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STS第八期開講
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しおりを挟むそれから授業の進行に影響を及ぼす可能性がある為、もしこのスクールに通う上で他の生徒に恋愛感情を抱いたとしても修了式を終えるまで相手に気持ちを伝えるのはNGだとか、SNSや連絡先の交換も修了式を終えるまではNG、ただし講習が終わった後に食事に行ったりするのは問題無いということも伝えられた。
ちなみに余談だが、リュウとレイはお互い同じメーカーに所属するAV男優同士であると同時に恋人同士でもあり、数年前に開講されたこのスクールの一期生として出会い、リュウがレイに一目惚れをし、修了式後に猛アタックして交際に漕ぎ着けたそうで、今はお互いに他の相手とのAVには出演しておらず、ガッツリゲイ向けのAVと言うよりかは女性向けのBL作品にカップルということを売りにして出演しているらしい。
そのAV出演は年内で、STSの講師も今回までで二人揃って引退するとのことで、雛汰達が最後の生徒になるそうだが。
「これから皆さんに簡単に自己紹介をしてもらった後、建物の中を案内します」
講師達の自己紹介、スクールについての簡単な説明の後は、いよいよ生徒達の自己紹介タイムと、施設見学もするようだ。
しかし、
「……と、その前に、まずちょっと謝らないといけないことがあって……」
それまでまるで台本でも読んでいるかのようにスラスラと言葉を発していたレイが、初めて言葉に詰まった。
一体どうしたんだろう?と雛汰は続きの言葉を待ったが、レイはそのまま口を噤んでしまい、代わりに言葉を引き継ぐように口を開いたリュウから告げられたのは、特にネコ側の生徒達にとってあまりに衝撃的な内容だった。
「オレ達も今まで五回クラス持ってきて、こんなこと初めてでちょっと動揺してるんだけどね……実は、タチ側の生徒さんは定員きっちり六人集まったんだけど、それに対してネコ側の生徒さんが三人しかいないんだよね」
喉の奥から、ヒッという自分でも聞いたことの無い声が出て、雛汰は慌てて口を両手で押さえた。
何故なら、雛汰はまさにネコ側の生徒だからだ。
雛汰以外にも同じような声を出している生徒がいるが、きっと彼もネコ側の生徒なのだろう。
「なので、大変申し訳無いんだけど、ネコ側の生徒さん一人につき相手役が二人つくかたちになります。僕もネコだからわかるけど、受け入れる側ってすっごく負担が大きいのね。だから、実技の講習の時には極力負担にならないように調整するので、ご理解頂ければと思います。本当にごめんなさい」
レイが心底申し訳なさそうな顔でそう言って頭を下げた。
そんなレイを見て雛汰は、
──レイさんのせいでも、誰のせいでもないって分かってはいるんだけど。
と心の中で誰に聞かせるでもなく前置きした上で、
──でもネコ一人に対してタチ二人って、はいそうですか分かりましたって簡単に言える問題じゃない……よね?でもサイトにも、『どちらかが定員割れした場合には複数名の相手役がつく場合がある』ってしっかり書いてあったし、きっとゴネてもどうにもならないんだろうなぁ……。
なんて悶々としていると、場の空気を変えるようにリュウがパンっと手を叩いた。
「はいっ!ちょっと微妙な空気になっちゃったけど、こればっかりはもうどうにもならないからこの話はおしまい。オレ達もネコ側の子達の負担が減るようにできる限りのことはするからね。じゃあ、気持ち切り替えて自己紹介してもらおうかな。いける?」
リュウの太陽のような明るい声につられて、困惑やら不安やらでなんとなく澱んでいたその場の空気が少し晴れ、彼の問いかけに対し疎らにだが「はい」と返事をする声が上がった。
こういう人のことをカリスマって呼ぶのかな、なんだか凄く、不思議な魅力を持つ人だな、と、雛汰は思った。
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