがバーバラの手首を掴んだ。
「馬鹿にはしませんが、恫喝して人の物を奪う不成者に屈する事はいたしません」
バーバラがギョッとした顔でラフィーネを見てから自分の指に目を向けた。
バーバラの指には、サイズが合っていないダイヤの指輪がきつそうに嵌められている。
「此方はアウロラ妃の物ですわ。何故、貴女が?」
「く、くれたのよ。自分には似合わないからって」
「くれた?これがどの様な指輪かご存知ですか?」
「たかが指輪じゃない。意味なんて」
バーバラが青褪めながら言い訳を考えている様だが、ラフィーネは容赦などしない。
「と、仰っておりますが。陛下、ご確認をお願い致します」
ラフィーネの言葉が合図だったかの様に扉が開き、アマルファ王とナルサスが無表情でバーバラの部屋に入ってきた。
「確認しよう」
アマルファ王の低い声にバーバラが逃げ出そうともがいていたがラフィーネの手を振り解くことが出来ない。
「これは私がアウロラと婚約した時に自分で選んで贈った物。ただの指輪では無い」
「やはり。では、別の物も確認していただきたい」
アマルファ王の言葉に頷くナルサスが目で侍女達に合図を送ると、先に指示を受けていた彼女達は怯えながら幾つもの宝石箱を持ってきた。
趣味の悪いアクセサリーが並ぶ宝石箱の中にアウロラ妃の物が所狭しと並び、中には婚礼の祝いとして贈ったアウロラ妃の実家、シャルセン伯爵家の家宝のネックレスまで入っていた。
「人のものをこれほど奪うなど、お前は病気だ」
宝石箱の中身を確認したアマルファ王の低い声にバーバラは縋り付こうとしたが、護衛騎士達が王を守る様に立ち塞がった。
「では、我々は失礼します」
「うむ。手間をかけたな」
ナルサス達はアマルファ王に退室の礼をとり、王宮を後にした。
バーバラがそのまま王家の離宮に療養を理由に幽閉されたが、ナルサス達はアマルファ王に祝いの品を贈った。
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